2023年4月26日水曜日

4月の雪入山など千代田アルプス稜線のハイキング

   4月25日に小町の館駐車場に車を駐め朝日峠展望公園から剣ヶ峰、雪入山を通り三ツ石森林公園までの千代田アルプスを歩きました。

駐車場から少し歩いた展望台登り口付近にシロバナのオドリコソウ(踊子草)の花が咲いていました。紫色の花をつけるオドリコソウの学名はLamium album var. barbatumのようですが、albumはラテン語で白を意味するようですので、もともとオドリコソウは白花だったのでしょうか。

シロバナのオドリコソウ

春霞の中、朝日峠展望公園まで新緑につつまれた山中を歩くことが出来ました。展望公園ふもとの藤棚の下で休憩しました。

小町の館駐車場から朝日峠展望公園まで

朝日峠展望公園付近では、ヤマトシジミがカタバミの花の周りを飛んでいました。道路の白線の上にはサトキマダラヒカゲが止まっていました。

 ヤマトシジミ    サトキマダラヒカゲ

朝日峠展望公園から表筑波スカイラインに出て剣ヶ峰方面に向かいました。剣ヶ峰に向かう林道脇にはホウチャクソウやナツトウダイがたくさんありました。

ホウチャクソウ         ナツトウダイ    

剣ヶ峰から雪入山を通って浅間山に向かう千代田アルプスのハイキングコースではヤマツツジが見ごろを迎えていました。

朝日峠展望公園から秋葉峠まで

ハイキングコースは落葉樹に覆われていて新緑が爽やかでした。

千代田アルプス稜線の新緑

雪入山から秋葉峠に下る途中でアカヤマアリとセンチコガネを見つけました。アカヤマアリはかなり大きかったので巣作りの場所を探していた女王蟻のように感じました。

 アカヤマアリ女王    センチコガネ   

浅間山から三ツ石森林公園を見学し、林道を通って「七曲り」から雪入ふれあいの里ネイチャーセンターに向かいました。

秋葉峠から三ツ石森林公園を経てネイチャーセンターへ

ネイチャーセンターから山道を通り茨城県立中央青年の家に向かい、そこから「いやしの里」まで行き、剣ヶ峰への直登コースを登らずにフルーツライン道路を歩いて朝日峠展望公園に戻りました。

ネーチャーセンターから中央青年の家を経ていやしの里へ

帰りの朝日峠展望公園で、閉鎖花をつける特徴を持つというフタリシズカを見つけました。マツヨイグサも大きな黄色い花をつけていました。

フタリシズカ     マツヨイグサ 

今回はかなり急いで歩き回ることになってしまいましたが、千代田アルプスの新緑の中を通ることができて本当に良かったです。さわやかな春のハイキングでした。

2023年4月23日日曜日

4月の朝日峠展望公園、小町山、宝篋山への登山

   4月19日()、土浦市の小町の館駐車場に車を止めて朝日峠から小町山頂上を経て宝篋山に登り、東城寺へ周って戻りました。

朝日峠に登る途中で「おかめ岩」に立ち寄り、その後「やすらぎの森」を通りました。

もみじ谷の新緑が綺麗でした。

やすらぎの森のもみじ谷(4月19日)

朝日峠展望公園に隣接するやすらぎの森のハイキングコースにはジュウニヒトエの花がたくさん咲いていました。

ジュウニヒトエ(4月19日)

ルリタテハ幼虫の食草として知られるサルトリイバラによく似た幼苗も見つけました。後で調べたところシオデのようです。岩手では「ソンデコ」と呼んでいたように思います。

シオデ

朝日峠展望公園から小町山に向かいました。

朝日峠展望公園から小町山頂上へ

今回、小町山頂上には朝日峠展望公園よりもたくさんの登山グループが休んでおられました。朝から天気が良かったので散策に来られた人が多かったようです。

やすらぎの森ではチゴユリも咲いていました。また、朝日峠展望公園ではフデリンドウを見つけました。小町山に向かう山道にはキイチゴの花やウマノアシガタの花があちこちに咲いていました。今が盛りのようです。

チゴユリ、フデリンドウ
キイチゴ、ウマノアシガタ

宝篋山に向かう林道にはウマノアシガタの花がたくさん咲いていましたが、その他にカキドウシの花やヘビイチゴに良く似たミツバツチグリの花が見つかりました。東城寺に下る山道にはハハコグサがありました。また、林の中でギンリョウソウを見つけました。

