2021年9月25日土曜日

草紅葉の尾瀬ヶ原の初訪問

   920日に家族で尾瀬ヶ原に行ってきました。初めての尾瀬観光です。

尾瀬第二駐車場に車を止め、乗り合いタクシーで鳩待峠まで行き、そこから歩き始め、山の鼻ビジターセンター(3.3km)、牛首分岐(2.2km)、ヨッピ橋(2.3km)までを往復(15.6km)し帰宅しました。予想をはるかに超える広大な湿原で、始まったばかりの草紅葉の時期に、そのほんの一部を見せて頂いたという印象です。

 鳩待峠から山の鼻までは林沿いの崖を下るコースでしたが、コロナ禍のためかも知れませんが、他の観光客との間隔も広く取ることができ、木道を軽快に歩くことができました。

鳩待峠から少し下った所で、雲一つない晴天下の至仏山が見えました。また、所々に太いユニークな古木があり印象に残りました。

晴天下の至仏山とイチイの古木(鳩待峠~山の鼻)

カメの石を巡り、川上川の橋で休憩を取りましたが、川を覗くと透明な水の中に魚が2匹泳いでいる姿が見えました。橋の近くには、たくさんの赤い花を咲かせたマユミの木が3本ありました。

カメの石       川上川

川上川の魚2匹

川上川の橋近くにあったマユミ

 山の鼻ビジターセンターは川上川の休憩所のすぐ近くで、たくさんの方が休息をとっておられました。

周りを散策したところ、尾瀬ロッジの庭にオゼトリカブトが咲いていました。

オゼトリカブト

山の鼻から牛首分岐までの木道から、至仏山(しぶつさん)や燧ケ岳(ひうちがたけ)がとてもきれいに見えました。天候に恵まれて良かったです。

至仏山(9月20日)

燧ケ岳(9月20日)

山の鼻から牛首分岐に向かう木道の傍にある沼にはたくさんのヒツジグサが浮かび、キラキラと輝いていました。きれいでした。

沼の水面に輝くヒツジグサ

牛首分岐からヨッピ橋に向かう歩道には人影はまばらで、ヤマドリゼンマイ群落の草紅葉を間近に見ることができました。

ヤマドリゼンマイの草紅葉

ヨッピ橋は人気があるようで人影が絶えませんでした。ヨッピ橋からの帰り道、比較的大きな休憩スペースのある沼でアカハライモリを数匹見つけました。

アカハライモリがたくさんいた沼

また、ヒョウモンチョウが飛んでいるのを見つけ写真を撮ることができました。ミドリヒョウモンとオオウラギンスジヒョウモンンのようです。

ミドリヒョウモン

オオウラギンスジヒョウモン

今回のハイキングは、尾瀬ヶ原の入り口付近のみになりましたが、本当に広大なエリアなので、この尾瀬がどのようにして発見され発展してきたのか、その歴史に興味を持ちました。

私の郷里の岩手県八幡平市は「夏の思い出(夏が来れば思い出す)」の作詞者である江間祥子が、父の死後の幼少期に母とともに10年程過ごした地域のため、尾瀬は遠い空でしたがそれとなく愛着を持っていました。

小さい頃から歌っていた「はるかな尾瀬」を歩くことができて良かったです。きれいでした。

山の鼻から鳩待峠までの3.3kmは上り坂で、通常の登山とは逆になります。坂の半ばぐらいから妻の両足が何度もつり、あやうく「背負う」ことになりそうでした。啄木の詩が心に浮かびました。

八幡平市にある花輪線平舘駅には啄木の「たわむれに母を背負いて」の歌碑があり、啄木の父(一禎)もこの地域の出身です。(母カツは現在の盛岡市生まれ)

平舘駅の啄木の歌碑(たわむれに母を背負いて)

