2018年6月26日火曜日

ジャガイモ畑のテントウムシの斑紋の融合



昨年はジャガイモの葉がテントウムシに食べられてボロボロになってしまいましたので、今年は見つけたテントウムシは全て処分することにしました。畑に行くたびにテデトール法(手で取るだけ)を実施していますが、今のところ加害部位は僅かです。

 ついでに、テントウムシの写真も撮るように心がけ、さらにドラッグストアで買った消毒用アルコール液を少量入れたペットボトルにも採集することにしました。採集した12匹のテントウムシをコピー用紙に並べて28個の斑紋の確認を行ったところ、斑紋が融合している固体が見つかりました。安定的に発現する斑紋1~6のうち、3と5が融合した個体(3-5融合型)と融合がわずかばかりですが3と4が融合した個体(3-4融合型)がそれぞれ1個体ずつ確認できました。斑紋が融合した国内のテントウ虫の情報がありませんでしたので、取り上げてみました。でも、なかなかピントを合わせることができなかったので、見栄えはしません。採集したテントウムシの写真撮影にはもう一度チャレンジするつもりです。
 草食性テントウムシのマダラテントウ族(Tribe Epilachnini)の斑紋については著名な片倉先生の論文1)が公開されています。私が今回採集したオオニジュウヤホシテントウ群の斑紋融合の傾向は、先生が記載した論文と一致する方向性を示しているのではないかと思います。でも、私は全くの素人なので当て推量に過ぎないのかも知れません。興味がどんどん湧いてきましたので引き続き勉強します2)。その前に、採集した虫の写真撮影技術を何とかしないと無理かな。



 その後、オオニジュウヤホシテントウの斑紋融合について調べたところ、佐藤先生による1997年の報告3)がありました。それによると、今回見つかった3-4連携、3-5連携に加えb-c連携が多く出現していて、地域的な特徴の視点からは1-2連携は日本の南部で、3-5連携は北部で多くなっていると指摘されています。将来どのようになるのでしょうか。大変興味深いです。
  そこで、再度12匹のテントウムシの写真を撮り直したところ、新たにb-c連携と斑紋gの微弱化が確認できましたので追加しました。



 今回も自然豊かな七時雨山麓に出かけました。道の両側に白い大きな花が咲いていたので、車を止めて写真を撮りました。花の周りをハナアブなどが飛んでいました。土曜日でしたの山麓の駐車場には、登山者などの車が結構止まっていました。それをわき目に見てとんぼ返りをしました。残念。


 仙台への帰り道に見た岩手山の雪はほぼ消えていました。新しい季節の予感です。



参考)

1)H. Katakura, et al.: Zool.Sci., 11, 889(1994)

2)K. Matsubayashi, et al.: J. Agric. Hokkaido Univ., Entmol., 72, 1-16(2016)
3)佐藤 仁彦:1997年度研究成果報告(科研費)、昆虫と自然、41巻、2号、3号(2006)

 

2018年6月25日月曜日

豆畑の状況と女王蜂が造ったスズメバチの最初の巣


 岩手の豆畑に行ってきました。畑に行く途中に墓があるので帰る度にお参りするのですが、今回は墓の近くに生えている山ツツジにトックリ状のハチの巣があることに気づきました。その形状からトックリ蜂の巣だろうと思いつつ、近づいて見るとスズメバチが一匹止まっているのが見えました。スズメバチが巣を襲って略奪したのだろうか。きっとそうに違いないと思い、翌日殺虫剤をかけて巣を除去することにしました。

  翌日、トックリの巣に近づきトックリの穴に殺虫剤を噴射したところ、大きなスズメバチが穴から飛び出してきました。獲物を奪ったスズメバチはもういないものと思っていましたので、びっくりしました。あぶなかったです。


 後で良く調べてみると、この巣はコガタスズメバチの女王蜂が単独で造ったものだということです。巣の中の働き蜂が成長した後に、よく見かけるスズメバチの巣へとこの小さな巣が肥大化していくようです。トックリ状の巣にいたスズメバチは女王蜂だった訳です。子育のため一生懸命働いていた最中に殺虫剤を吹きかけられた女王蜂に対し、気の毒な気分になりました。でも、共存できないので許して欲しい!

