2019年3月17日日曜日

もうすぐ春の笊川散歩



今日は317日、久しぶりに笊川のほとりを散歩しました。仙台での生活は今月末までなのでたぶん最後の笊川散歩です。草花や昆虫などとの遭遇を期待しましたが、笊川の春はまだのようで少し殺風景でした。

   でも歩き始めてすぐにツガイのコガモに出会いました。雌は全身地味な毛色に覆われていますが、しっぽ付近に緑色のアクセントがあり気に入りました。かわいいと思いました。先頭の雄がにらんでいます。カルガモのカップルもいました。以前からカルガモはいたので、春には子ガモに会えたはずですが、不思議にもこれまで気づきませんでした。

サギ(鷺)も一羽いました。でも、羽が飛び出ています。怪我をしていたのだろうか。すこし怯えているようにも見えました。サギに笊川の魚を食べ尽くされてしまうのはイヤですが、自然は共存共栄なので元気になって欲しと思いました。いつものように威厳のある姿で、すくっと立っていて欲しいです。たぶん笊川にずーっと居るサギなので名前を付けて見守ってもいいなと思いました。


散歩道の垣根には黄色のカタバミが一輪咲いていました。また道端にはホトケノザが元気に育っていました。ホトケノザは最近ヒメオドリコソウに生育場所を占領されそうになっていると言われていますが、まだ少し寒い今の時期はホトケノザの方が生き生きしていました。生育場所が異なるので何とも言えませんが、もしかしたらヒメオドリコソウよりホトケノザの方が耐寒性はあるのかもしれません。ヒメオドリコソウの種にはアリの好きなエライオソームが付いているので、増殖の視点ではもちろんヒメオドリコソウの方が有利ですが、冬から春に移る杉花粉の時期にはホトケノザが有利であって欲しいと思いました。


 農地では紅梅が満開になっていました。また白梅も見ごろでした。


 帰り路の富沢公園では、ユキヤナギの花がチラホラ咲き始めていました。子供達の声が響いています。家族連れが大勢いました。ユキヤナギの花の写真を撮っていたところ子供が近寄ってきました。父親のオーイという声が聞こえ、子供は急いで戻りました。

2019年3月16日土曜日

三神峯公園の梅の花



梅の花が咲いているかも知れないということで、3月10日午前中に三神峯公園に行ってきました。春のような陽気の中で、若者が数人トランペットやクラリネット、チューバ等の練習をしていました。家族連れも多く、子供達が賑やかにボールで遊んでいました。犬の散歩もあちこちに見られました。

三神峯公園には梅の木はそれほど多くありませんし、まだまだ小さい木ばかりなので、梅の花を見に来る人は希なのかも知れません。しかも、時期的に少し早かったのでなおさらです。運よく、二本の梅ノ木にそれぞれ一輪ずつ花が咲いていました。空振りをまぬがれホットしました。


名物の桜は4月にならないと咲きませんが、三神峯公園の桜の木はどれも大きくて風格があります。でも長い歴史があるので、枯れた枝を切断された桜も目立ってきました。古い桜の木にはどれにも地衣類のウメノキゴケとキウメノキゴケが付いています。


 公園内をしばらく散歩していたところ、足元から飛び立った虫が大きな木の根元に止まりました。ヤガ科の蛾でしょうか。緑のナミガタ模様がとてもきれいです。


この時期はやはり杉の花粉が気になります。三神峯公園の杉にも雄花が目立っていました。おそらく花粉は既に飛び始めているのでしょう。小学生のころ細い竹を使って、杉鉄砲を作った思い出があります。杉の雄花がようやく入るような穴の竹を切ってきて、紙鉄砲と同じように道具を作り、杉の雄花を唾で濡らして竹の筒に詰め、勢いよく押すとポーンと雄花が飛び出します。その音がいさぎ良く清々しく感じ今でも心に残っています。杉の雄花は皆ほぼ同じサイズなので、紙鉄砲より簡単で失敗することはほとんどありませんでした。