大事には至りませんでしたが、背負ったらどう思ったのかな~と、その時の事を思い出しています。


2021年9月24日金曜日

九月中旬の八幡平畚岳(もっこだけ)登山

    9月14日、朝から八幡平に出かけ畚岳(もっこだけ)に登りました。

アスピーテラインから見た畚岳と藤七温泉の眺望

大深沢展望台(秋田県側)からの畚岳の眺望

 畚岳駐車場から頂上までは0.9kmとのことで、比較的容易に登頂することができました。

駐車場から登山道に入ってまもなく、シラタマノキの白い果実やナナカマドの赤い果実が目を引きました。

シラタマノキの白い実とナナカマドの赤い実

登山道はくっきりとしていますが、少し狭いのですれ違いには譲り合いが大切のようです。

畚岳の登山道

頂上から秋田方面を眺めると御所掛温泉の湯けむりが見えました。御所掛温泉は一周約2kmのハイキングコースのある大沼の近傍に位置し、大沼には隣接する御所掛(大沼)キャンプ場も整備されているようです。

畚岳頂上と秋田方面の眺望

岩手方面を見ると八幡平山頂レストハウスまで、稜線を走る舗装道路が見えました。山頂から見える四方360度の景観は見ごたえがありました。

畚岳頂上からの岩手方面の眺望

紅葉には少し早かったのですが、見ごろは9月下旬から10月下旬とのことです。

畚岳からの下山風景

畚岳から下山した後、樹海ラインを通り松川渓谷玄武岩などを見ながら岩手県県民の森に行きました。県民の森にある「森林ふれあい学習館」を以前に訪問したことはありますが、付近を散策したことはありませんでした。

今回は、岩手山林道、鬼ヶ城林道を通り野鳥観察舎までハイキングしました。野鳥観察舎は、岩手山の七滝登山口からの登山道との接点に設けられているので、帰りはその登山道を下り七滝登山口を経て県民の森に戻りました。

岩手県県民の森のハイキングコース案内板

岩手県県民の森のハイキングコースにある野鳥観察舎

ハイキングコースに落ちていた「朴の木」の赤い実

今年(令和3年)はコロナ禍の中ですが、岩手山八合目の避難小屋には627日から1011日まで管理員が駐在しておられるとのことでした。ありがたいです。

ハイキングコースの概要と七滝登山口にあったお知らせ

八幡平市側から岩手山に登山するための登山口は、七滝登山口(往復8時間10分)の他に、松川登山口や上坊登山口(往復7時間20分)、焼け走り登山口(往復7時間10分)などが設けられているようです。

なお、最も人気のある登山口は盛岡市に最も近い滝沢市にある馬返し登山口とのことで、往復の所要時間は7時間40分のようです。

少し時間があったので、焼け走り登山口までドライブしました。

岩手山の焼け走り登山口

焼け走り登山口の標高は565mですので、岩手山頂上(標高2,038m)との高低差は1,473mになります。最近良く登っている筑波山(標高877m)の場合、つくし湖登山口(標高55m)から登ると822mの高低差です。

 高低差だけからみると、焼け走り登山口からの岩手山登山は、つくし湖登山口から筑波山を2往復するぐらいと推定されますが、7時間も坂道を歩き続けるのはかなり大変だろうなと想像しています。

 どこまで登れるのか、いつか試してみたいです。

2021年9月23日木曜日

九月中旬の七時雨山登山

   七時雨山麓で7月の帰省時に2匹のミドリシジミが輪を描いて飛んでいるのを見つけましたが、明瞭な写真を撮ることが出来ませんでした。美麗種と言われるミドリシジミは6月から8月に発生するとのことなので、9月中旬では望み薄かも知れません。でも、わずかな可能性に望みを託し探索することにしました。

912日の草刈りは午前で終了し、午後から七時雨山に出かけました。公衆トイレ駐車場に1315分に到着しました。

駐車場から七時雨山の北峰まで登り下山した後に、以前ミドリシジミに出会った付近を散策することにしました。

駐車場から牧草地までの登山道にはオクトリカブトやエゾリンドウ、ツリフネソウなどの花が咲いていました。

駐車場からの登山道と七時雨山と対面する山々(田代連山)

オクトリカブト     エゾリンドウ

ツリフネソウ

今回は、ピンク色のツリフネソウのみを確認しましたが、前回の7月には、七時雨に至る一般道で花が黄色のキツリフネをたくさん見かけました。

キツリフネ  他の場所で撮影(参照用)