 豆類は順調に育っていました。特に、白花豆と花豆にはそれぞれ白花と赤花がたくさんついていて今後が楽しみです。両方とも良く伸びていているので、ネットの上を超えて垂れ下がっているものについては先端を切断しました。虎豆の蔓もだいぶ伸びてきましたが、まだ花は咲いていませんでした。蔓性の豆として他に「モロッコ豆」も植えましたが、蔓の柔軟性が乏しいため風に吹かれて折れ、花豆等に比べるとみじめな状況になっていました。でも、蔓性のどの豆にも病変やアブラムシなどの害は見当たりませんでした。




 一方、黄大豆や黒大豆、くらかけ豆、小豆などの非蔓性豆は蔓性に比べて成長が遅いようです。6月播種でも良いようですのでこれから成長するのだろうと思います。これらの豆類にも病変などはないようですが、大豆やくらけけ豆の葉には小さな穴が開き始めました。丁寧に調べていないせいかも知れませんが、ショウリョウバッタやマメコガネ、マルカメムシなどは見当たりません。次回に大発生していたらどうしよう。農薬は使用しないので、木酢液で対応したいと思っています。とりあえず、酪農農家から頂いた「たい肥パウダー」を各畝に蒔き土を少しかぶせて今回は農作業を終わりにしました。


 以前キササゲが今年の異常な寒さのために枯死したのではないかと思い、521日のブログに葉のない木の写真をアップしましたが間違いでした。62日時点でもまだ新芽が出ていなかったので可能性は高いと思っていましたが、624日には新芽がしっかりと出ていました。このキササゲはかなり枝が密になっていたので、新芽が出る前に剪定をしたようです。6月まで新芽が出ない落葉樹木もあることが分かり良かったです。

筑波山登山と里の虫


 615日から18日まで牛久に行ってきました。家の入口にあるブドウの葉に、黒地に白線の模様の付いた蛾が一匹止まっていました。あとで調べたところ「ホタルガ(蛍蛾)」であることが分りました。初めて見ましたが岩手県では希少な野生生物レッドリストDランク(http://www2.pref.iwate.jp/~hp0316/rdb/07konnchuu/0949.html)に指定されているようです。幼虫で越冬しサカキやヒサカキが寄主植物になるようです。


 17日は天気が良かったので筑波山登山を計画し孫を連れて朝早く出かけました。登山口に向かう道で自動車渋滞が発生していたので、筑波山も人気が出てきたのかなと嬉しく思っていたところ、登山口の「つつじが丘駐車場」をゴールにした「ツール・ド・つくば」(全長12km、高低差500m)が730分から1030分まで開催されていたためであることが分りました。筑波山ふもとの「北条米」で有名な北条大池付近が出発地点で、小学5年生以上を参加資格としているようです。多くのボランティアが交通整理をしておられました。

 1年ぶりの登山なので、草花や昆虫の写真も撮ろうと意気込んでいましたが、朝霧で道が濡れていたこともあり、孫と共に泥んこ競争になってしまい写真はあまり撮れませんでした。登山道で目に留まった昆虫はサルナシを餌にする「ツマキシロナミシャク」と「ヒメウスアオシャク」だけでした。でも無事2時間弱で4人揃って登頂でき、スカイツリーを遠くに眺めることはできませんでしたが、帰りはロープウエーで戻ったものの、それなりにいい思い出になりました。



 牛久に帰り、近くの公園でモンシロチョウとヤマトシジミに会いました。庭のセイジの花には連日ハナバチが訪れていました。多い時には3匹いましたが、どれもトラマルハナバチでした。



2018年6月14日木曜日

三神峯公園のクマバチやジョウカイボン


久しぶりに三神峯公園を散歩しました。公園中心部の芝地は整理され広々としていましたが、周りの草地はすっかりブタナに占領されていました。これまではアカツメクサ(紫クローバ)やヒメジョオンが多かったのですが、改めてブタナの旺盛な繁殖力に驚きました。

草花が一面に咲いていましたので、様々な昆虫を見ることができるものと期待してあちこち歩いたところ、最初にクマバチ(carpenter bee)に遭遇しました。アカツメクサにしがみつき蜜を吸っていました。クマバチは、大工のように木に穴を開けて巣を作るとのことですが、ミツバチ科の昆虫なので雌は巣の中に6-10個の卵を産み花粉団子などの餌も準備しておくとのことです。おかげで、孵化した幼虫は巣の中で母が準備した餌を食べて育ち、成虫になってから外に飛び出すことができるようです。成虫の寿命は7週間のようですが産卵後すぐに死んでしまうとのことですので少しかわいそうな気がします。