小さいころの思い出があるので、杉に対してかなり親近感を持っていたのですが、残念ながら私は30歳ころにスギ花粉症になってしまいました。小さい頃に杉花粉を舐めていた私は、経口免疫寛容によりスギ花粉症になりにくいはずなのですが、30歳頃に寛容の仕組みが強いストレス等によって破綻したのでしょうか。不思議ですね。


帰り路ではドングリの発芽とフキノトウに出会い、その上オオイヌノフグリの花がきれいに咲いていました。オオイヌノフグリの根本には越冬したアブラムシがいるのでしょうか。仙台でもそろそろ昆虫が活動し始める気配がしました。

2019年3月10日日曜日

イシクラゲ(藍藻)と火星農業



晴天だったので225日の午前中に太白山(標高320m)に登りました。平日でしかも冬なので登山者はいないのではないかと思っていましたが、年長者が結構散歩したり登山したりしていました。今回は長男も加わり3人での登山になりました。

 冬ということで、草花や昆虫は見つけることはできませんでしたが、木々から葉が落ち見晴らしの良い登山道の岩場にはたくさんの地衣類が付いていました。以前、自然観察の森で緑藻が共生した地衣類の写真をとりましたので今回は藍藻(シアノバクテリア)が共生した地衣類の写真を撮りたいとおもっていたところ、麓の神社付近の岩場で黒色の葉状地衣類を見つけました。後で調べたところ、シアノバクテリアが共生光合成生物(photobiont)になっているコウヤクゴケのようです。苔の生えた岩場に結構たくさん生えていました。
そのコウヤクゴケから少し離れたところに、黒い海苔状の物体を見つけました。後で調べた結果、乾いていてぶよぶよ感に乏しかったもののイシクラゲではないかと思っています。イシクラゲのぶよぶよしたジェリー状物質はシアノバクテリアのNostoc communeが生産した多糖類だということです。このジェリー状物質があるため、日照りによって藻体が乾燥し数か月たっても、雨が降れば再び水を吸収して生命活動を行うことができるとのことです。ちなみに、イシクラゲは日本でも食用にしていたようです。

イシクラゲの乾燥耐性に関する研究結果によると、乾燥耐性をもたらす要因としては乾燥物の6割~8割を占める細胞外多糖類に加えて、可溶性のトレハロースが乾燥に伴い増加すること、ゲル状物質中に抗酸化物質のスキトネミンさらには抗酸化酵素のSODが存在することなどが明らかになっています1)。イシクラゲは、乾燥した状態で100年間も生存可能だと記載されていましたので、驚きました。
以前、極限環境下での生育が可能な地衣類が宇宙生物学(アストロバイオロジー)で注目され、欧州宇宙機構が火星環境下での生存試験を実施していることについて記載しましたが、実はこのイシクラゲの構成菌であるシアノバクテリア(Nostoc commune)については、日本でも筑波大学を中心として火星環境下での生存試験などが行われていました2)。火星農業の初期導入生物として注目しているとのことです。

はやぶさ2号が222748分リュウグウへの着陸に成功し、生命の起源の解明に関する研究の進展が期待されています。地球の人口は、今日3101900分現在7530384700人を数えました。1年に7千万人(フランスやイギリスの人口より多い)増加しているとのことですので、未来の食料問題が大きな課題ですが、多くの可能性を求めて多様な方向への発展を期待しつつアストロバイオロジー研究を進めることも必要かな~と思っています。

今回の太白山登山の際に撮った地衣類の写真も以下に載せます。





参考)

1)Kaori Inoue-Sakamoto et al.: Characterization of extracellular matrix components from the desiccation-tolerant Cyanobacterium Nostoc commune. J.Gen.Appl.Microbiol., 64, 15-25(2018)

2)木村靖子ら:陸棲藍藻Nostoc. Sp. HK-01の食品としての機能と宇宙食素材としての利用の可能性. Eco-Engineering, 28(2), 43-51(2016)