カキドオシ、ミツバツチグリ
ハハコグサ、ギンリョウソウ

宝篋山の頂上にもジュウニヒトエがたくさん咲いていましが、これまで印象に残っていなかったのが不思議です。

昆虫にも気を配りながら歩きました。ミヤマセセリやキマダラヒカゲらしき蝶々の姿を何度も見かけたのですが近くに止まってくれません。    

1度だけ、キマダラヒカゲが竹やぶの中に止まったので、手を伸ばしようやく1枚の写真をとることができました。サトキマダラ、ヤマキマダラの判定はできません。

キマダラヒカゲ

東城寺に下る沢沿いの山道ではイトトンボを見つけました。

イトトンボ

イカリモンガも飛んでいました。

イカリモンガ

イカリモンガは郷里の岩手や栃木県那須岳でも見つけ写真を撮りました。山の中を橙色の蝶(正しくは蛾)が飛び回るので目立ちます。

 今日(23日)も天気がいいです。でも、つくば市のイーアスに出かけました。

2023年4月22日土曜日

ホトケノザなど野草の閉鎖花の役割と閉花性の農作物への利用

   春になり山野草を眺めるのが楽しみです。最近は牧野富太郎博士がモデルのNHK朝ドラ「らんまん」を欠かさず見ています。

 草花の芽生えが待ち遠しい1月末から2月頃の牛久沼散歩ではタンポポやオオイヌノフグリに加え、ホトケノザの花が良く目につきます。

 ホトケノザは同じシソ科オドリコソウ属のヒメオドリコソウとの競合が話題になっていますが、牧野博士は、このオドリコソウ属についても調査し、良く知られているオドリコソウやホトケノザ、ヒメオドリコソウの他に、マネキグサ(神奈川県以西)、ヤマジオウ(神奈川県以西)、ヒメキセワタ(九州以南)などについても整理し、それぞれを独立した属として記載していたとのことです。

広義オドリコソウ属のAPG体系への改変

 最近、植物の分類体系が形態的な仮説に基づくクロンキスト体系などから、ゲノム解析を重視するAPG体系に変わりつつあるようですが、牧野博士が行ったオドリコソウ属の分類はこのAPG分類体系に合致していた1)とのことなので驚きました。

 牧野博士が取り上げたマネキグサやヤマジオウ、ヒメキセワタの分布は神奈川県以西のようなので、茨城県では見られないようです。残念です。

 ホトケノザの開花期は2月~6月でヒメオドリコソウより一月ほど早いようです。しかも早春は受粉媒介昆虫が少ないことなどから、閉鎖花をつけ自家受粉により種子を形成するとのことです。一方、ヒメオドリコソウは閉鎖花をつけないようです。

ホトケノザ

ヒメオドリコソウ

 4月のヒメオドリコソウ群落内に生えるホトケノザは孤立し旗色が悪そうですが、2月~3月の畑地や田んぼ脇など比較的肥沃な場所ではホトケノザの群落が目立ちます。閉鎖花戦略が功を奏しているのでしょうか。


 閉鎖花をつける植物は世界的には56287種とされています2)。日本では牧野博士が1119種をリストアップし、ホトケノザの他に各種のスミレやツリフネソウ、カタバミなどが知られているようです。

 中でも、キツリフネは日差しの弱い56月は閉鎖花をつけ、日差しの強い7~8月は開放花をつけるとのことで、移植試験でも光強度が強いと開放花の比率が多くなるそうです3)

弱光下では閉鎖花が主体になるキツリフネ
(2022年9月筑波山麓で撮影)

 個人的には山野草の花は開放花であって欲しいと思ってしまいますが、それぞれの進化の過程で閉鎖花の道を選択した種類もかなりあり、何故そのように進化したのか、しなかったのかが研究されているようです。

一方、イネや小麦、大麦などの栽培穀類では収穫した種子の雑種化が進むと困るので自家受粉率の向上が期待され、遺伝子組換体では花粉の飛散の無い閉鎖花が望まれます。

閉花性に関連する遺伝子の解析は既にかなり進み、意外にも大麦では閉花性を付与すると赤カビ病が低減できることが分かったようです4)。面白いです。

園芸作物でも閉花性結実技術が可能なのでしょうか。関連情報を調べて見たいです。


参考)

1)三浦 憲人:日本産シソ科の細胞分類学的研究(2013年度植物地理・分類学会奨励賞受賞記念講演記録)、植物地理・分類研究、61(2)91-932014

2)Lord E.M. : Cleistogamy: A tool for the study of floral morphogenesis, function and evolution., The Botanical Review, 47, 421-449 (1981)

3)Michiko Masuda et al. : Reproductive ecology of a cleistogamous annual, Impatiens noli-tangere L., occurring under different environmental conditions., Ecological Research, 9, 67-75(1994)