さらに歩いているとアゲハチョウが飛んでいました。アゲハチョウの写真はなかなか撮れないのですが、運よくイタドリの葉に止まってくれました。良く見ると左右のしっぽのような羽はちぎれています。優雅に見えますが結構体を張って生きていることが見て取れます。ナミアゲハとキアゲハは前羽の付け根の縞模様の有無で区別できるようですが、今回のアゲハには縞模様があるのでナミアゲハ(Papilio xuthus)のようです。ナミアゲハはかんきつ類やサンショウの葉に産卵し、キアゲハはパセリやニンジンなどのセリ科植物に産卵するとのことです。アゲハ類の前脚には味を感じる器官があり、ナミアゲハはシネフリン,スタチュドリン、ナリルチン、キロイノシトール、トリプタミン誘導体など5種類の混合物を認識して産卵することが最近明らかにされています1)。仙台では、カラタチやサンショウの葉に産卵しているのでしょうか。餌となる植物の所在も気になります。


さらに、樹木の生えている場所に移動したところ数匹のヒカゲチョウ類が飛んで逃げました。そのうち一匹について写真を撮ることができましたが、後で調べたところ、これまでに数回遭遇しているヒメウラナミジャノメでした。


道に沿って樹木の枝や葉も見て回り、見つけた昆虫を手当たり次第に写真に撮り後で調べたところ、シマサシガメやナシカメムシ、オオヒメハナカマキリジョウカイボンでした。それぞれ、一匹ずつ孤立しほとんど歩くこともなくじっとしていましたので写真は撮りやすかったのですが、相変わらず小さな被写体に対してピントを合わせるのは難しいです。


ジョウカイボン
蝶々や蛾の幼虫である毛虫は結構見かけるものの、写真を撮ることはこれまで避けていましたが、かなり奇抜な形態の毛虫がいたので写真を撮ってみました。後で調べたところ、ヒメシロモンドクガの幼虫でした。毒はそんなに強くないとのことですが、触るな、食べるなという毛虫の意思が伝わってきます。鳥も食べないのではないかと思いますが、どうでしょうか。


 昆虫の季節はこれからのようです。今回は、どこを見ても「花だらけ」の草地でしたが、蝶々や昆虫の影はまばらという感じでした。

  今日も散歩される方々がおられましたが、憩いの場としてまたお世話になります。
参考)
1)Ryuda M., et al.: J. Neurosci., 33(3), 914(2013)

2018年6月13日水曜日

雑木林の山野草と七時雨山麓散歩


豆畑での作業を終え、時間があったので近くの雑木林へ山野草を見に出かけました。マイヅルソウの花の写真は以前に掲載しましたが、今回はサイハイランを見つけました。花は終わりの頃のようで葉も元気がありませんでしたが、初めて観察しました。


前回紹介したニリンソウの花はもう散っていましたが、代わりにハモグリバエが食べ回ったニリンソウの葉が見つかりました。表皮を残して葉肉を食べた後がくっきりと残っていました。また、まだ花は咲いていませんがイカリソウがあちこちに芽を出し大小のハート形の葉が目立っていました。



センリヨウ科に属するフタリシズカ(二人静)の花も地味ですが2本咲いていました。静御前とその亡霊の舞の姿に例えフタリシズカと命名されたようですが、花は2本だけでなく3本から4本も咲くようです。残念ながら、同じセンリョウ科のヒトリシズカは見つかりませんでした。私は、フタリシズカよりヒトリシズカの方に風情を感じます。


さらに歩くとホタルカズラが咲いていました。以前は、群落を形成していたとのことですが、結構頻繁に下草刈りを行っているので少なくなっているようです。ホタルカズラは、日本の多くの都道府県のレッドリストに掲載されているとのことですので、この雑木林でも保護するように進言したいと思っています。


岩手県で最も有名な山は岩手山(2,038m)ですが、その他に日本百名山の八幡平(1,614m)や早池峰山(1,917m)、さらに登山し易いことから新日本百名山に選定された七時雨山(ななしぐれやま:1063m)、さらに名前がユニークで石川啄木が慕い有名になった姫神山(1123.8m)などがあります。私は、これらの山に登った経験はありますが、最近は登山が楽な八幡平や七時雨山に時々出かける程度です。

