2018年2月19日月曜日

テントウムシの越冬用シェルター


昨日少し雪が降り、今日はかなり寒いです。日陰に積もった雪はかなり薄かったにも関わらず、1日経ってもまだ残っています。でも、平昌では昨日、スピードスケート500m競技で小平選手が金メダルに輝き、その余韻とこれからのメダルへの期待で熱くなっています。

個人的な興味として、今は越冬中のテントウムシを探し続けているのですが、まだ見つけていません。電柱の根元や樹木の割れ目などに集まっていることが多いとのことで、ネットではテントウムシの集団がたくさんアップされていますので、不甲斐ない状況ですが頑張ります。

イギリスでは、大学等の機関が中心になり国内の主な20種のテントウムシの写真とその特徴を「UK Ladybird Survey」に掲載し、テントウムシの分布調査をしているようです。また、そのウエッブサイトでは「子供のページ」を設け、テントウムシクイズなどを通じて興味を喚起するような工夫が行われています。また、別のサイトでは、テントウムシの越冬用の棲み処の作製例が掲載されていました1)。もっと前にこの情報を入手していれば、今頃は越冬中のテントウムシの写真を撮れたかも知れませんが残念です。今年の冬にはぜひ、この越冬用の棲み処を作って設置したいと思いました。


日本に生息するテントウムシは、東京、京都ともに11月上旬の平均気温が10~15℃、日最低気温が10℃付近になると越冬場所に移動するそうです。その越冬中に、ナナホシテントウは-20℃でも凍結しないことが確認されているようなので、そのメカニズムが興味深いです。

最近報告された研究論文によると、気温が氷点下になるとテントウムシの体内にトレハロースや、グルコース、ミオ-イノシトールが蓄積し、体液が凍結しにくくなるとのことです2)
また、一般的にテントウムシは集団で越冬すると言われていますが、ナナホシテントウの調査によると、越冬開始時期に集団内にいた個体と、一匹で静かにしていた個体、一匹で動き回っていた個体の3群に分け、越冬後の生存率を比較した場合は、やはり集団の中にいた個体のほうが生存率が高かったようです3)。集団内にいた個体は、他のものより体重が重かったようなので、エサが豊富にある等の良い生育環境で育ったためなのかもしれません。

参考)

1)http://www.uksafari.com/ladybirds_in_winter.html

2)Hamedi N. et al. : Environ Entomol.42(2), 375-802013

3)Andrew B. et al. : Eur. J. Entomol, 95, 639(1998)

2018年2月17日土曜日

キャベツの芯が芽キャベツに


今日は2月17日(土)です。平昌冬季オリンピックの男子フィギャースケートで羽生(はにゅう)選手が117日に負った大怪我を克服し、66年ぶりとなる2回連続金メダルを獲得しました。歴史に残るすごい事です。一方、将棋界では羽生(はぶ)永世七冠が朝日杯将棋オープン戦の準決勝で中学生の藤井聡太5段に敗れましたが、この羽生(はにゅう、はぶ)選手による盤上の戦いが、近年にない程の注目を集め盛り上がりました。

藤井聡太さんは午前の羽生戦に続き、午後に行われた決勝で広瀬八段を破り優勝し六段に昇段しました。2月1日に五段になってから僅か17日目の出来事で、公式戦制覇と六段昇段ともに最年少記録とのことです。これまでは、昨年6月に現役を引退した加藤一二三(ひふみん:78歳)が、それらの記録保持者だったようです。

話題のフィギャースケート(NHK)と将棋の試合(アベマTV)をしっかり観戦することができ、今日は本当に感激しました。動ぜず、しっかりと実力を出し切ることができる。「そんな人に私もなりたい」とつくづく思いました。

このブログでは昆虫や植物の写真を掲載したいと思っていますが、冬になってから、なかなかチャンスに恵まれません。今日は幸いにも、最近食べたキャベツの芯から脇芽が出ているのを見つけたので、その写真をアップします。包丁で葉をそぎ落とした後に残った直方体の芯にたくさんの小キャベツが芽を出しています。まるで芽キャベツのようです。

 
 
芽キャベツは、茎と葉柄にはさまれた付け根の部分に生じた側芽が、小さなキャベツのような形態に成長したものです。側芽の成長は、植物ホルモンのオーキシンとサイトカイニンのバランスによって制御され、多くの植物は、先端にある頂芽で合成されるオーキシンによって、側芽の成長が抑制され、頂芽優勢になっているとのことです。

芽キャベツは、頂芽優勢が抑制されて側芽もどんどん成長できるようになったキャベツだ、ということもできるかも知れません。もっとも、トマトやキュウリ、ピーマンなどでも側芽が伸びるので、園芸農家では芽かきが大切な仕事になっているようです。

 以前、花芽形成ホルモンのフロリゲンが、予言から70年の時を経て、10年程前に発見・同定されたということを書きましたが、最近は芽の形成抑制作用を示すストリゴラクトンが新たな植物ホルモンとして認識され、注目を集めているようです1)。この植物ホルモンは、リン酸の欠乏に伴い根から土壌に分泌され、リン酸吸収に優れた菌根菌に対して共生を促す物質としても働くとのことです。ただし、これまでに見いだされた物質は不安定で分解されやすいとのことで、農場での利用に耐える化合物の検索が行われているようです。

参考)
1)Yuichiro TsuchiyaNature Chemical Biology 2010, 6, 741-749.