午後からの登山でしたので、数組の下山グループとすれ違いました。

七時雨山の登山では、3合目までは牧草地や畑沿いを歩き、3合目から8合目まで林の中を、そして8合目以降は稜線を歩く経路になっています。七時雨山は主に雑木林なので周囲が比較的明るく軽快な登山が出来ました。

落葉樹に囲まれた六合目の風景

1420分頃に北峰に登頂しましたが、時刻が遅かったので南峰はあきらめ北峰で一休みした後に下山しました。

北峰から南峰を望む

牧草地には15時頃に戻りましたが、頂上方向からの日差しによって、登山道に影が長く伸びていました。

午後3時の下山道の様子

草地を刈り込んだ道には、牧草に交じってユウガギクやノコンギクがたくさん咲き目を引きます。

牧草地を通る登山道のユウガギク

小川の傍を通る山道で以前ミドリシジミを見かけたので、行きつ戻りつ範囲を広げて散策しましたが、結局見つけることはできませんでした。

ミドリシジミの代わりに、七時雨山麓では比較的珍しいミドリヒョウモンがユウガギクの蜜を吸っているのを見つけました。良く見かける牧草地発生型のウラギンヒョウモンもノコンギクに止まっていました。

ユウガギクとミドリヒョウモン

ノコンギクとウラギンヒョウモン

なお、ノコンギクとユウガギクは冠毛の長さで判別できるとのことです。ノコンギクの冠毛は、タンポポ程ではないものの長いので花弁が離脱した後に房状になるようです。

16時少し前に探索を切り上げ戻りました。来年こそはと思っています。

2021年9月22日水曜日

安比高原の「ブナの駅」のキベリタテハ

    911日、お昼少し前に安比高原のブナの駅に行きました。

安比高原のブナの駅と中の牧場

ブナの駅がある「中の牧場」には、小川もあり親子が遊んでいる姿をみたことがあります。牧柵で囲われた広大な馬放牧場では、数頭の馬が並んで草を食べていました。

ブナの駅の小川と中の牧場の馬放牧用牧柵

中の牧場は広い草地ですが、牧柵に沿った登山道を通り安比スキー場のある西森山に登ることができるようです。いつか挑戦してみたいと思っています。

牧場は天然の芝生に覆われ、ところどころにエゾリンドウやユウガギクの花が咲いていました。蝶々は7月の訪問時にはたくさんいましたが、今回は時々見かける程度で、草むらに潜っていくウラギンヒョウモンの写真を撮りました。

エゾリンドウとユウガギク ウラギンヒョウモン

中の牧場から小川を渡り、草原を少し歩くとブナの二次林に到着します。下草を刈った遊歩道には25mおきに案内標識があり、「白いブナ林」の標識をたどって進むと「奥の牧場」に行くことができます。

中の牧場から草地を通ってブナ林の森へ

今回のハイキングでは、奥の牧場の沼の周りにサワギキョウがたくさん咲いていました。最盛期は過ぎたのかもしれませんが、ツリガネニンジンとともに草地を彩っていました。

奥の牧場のサワギキョウに囲まれた沼

サワギキョウとツリガネニンジン


 奥の牧場をしばらく散策し林道との境まで行ったところ、境界にある腰ほどの高さの人工の杭に、キベリタテハが止まっているのを見つけました。

人工の杭に止まるキベリタテハ

これまで他所で数回キベリタテハが飛んでいるのを見たことはありましたが、間近で見るのは初めてでした。裏翅は少しグロテスクでしたが感激しました。

キベリタテハは花を訪れることはまれで、主に樹液や腐った果実、獣糞などの汁を、翅を広げて吸っている場合が多いとのことですが、人工の樹脂に覆われた杭の窪みに腐敗物でもあったのでしょうか。

夢中で吸っているようで翅を広げてくれません。近くの細長い草をちぎってツンツンしてみましたが、僅か横に動いただけで翅は広げてくれませんでした。

少し離れて様子を見ることにしたところ、シータテハが飛んできて同じ杭に止まりました。キベリタテハは、シータテハを気にしている様子で近づくと追い立てるように翅をバタつかせます。良く見ると、キベリタテハの眼はユニークです。サイノメ模様に囲まれた小さな中心部が緑色に光っています。

