2018年6月7日木曜日

明治以降の帰化植物が3割に到達


ブタナ(タンポポモドキ)を観賞用の花として畑に播こうとしてしまった経験を前回書きましたが、実はブタナは2005年から20153月まで環境省が公表していた「要注意外来生物リスト」に掲載され、また北海道のブルーリスト2010の対策優先度の高いA2ランクにリストアップされる程の問題植物でした。ということで、外来種に関する知識不足を思い知らされ、少し調べて見ようと思いました。

 現在日本には2,200種を超える外来植物が存在し、そのうち野外に生えている植物は帰化植物と呼ばれ1,600種にもなるそうです1)。これは、日本の全植物5,500種の約30%に相当するとのことです。私たちが野外で良く目にする植物の3割が、明治以降に海外からやってきたものだということになりますので、驚きです。帰化植物といってもいつの時代まで遡るかが問題ですが、江戸時代までは、20種程度だった1)とのことですから、その後急激に増加したことになります。

海外の事情を見ると、米国本土の帰化植物は42%に上ると見積もられ(https://www.fs.fed.us/wildflowers/invasives/index.shtml)、ハワイでは何と50%を超えると言われているようですので、貿易の頻度や歴史がその国の帰化植物率に影響を与えているようです。

 帰化植物のうち、生態系に被害を与えるおそれのある植物については、前述のとおり環境省が平成273月までは「要注意外来生物リスト」を公開し、それ以降は新たに「生態系被害防止外来種リスト」を作成し、規制や防除、理解促進に取り組んでいるようです。特に重要なものについては特定外来生物として16種をリストアップしていますが、私がこれまでに遭遇した植物の中ではオオキンケイギクやオオハンゴンソウ、アレチウリの3種がこれに該当します。


 興味深いことに、オオキンケイギクについては岐阜大学工学部の先生が花の色素の一つである4-メトキシランセオレチンに白血病細胞に対する細胞死誘導作用を見つけ論文2)を発表していますので、ヒト試験での有効性の確認を期待しています。



 「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されている生物については外来生物法に基づき「入れない、捨てない、拡げない」の遵守が必要とのことです。私たちが日常良く目にする、セイタカアワダチソウやアメリカセンダングサ、西洋タンポポはもとよりヒメジョオンなどもリストに掲載されているので良く確認する必要があると思っていますが、それにしても陸生の草本植物108種のうち知っている植物はほんの僅かしかないことが分かりました。道端の草はいつも良く見ているつもりなのですが、まだまだ勉強が足りないようです。


参考)
1)西田智子:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/177/
mgzn17705_01.pdf
2)Pardede A. et al.:Bioorg. Med. Chem. Lett., 15(12), 2784 (2016)

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