2024年3月16日土曜日

朝日峠展望公園登山口付近のキランソウとロコモティブシンドローム

  3月13日(火)土浦市の小町の館に車を置いて、孫と家内の3人連れで朝日峠展望公園への登山道を歩きました。

土浦市小町の館から朝日峠展望公園登山口へ

河津桜は散り、道端のホトケノザの花は終わりを迎え、ヒメオドリコソウが繁茂していました。

朝日峠展望公園登山口への道の様子(3月13日)

オオイヌノフグリの花の周りを越冬したナミハナアブが飛び回っていました。

オオイヌノフグリの花とナミハナアブ(3月13日)

前日12日の冷たい大雨のためでしょうか、モグラの死骸がありました。4月で2歳になる孫娘がビロードに包まれたような死骸をじっと見ていました。

モグラ

登山道の入り口から少し登り、途中の休憩場でご飯を食べ、小町の館へ引き返しました。

戻る途中で「キランソウ」の花を見つけました。小さな花をたくさん付けていました。

キランソウ(生薬名:筋骨草)

キランソウ(Ajuga decumbens)の生薬名は「筋骨草(キンコツソウ)」で、薬草部位は全草とのことです。

運動をした際に膝に不調を感じる方々に、キランソウ抽出物入りのサプリメントを継続摂取して頂く二重盲検試験で、8~12週間で有意な改善効果が認められたとする研究論文1)が出ているようです。

膝関節に痛み等の不調を感じる変形性膝関節症の有病率は、男女とも40歳代から増え始め、40歳以上で男性42.6%、女性62.4%で、大腿骨頚部の骨粗しょう症有病率、男性12.4%、女性26.5%よりかなり多いとする報告2)があるように、大きなQOL低下要因になっているものと思われます。

キランソウの有効成分としては、20-ヒドロキシエクジソン(20-Hydroxyecdysone = β-Ecdysone Ecdysterone)やシアステロン(Cyasterone)などのステロイド化合物が注目されているようです。

20-ヒドロキシエクジソン濃度を高めたキランソウ抽出物は、ウサギ軟骨損傷モデル試験において破骨細胞を減少させ、さらにプロテオグリカン量を増加させるなどの有効性を示したとのことです3)

キランソウの有効成分20-ヒドロキシエクジソン

シアステロンは、上皮成長因子受容体(Epidermal growth factor receptor (EGFR))の阻害剤として知られているようですが、実験的にステロイドで誘導される大腿骨頭の骨壊死を軽減するとのことです4)

キランソウの有効成分シアステロン

キランソウはジゴクノカマノフタとも呼ばれているそうですが、古くから生薬として注目されていたことを知りませんでした。

グルコサミンやコンドロイチン硫酸、プロテオグリカンなどと共にキランソウエキスも販売されているようです。

私はまだ膝の違和感もなくハイキングや登山に出掛けることができますが、歩くと膝が痛くなるという方々が結構たくさん周りにおられます。

対処法を調べると、ふとももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることや正座をしないことなどが出てきますが、若い頃から意識して変形性膝関節症等、ロコモティブシンドロームの予防が出来るようになるといいなと思っています。

両膝半月板の健全性が、骨密度と同様に簡易に計測できる機器開発を期待しています。

参考)

1)Yoko Sawada et al.: Evaluation of the efficacy Ajuga decumbens extract supplement in individuals with knee discomfort associated with physical activity: A randomized, double-blind, placebo-controlled study., Experimental and Therapeutic Medicine, 14, 4561-4571 (2017)

2)吉村 典子:我が国における運動器疾患の疫学研究(大規模コホートROAD STUDYより)、化学と生物、57(11)692-696(2019)

3)Yoko Sawada et al.: Ajuga decumbens stimulates mesenchymal stem cell differentiation and regenerates cartilage in a rabbit osteoarthritis model., Experimental and Therapeutic Medicine 15, 4080-4088(2018)

4)Youqiang Sun et al.: Cyasterone has a protective effect on steroid-induced Osteonecrosis of the femoral head., Plos One, 18(10),e0293530 (2023)



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