キベリタテハとシータテハ

シータテハは直ぐに飛び立ちましたが、しばらくしてキベリタテハも飛んで行きました。

翅を広げたキベリタテハ

その様子を10分程眺めていたかもしれません。

一組の御夫婦が近くを通ったので、「珍しい蝶々がいたので見ています」と釈明してしまいました。かがんだ姿勢で、じっと1本の杭を眺めている高齢者は奇異に見えたのかも知れません。

「じっと手を見る」思いはいつもしているのですが、じっと杭を見たのはこれまで記憶にないです。記念になりました。


2021年9月21日火曜日

九月中旬の八幡沼と黒谷地、茶臼岳ハイキング

   9月10日には、早朝から草刈りを開始して早めに切り上げ八幡平に行ってきました。曇り空でしたが、幸い雨は降りませんでした。

ガマ沼の展望台から見える八幡沼・陵雲荘周辺の景色が綺麗でした。八幡平は草紅葉の季節のようです。八幡沼湖畔で少し休んだ後に湿原を通って源太森に向かいました。

八幡平展望台の駐車場から八幡沼へ(9月中旬)

木道の両脇にはウメバチソウやリンドウ(エゾオヤマリンドウ)の花が咲いていました。八幡平にはエゾオヤマリンドウやエゾリンドウが多いとのことです。葉が茶色になっているものもありました。夜は相当冷えるのでしょう。

ウメバチソウとエゾオヤマリンドウ

その後、源太森から黒谷地に向かいました。

源太森から黒谷地へ

遊歩道にはエゾオヤマリンドウやミヤマアキノキリンソウの花が咲いていました。

エゾオヤマリンドウとミヤマアキノキリンソウ

また、アザミの花は相変わらず昆虫に人気がありハエやアブなどが訪れていました。白い毛が目立つハチも吸蜜していたので写真を撮りましたが、後で調べたところヒメマルハナバチのようです。リンドウの花には、オオマルハナバチが潜り込んでいました。

ヒメマルハナバチとオオマルハナバチ

黒谷地は、一面が黄色に色づいていて数人が展望台から眺めていました。

黒谷地から茶臼岳に向かう頃にやや雲行きがあやしくなり、雨が降りそうな気配だったので急いで茶臼山荘まで登りましたが、その後頂上にたどり着く頃には天気が回復し、無事に黒谷地、源太森を経由し八幡平展望台駐車場に戻ることができました。

黒谷地から茶臼山荘、茶臼岳頂上へ

茶臼岳から黒谷地までの遊歩道は丁度リンドウの見ごろでした。

また、ガマズミ属のオオカメノキとナナカマド属のナナカマドには赤い実がたくさん付いていました。どちらも食用として利用可能のようですが、オオカメノキの実には黒くなっているものもあり、アントシアニン色素がたくさん含有されているものと思われます。

 オオカメノキ      ナナカマド

オオカメノキと同属のガマズミ果実に関する論文1)によると、シアニジン3-サンブビオシドが圧倒的に多く、次いでシアニジン3-グルコシド(クロマニン)が主要色素成分として含有されているとのことです。このシアニジン配糖体は、果実が黒くなると急激に増加するのかどうか興味があります。

ガマズミ果実のアントシアニン

ガマズミやナナカマドの実は赤味が特徴なので、イチゴ2)と同様にアントシアニンのペラルゴニジン配糖体が主体なのかと想像していました。ナナカマドの果実のアントシアニンに関する論文はまだ見つけていません。やはりシアニジン配糖体なのでしょうか。

黒谷地から源太森に戻る途中で、2匹のクジャクチョウに会いました。綺麗でした。朱色の濃い個体でした。今年は、どういう訳かクジャクチョウをたくさん見ることができました。

クジャクチョウ(八幡平)

茶臼岳に登ることができて良かったです。今回の帰省では、別の日に畚岳(もっこだけ)にも登ることができました。

参考)

1)Mi-Yeon Kim et al.: Identification and antiradical properties of anthocyanins in fruits of Viburnum dilatatum thunb. J Agr Food Chem, 51(21), 6173-6177(2003)

2)枳穀 豊ら:イチゴアントシアニン色素の同定と高速液体クロマトグラフィーによる分析、日本食品科学工学会誌、42(2)118-1231995