4)Sudha K. et al. : Cleistogamous flowering in barley arises from the suppression of micro-RNA-guided HRP2 mRNA cleavage. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 109, 490-495 (2010)

2023年4月16日日曜日

国営ひたち海浜公園のネモフィラとその青色色素ネモフィリン

  4月10日(月)に孫二人と共に国営ひたち海浜公園に出かけました。

 平日でしたがネモフィラ見学の観光客がたくさんおられました。4月15日頃から見ごろを迎えるとのことでしたが、とても綺麗でした。広大な面積がネモフィラブルーに染まっていました。

国立ひたち海浜公園のネモフィラ(4月10日)

 西口駐車場からネモフィラのある「みはらしの丘」に向かう途中、スイセンガーデンを通りました。様々なスイセンの花が綺麗に咲いていました。たくさんの方が写真を撮っておられました。

国立ひたち海浜公園のスイセン

 みはらしの丘にはベビーカーを押しながら登りましたが、休憩所が数か所設置されているので助かりました。

 みはらしの丘を下り、シーサイドトレインに乗って園内を一周しました。林の新緑が綺麗でした。

新緑の風景

 その後、ガラスハウスまで行き昼食を食べました。久しぶりにゆっくり海を眺めることができました。

国立ひたち海浜公園のガラスハウスからの眺め

   ガラスハウス付近の砂浜で少し遊んでいた際、ルリタテハを見つけました。翅がボロボロになっていましたが元気に飛んでいきました。

ルリタテハ

 午後は「たまごの森フラワーガーデン」でチュウリップワールドを見学し、「たまごハウス」や「ぴょんぴょんたまご」で孫たちが遊び始め、楽しい1日を過ごしました。

チューリップガーデン

タマゴハウスとチューリップ

 ネモフィラの花をよく見ると青味の強い花と少し紫がかった花があるようです。文献1)を調べて見たところ、ネモフィラの花色素はネモフィリン(nemophilin)と命名されていて、それぞれの色の発現に関与する金属イオンが異なっているようです。 

花の青色色素としては、ツユクサのコンメリニン(commelinin)が最も有名なようです。コンメリニンは、アントシアニンとフラボンに金属イオンが結合したメタロアントシアニンの代表的な存在として良く話題に取り上げられるようです。

 コンメリニンは、アントシアニングループの一つであるデルフィニジン誘導体6分子と、黄色色素のフラボンに属するフラボコンメリン6分子にマグネシウムが結合した分子量約1万程度の融合体であることが分かっているようです, 3

 ネモフィリンの場合は、アントシアニングループのペチュニジン誘導体とフラボングループのアピゲニン誘導体が一緒になり、青色を呈する色素(ネモフィリン1b)にはマグネシウムと鉄、紫がかった青色色素(ネモフィリン1a)にはマグネシウムのみが結合しているとのことです。

 この他にも青いヤグルマギク花の色素やホッグセージの花の青色色素もメタロアントシアニンの仲間のようです。

 花の色素としては、このようなフラボノイド系色素が有名ですが、マリーゴールドの花のようにカロテノイドが主要色素であるグループもあり、またフラボノイドとカロテノイドの両化合物を含有する花もあるようなので、それらの存在形態に興味を持ちました。

 

参考)

1)Kumi Yoshida et al. : Tetrahedron, 71(48), 9123-9130 (2015)

2)近藤忠雄、吉田久美:日農化誌、65(9)1371-1375(1991)

3)Masaaki Shiono et al.: Proc. Acad. Ser. B 84, 452-456 (2008)

 

 

2023年4月11日火曜日

岩瀬駅からの雨引山、燕山登山と雨引観音の「マダラ鬼神祭」

  4月9日()JR水戸線の岩瀬駅で降り、御嶽山から稜線沿いに雨引山、燕山、加波山方面を歩きました。

途中で雨引観音に立ち寄りましたが、大勢の観光客の中に着飾った「お稚児さん」や白装束の鬼が混じっていたのでビックリしました。4月の第二日曜日恒例の「マダラ鬼神祭」だったようです。初めて見ました。運が良かったです。

桜川市雨引観音「マダラ鬼神祭」(4月9日)

