2018年6月6日水曜日

タンポポとタンポポモドキ


豆畑は播種前の4月末に耕耘したため、今回雑草はまだ小さく手入れが簡単でした。でも、荒地や道端の雑草は春早くから伸びていたので、皆さんが田植えをする前に草刈りを行いましたが、再度タンポポは立派に伸びて花を咲かせていました。タンポポの葉は地面を這うロゼッタ葉でしかも根は地中深く伸びているので、草刈り後すぐに芽を出し優占種になってしまうようです。

今良く見かける西洋タンポポは、1904年に北アメリカから札幌に食用として導入されたとする説があるようです(北海道ブルーリスト:http://bluelist.ies.hro.or.jp/db/detail.php?k=08&cd=468)。昔から、西洋では食用として利用されていたようで、最近は日本でも食用タンポポの種がネット販売されています。タンポポの根にはコーヒー豆の主要なポリフェノールであるクロロゲン酸類が存在するので、細断後焙煎して代替コーヒーとして利用することは知っていましたが、花や葉の食べ方に関する情報提供が行われていることは知りませんでした。


タンポポの花や茎葉、根には抗酸化性の強いポリフェノール類が豊富に存在していることから、人間に対して様々な生理的機能が期待されているようです。まだ細胞レベルでの試験ですが、2型糖尿病に対する予防機能も確認されているようです1)ので、タンポポがハーブや山菜のように利用される時代が来るといいなと思ってしまいます。

最近、タンポポによく似ていてタンポポよりかなり首の長い花が人里の至るところで目立つようになりました。これはブタナと呼ばれる雑草ですが、実はこの花を初めて見たとき、その種を採取して畑に蒔きたいと思いました。花のサイズが比較的大きく、咲いている期間も長く、密集して咲くので魅力的な花だと思った訳です。でも、調べてみたところこの雑草は札幌で1933年に発見された帰化植物で、当時は「タンポポモドキ」と呼ばれていたとのことです。それが、今では全国に蔓延し問題になっているようなので、畑に種を蒔かなくて正解でした。ブタナも地面を這うロゼッタ葉なので、タンポポ同様草刈り後すぐに芽を出し、優占種としてはびこることになるものと思われます。

このブタナはヨーロッパから1884年に米国に帰化し、さらに日本に帰化した訳ですが、原産地のヨーロッパや中東アジア、インドでは民間伝承薬として黄疸や胃弱、便秘、リウマチ、高血糖の症状緩和に利用されてきたようです。最近では作用メカニズムに関する研究2)も行われ機能性成分として複数のセスキテルペンが単離され、アラキドン酸代謝の制御を通じた鎮静作用や抗炎症作用が期待されているようです。


でもひとつ心配な作用として、草地のブタナの多食による馬の後足の痙攣がオーストラリアで問題視3)されているようです。ブタナは乾燥地でも良く育ち、オーストラリアでは馬の餌として多量に用いられる場合があるとのことです。また、馬がブタナの機能性成分に対して感受性が高いことも原因の一つなのかも知れません。

 タンポポやブタナに加え、前回記述したニガナにも有用な機能が報告されているので、これらキク科の野草はもしかしたら日本でも注目されることになるのかもしれません。


参考)
1)Fonyuy E. Wirngo et al.:The Review of Diabetic Studies13113(2016)
2)Tareq Abu-Izneid et al.: Hindawi BioMed Research International, 2018,11(2018)
3) Charles El-Hage:Investigation into the Cause of Australian Stringhalt, Australian Government Rural Industries Research and Development Corporation, December 2011.

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