2018年6月12日火曜日

豆畑の状況とジャガイモのテントウムシの斑紋調査


岩手に行く機会があったので610日に畑(家庭菜園)に行ってみました。わずか一週間ぶりでしたが、豆類は大きく成長していました。特に白花豆と花豆の成長が著しく、白花豆の蔓は1m以上も伸び、もうすぐネットの最上部まで届く勢いでした。品種によって成長の具合がかなり異なるようなので、それぞれ写真を撮りました。今のところ病変は観察されず、アブラムシも居ません。その他の昆虫もみあたらないので、おおざっぱに草むしりをして豆畑の仕事は終えました。



一方、傍らに植えたジャガイモにはテントウムが結構たくさんいました。昨年は一匹だけの写真でしたが、今回はたくさんの写真を撮り、それらの黒斑点模様を比較して見ました。写真で示したNo.1,No.3,No.4のテントウムシとNo.2のテントウムシではNo.1,No.3,No.4の各斑点が大きく、かつ背中中央部の斑点(ナンバーリングの1とd)1)の融合が明瞭で、しかも肢の付け根部分が黒くなっていました。「大阪府のテントウムシの見分け方」2や岐阜大学理科教材データベースの昆虫図鑑3)が分り易かったので、それらを参考にして分類するとNo.1, No.3,No.4はヤマトアザミテントウ、No.2はオオニジュウヤホシテントウということになります。ただ、周囲にはアザミはほとんど無く、みんなジャガイモの葉を表面からガリガリ食べている連中でジャガイモの葉が好きそうですので、食性からはオオニジュウヤホシテントウのようにも思えます。また同じ畑から採集していますので雑種の可能性はないのかどうかも気になりますので、分類についてはもう少し勉強してみます。

 片倉らの報告4)では、草食性テントウムシの黒斑紋のうちa-hの非永続性斑紋は熱帯地域では消失している種が多いとのことです。でも、熱帯高地では出現率が高くなるので、斑紋の出現には紫外線対策としてのメラニン化が関与しているものと推察しています。日本の草食性テントウの斑紋は熱帯地域より出現率が高くかつ大きいので、緯度が高く涼しくなる程斑紋数が多くなるとも記載しています。このことから、日本の北部地域のオオニジュウヤホシテントウ群の斑紋は関東以南のニジュウヤホシテントウより大きく、また北海道のエゾアザミテントウが最も斑紋の黒面積が多いということになります。
 



 豆を植えた畑の周囲には水田とともに牧草畑がたくさんあり、牧草の刈り取りが行われていました。その影響なのかも知れませんが、ジャガイモの葉にオオムネアカハバチが数匹いました。幼虫がイネ科を餌として成長するそうです。初めて見た昆虫でしたので、もしかしてオオニジュウヤホシテントウに卵を産む寄生蜂かも知れないと思いワクワクしましたが、残念ながらコマユバチ類ではありませんでした。



畑の周囲にはヒメジョオンの花がたくさん咲いていて、ベニシジミが蜜を吸っていました。今回も楽しい家庭菜園作業でした。

参考)
1)A.M. Richards: Int. J. Entomol., 25(1), 11(1983)
http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/Ent/Ladybeetle-key/
black-spot5.html
http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/SEIBUTSU/DOUBUTSU/
09kochu/tento/index.html
4)H. Katakura et al.: Zoologi.Sci., 889(1994)

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