岩瀬駅には830分頃に着きましたが、駅前から4~5人の大学生らしきグループがリンリンロード方面に向け並んで走っていきました。  

御嶽山登山口の駐車場には数台の車が駐車していました。

快晴だったので御嶽神社の東屋から岩瀬町が綺麗にみえました。御嶽山から雨引山までの登山道の周りにはヤマツツジがたくさんあり、まだ一分咲程度の様子でした。

岩瀬町の御嶽神社

雨引山には2回目の登頂でしたが、新緑の柔らかな日差しの中、スミレなどたくさんの草花を眺めながらの登山でしたので、前回より楽に感じました。

御嶽神社から雨引山へ

雨引山頂上に登る登山道の階段の陰にツクバキンモンソウの花が咲いていました。その後の加波山神社までの登山道でもたくさん見つけました。筑波山系の固有種のようです。

ツクバキンモンソウ

雨引山頂上から500mほど下ると雨引観音への分岐があり、観音までは1.7kmあるようです。今回初めて往復しましたが、その途中で数組の登山グループとすれ違いました。マダラ鬼神祭が目当てだったのでしょうか。駐車場は大混雑していました。

雨引観音からの燕山、加波山

分岐点から燕山を目指しました。燕山までは約5㎞ほどの林の中を進みますが、アップダウンが続き今回もかなり疲れました。12時頃に頂上に到着し、昼食を食べ休憩しました。

雨引山から燕山へ

FM電波塔を通り過ぎ、加波山神社(標高635m)でお参りをした後、もと来た道を引き返しました。

燕山から加波山神社へ

電波塔付近にエイザンスミレの花が咲いていました。そのスミレの花に毛むくじゃらな口吻の長い昆虫が止まり蜜を吸っていました。ビロードツリアブのようです。モフモフしています。

エイザンスミレとビロードツリアブ

雨引山の頂上ではミヤマセセリとアカタテハに出会いました。ミヤマセセリは、登山道のあちこちで見かけましたが直ぐに林の中に飛んで行き写真は殆ど撮れませんでした。

ミヤマセセリとアカタテハ

雨引山から御嶽山に戻る途中でフデリンドウの花を見つけました。青い綺麗な花でした。

フデリンドウ

今回は、思いがけず雨引観音のお祭りを見ることができ、郷里岩手で幼い頃に見たお祭りの記憶がおぼろげながら浮かんできました。

故郷の祭りはすっかり消えてしまい、なにもかもが目まぐるしく変わったな~との思いがしています。

2023年4月6日木曜日

令和5年4月初旬の筑波山登山

   4月5日に筑波山に登りました。

真壁町のつくし湖駐車場に車を駐め、薬王院コースで鬼ヶ作林道出会いまで行き、そこから筑波高原キャンプ場まで林道を歩き、キャンプ場から女体山頂上に登りました。

 つくし湖の周囲にはたくさんの桜の木があり、花は殆ど散っていましたが、登山道では野草の緑が濃くなり、木々の新芽が伸び始め、春らしい綺麗な風景でした。

つくし湖から薬王院コースで筑波山に登山(4月5日)

 鬼ヶ作林道の両脇の林にはキブシ(木五倍子)やニワトコ(接骨木)等の花が咲き、道端にはミヤマシキミの花や実がありました

鬼ヶ作林道の樹木の花や実

 黒い舗装道路には桜の白い花びらが散り「桜の花道」が出来ていました。人通りはなく、風の音を聞きながらのんびり歩くことが出来ました。

薬王院から筑波高原キャンプ場へ

 筑波高原キャンプ場の駐車場にはたくさんの車が止まっていて、女性グループの賑やかな話し声が聞こえました。

筑波高原キャンプ場から女体山頂上へ

 キャンプ場周辺ではキクザキイチゲやカタクリの花がたくさん咲いていました。

筑波高原キャンプ場のキクザキイチゲ

筑波高原キャンプ場のカタクリの花

キクザキチゲとカタクリは登山道周辺にも生えていて、頂上付近まで続いていました。たくさんの写真を撮りました。

登山道のカタクリの花

 ニリンソウの花も咲き始めていましたので、しばらくはこの賑わいが続くのかなと思いました。

登山道で見つけた山野草類

 女体山頂上にはたくさんの観光客がおられました。つつじが丘からのロープウェイの運行も始まったようです。

 御幸ヶ原で少し休み、男体山の自然研究路を周って薬王院コースで下山しました。

 自然研究路のニリンソウ群落の花はまだ少なく、これからのようでしたが、それでも感激しました。今年もこの風景を見ることが出来て良かったなと思いました。

自然研究路のニリンソウの群落(4月5日)

 エイザンスミレも咲いていました。

エイザンスミレ

 下山途中に、ユリワサビの群落も見つけました。でも、残念ながら牧野富太郎(NHK朝ドラ:万太郎)のバイカオウレンは見つかりませんでした。出かける度に探してみます。

ユリワサビ

 蝶々などの昆虫には出会いませんでしたが、もうすぐ山は緑に染まり、それぞれの食草を食べた幼虫は成虫になり活動を始めることでしょう。

 牛久では、アゲハチョウが飛び始めました。