今回は、登山はできませんでしたが9日に七時雨山の山麓に出かけました。朝方は晴天だったので地面がかなり暖かくなったところで、昼ごろ急激に曇り温度が低下したため、山麓の畑から煙のように湯気が湧き上がっていました。かなり幻想的な雰囲気でした。



一方、七時雨山を通過する道路脇にはタニウツギがたくさんあり、ピンク色の花が道を飾っていました。この時期は山ツツジも咲き、また山菜も多いので山麓の小さな駐車場は車で賑わっていました。

2018年6月12日火曜日

豆畑の状況とジャガイモのテントウムシの斑紋調査


岩手に行く機会があったので610日に畑(家庭菜園)に行ってみました。わずか一週間ぶりでしたが、豆類は大きく成長していました。特に白花豆と花豆の成長が著しく、白花豆の蔓は1m以上も伸び、もうすぐネットの最上部まで届く勢いでした。品種によって成長の具合がかなり異なるようなので、それぞれ写真を撮りました。今のところ病変は観察されず、アブラムシも居ません。その他の昆虫もみあたらないので、おおざっぱに草むしりをして豆畑の仕事は終えました。



一方、傍らに植えたジャガイモにはテントウムが結構たくさんいました。昨年は一匹だけの写真でしたが、今回はたくさんの写真を撮り、それらの黒斑点模様を比較して見ました。写真で示したNo.1,No.3,No.4のテントウムシとNo.2のテントウムシではNo.1,No.3,No.4の各斑点が大きく、かつ背中中央部の斑点(ナンバーリングの1とd)1)の融合が明瞭で、しかも肢の付け根部分が黒くなっていました。「大阪府のテントウムシの見分け方」2や岐阜大学理科教材データベースの昆虫図鑑3)が分り易かったので、それらを参考にして分類するとNo.1, No.3,No.4はヤマトアザミテントウ、No.2はオオニジュウヤホシテントウということになります。ただ、周囲にはアザミはほとんど無く、みんなジャガイモの葉を表面からガリガリ食べている連中でジャガイモの葉が好きそうですので、食性からはオオニジュウヤホシテントウのようにも思えます。また同じ畑から採集していますので雑種の可能性はないのかどうかも気になりますので、分類についてはもう少し勉強してみます。

 片倉らの報告4)では、草食性テントウムシの黒斑紋のうちa-hの非永続性斑紋は熱帯地域では消失している種が多いとのことです。でも、熱帯高地では出現率が高くなるので、斑紋の出現には紫外線対策としてのメラニン化が関与しているものと推察しています。日本の草食性テントウの斑紋は熱帯地域より出現率が高くかつ大きいので、緯度が高く涼しくなる程斑紋数が多くなるとも記載しています。このことから、日本の北部地域のオオニジュウヤホシテントウ群の斑紋は関東以南のニジュウヤホシテントウより大きく、また北海道のエゾアザミテントウが最も斑紋の黒面積が多いということになります。
 



 豆を植えた畑の周囲には水田とともに牧草畑がたくさんあり、牧草の刈り取りが行われていました。その影響なのかも知れませんが、ジャガイモの葉にオオムネアカハバチが数匹いました。幼虫がイネ科を餌として成長するそうです。初めて見た昆虫でしたので、もしかしてオオニジュウヤホシテントウに卵を産む寄生蜂かも知れないと思いワクワクしましたが、残念ながらコマユバチ類ではありませんでした。



畑の周囲にはヒメジョオンの花がたくさん咲いていて、ベニシジミが蜜を吸っていました。今回も楽しい家庭菜園作業でした。

参考)
1)A.M. Richards: Int. J. Entomol., 25(1), 11(1983)
http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/Ent/Ladybeetle-key/
black-spot5.html
http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/SEIBUTSU/DOUBUTSU/
09kochu/tento/index.html
4)H. Katakura et al.: Zoologi.Sci., 889(1994)

2018年6月8日金曜日

笊川散歩とスイカズラのコマルハナバチ


今日は、久しぶりに笊川沿いを散歩しました。川の周囲はいつもきれいに管理されているので、雑草の写真を撮る場所としては不適のように思いますが、それでもアメリカスミレサイシンの葉が大きく成長していたり、ツタバウンランの花が以前よりかなり小さくなっているものの、夏型なのかよくわかりませんが小さな花を付けつる状に伸び始めているなど、それぞれ次のステップに移っているようです。春の圧倒的な開花から、初夏のまぶしい日差しを取り込んだ成長へと草花もそれぞれ、次の顔を見せているように感じました。


