2020年3月14日土曜日

オオイヌノフグリの意外な効能(口唇ヘルペス予防)


3月12日と9日は天気が良かったので、牛久沼周辺を散歩しました。三日月橋のあやめ苑では10名を超えるボランティアの方々が両日とも除草作業や花畑の畝造り、堆肥の鋤き込み作業などをしていました。ご苦労様です。

ラジオで、東京の桜の開花宣言がそろそろ行われそうだと言っています。
新型コロナが逸早く下火になることを願っています。フランス、デンマーク、スイス、アイルランド、ノルウェー、米国のオハイオ州など3州では16日から公立学校が休校になるとのことです。

散歩道にはオオイヌノフグリ(Veronica persica:ペルシャのベロニカ)がたくさん咲いていて目を引きます。
オオイヌノフグリの花(Veronica persica:ペルシャのベロニカ)
可憐な花ですが、その花弁の青色がとても鮮やかです。青色色素はアントシアニンのデルフィニジン誘導体であることが解明されており、デルフィニジンにグルコース2分子とそれらに結合したパラクマル酸が2分子、さらにマロン酸1分子が結合しているとのことです1)。面白いことに、オシベの葯の青色色素は花弁の青色色素からマロン酸が離脱した化合物だったとのことです。花弁や葯には、このデルフィニジン誘導体とともに、アピゲニン-7-グルクロニドが共存し、青色を一層強めて(バソクロミック効果:長波長側にシフトさせる作用)いるとのことです。
オオイヌノフグリの花と葯の青色色素
オオイヌノフグリなどクワガタソウ属に分類されるVeronica(ベロニカ:聖者の名前)類はトルコなどでは民間薬(folk medicine)として利用されている種類があるとのことで、イヌノフグリ(veronica polita)とオオイヌノフグリ(Veronica persica)もその仲間なようです2。初めて知りました。複数のフェニールプロパノイドやイリドイド化合物の化学構造の解析が行われ、その結果が報告されていました2)。食用にもなるとのことです。

また、驚いたことにオオイヌノフグリの80%メタノール抽出液には口唇ヘルペスなどの単純ヘルペス(HSV1,HSV2)に対する抗ウイルス作用がありそうだということが培養細胞を用いた試験によって明らかにされていました3)。抗ヘルペス薬であるアシクロビルとの相乗作用もあるようです。
オオイヌノフグリの口唇ヘルペス感染阻止作用
春一番に咲き最も身近に感じていたオオイヌノフグリが、他国では民間薬として利用され、さらに時々悩まされる口唇ヘルペスの予防に役立つ可能性があることが分かりました。これまで親近感は持っていましたが、雑草の一つとしてのみ眺めていました。苦いそうですが疲れた時、ヘルペスが出そうな時に茶として飲んで見たいと思いました。辞典等での確認はとれてませんが「フレンチ紅茶:French black tea」とも呼ばれていると記載している方もおられました。

参考)
1)M. Mori et al., Anthocyanin Components and Mechanism for Color Development in Blue Veronica Flowers., Biosci. Biotechnol. Biochem. 73(10), 2329-2331(2009)
2)U.Sebnem Harput et al.: Phenylpropanoid and Iridoid Glycoside from Veronica persica., Chem. Pharm. Bull., 50(6), 867-871(2002)
3)Javad Sharifi-Rad et al.: Antiviral activity of Veronica persica Poir. On herpes virus infection., Cell.Mol. Biol., 64(8), 11-17(2018)

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