梅雨間近なこの時期に、初春に観察した花々と同じような花を見つけることは難しいだろうなとの想いを持ちつつ散歩しましたが、きれいに草刈りが行われた河原では、ハルジオン、シロツメクサはよく見かけるものの他の野草の花は目につきませんでした。

でも唯一、1本のスイカズラが満開になっており、しばらくそれを眺めていたところ、聞き覚えのある羽音と共に1っ匹の蜂が飛んできて目の前の花に止まりました。あわてて写真をとりましたが、どうやらコマルハナバチのようです。一瞬のできごとなので、ピントの合った写真を撮ることはできませんでしたが、ハナバチにはかなり興味を持っていましたので、偶然の遭遇に感謝しました。



 草刈りが行われた笊川では、モンシロチョウやモンキチョウが飛び回っていましたが、じっととどまることはありません。ジャノメチョウも草陰を飛び回っていました。ジャノメチョウはじっとしている瞬間があるので、追いかけて写真をとりました。不審者と思われたかもしれません。


 笊川にはいつもスズメとともに鴨やセキレイがいます。今日は鴨が2匹の雛を従えて川面を泳いでいましたが、私が近づくと岸に隠れ雛は見えなくなりました。キセキレイは、こちらを意識しつつも水浴びをして知らんふりです。
 1万5千歩の散歩でした。

  シロツメクサの葉には様々な模様があり、興味を持ちました。自然のデザイン力はすごいとおもいます。これからも集めます。

2018年6月7日木曜日

明治以降の帰化植物が3割に到達


ブタナ(タンポポモドキ)を観賞用の花として畑に播こうとしてしまった経験を前回書きましたが、実はブタナは2005年から20153月まで環境省が公表していた「要注意外来生物リスト」に掲載され、また北海道のブルーリスト2010の対策優先度の高いA2ランクにリストアップされる程の問題植物でした。ということで、外来種に関する知識不足を思い知らされ、少し調べて見ようと思いました。

 現在日本には2,200種を超える外来植物が存在し、そのうち野外に生えている植物は帰化植物と呼ばれ1,600種にもなるそうです1)。これは、日本の全植物5,500種の約30%に相当するとのことです。私たちが野外で良く目にする植物の3割が、明治以降に海外からやってきたものだということになりますので、驚きです。帰化植物といってもいつの時代まで遡るかが問題ですが、江戸時代までは、20種程度だった1)とのことですから、その後急激に増加したことになります。

海外の事情を見ると、米国本土の帰化植物は42%に上ると見積もられ(https://www.fs.fed.us/wildflowers/invasives/index.shtml)、ハワイでは何と50%を超えると言われているようですので、貿易の頻度や歴史がその国の帰化植物率に影響を与えているようです。

 帰化植物のうち、生態系に被害を与えるおそれのある植物については、前述のとおり環境省が平成273月までは「要注意外来生物リスト」を公開し、それ以降は新たに「生態系被害防止外来種リスト」を作成し、規制や防除、理解促進に取り組んでいるようです。特に重要なものについては特定外来生物として16種をリストアップしていますが、私がこれまでに遭遇した植物の中ではオオキンケイギクやオオハンゴンソウ、アレチウリの3種がこれに該当します。


 興味深いことに、オオキンケイギクについては岐阜大学工学部の先生が花の色素の一つである4-メトキシランセオレチンに白血病細胞に対する細胞死誘導作用を見つけ論文2)を発表していますので、ヒト試験での有効性の確認を期待しています。



 「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されている生物については外来生物法に基づき「入れない、捨てない、拡げない」の遵守が必要とのことです。私たちが日常良く目にする、セイタカアワダチソウやアメリカセンダングサ、西洋タンポポはもとよりヒメジョオンなどもリストに掲載されているので良く確認する必要があると思っていますが、それにしても陸生の草本植物108種のうち知っている植物はほんの僅かしかないことが分かりました。道端の草はいつも良く見ているつもりなのですが、まだまだ勉強が足りないようです。


参考)
1)西田智子:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/177/
mgzn17705_01.pdf
2)Pardede A. et al.:Bioorg. Med. Chem. Lett., 15(12), 2784 (2016)