2020年3月20日金曜日

ホトケノザとヒメオドリコソウ(ヒメオドリコソウの生存戦略)


3月18日に牛久沼周辺を散歩しました。梅の花は終わりツバキの花が満開になり、あちこちに落下した花が絨毯のように広がっていました。


この時期に目立つ草花はオオイヌノフグリやホトケノザ、ヒメオドリコソウなどです。オオイヌノフグリについては「口内炎を予防するかも」ということで前回のブログ(3月14日)に書きました。

でも、やはりホトケノザとヒメオドリコソウをめぐる生存競争には興味があります。以前両者の生存競争についてもブログに書きました(2018年5月24日)が、今回の散歩で、本当に後から日本にやってきたヒメオドリコソウがドンドン増え、ホトケノザの生息範囲がせばめられているのではないかとの印象を持ちました。
開放花が多く咲いているホトケノザ
海外では両者とも食用植物に分類されていて、ホトケノザの花を引っこ抜いて花弁の根元を舐めると甘いとのことです。どちらかというとヒメオドリコソウの若芽の方が好まれサラダとして食べることもあるようですが、両者とも苦いとのことです。

今回散歩した牛久城跡の草原はヒメオドリコソウの独り舞台でした。群落に分け入ってホトケノザをしばらく探しましたが、見つけることができませんでした。
ヒメオドリコソウが優占種となったエリア
その後、牛久沼まで歩きながらヒメオドリコソウ群落の中に生えているホトケノザを探したとこり、ようやく何株か見つけましたが、ヒメオドリコソウ群落の中に生えたホトケノザはひ弱でした。明らかに開放花より閉鎖花のほうが多いように思いました。
ホトケノザの閉鎖花と開放花蕾の区別をしっかり行うには、経時的に観察する必要があるようですので、掲載した写真を修正しました。

ヒメオドリコソウ群落の中のホトケノザ
(開放花と閉鎖花)
修正後

 ヒメオドリコソウがホトケノザに対して、アリを魅了するエライオソームの小さな閉鎖花を咲かせるように仕向け、アリによるホトケノザの種の分散を妨げ、そのことにより、ヒメオドリコソウが優占種になることが科学的に証明できたらすごいです。ヒメオドリコソウが分泌する閉鎖花誘導物質が水溶性らしいとのことですので、解明を応援しています1,2)

花を咲かせる作用を持つフロリゲンが解明され農業分野などでその活用が期待されていますが、他家受粉の開放花と自家受粉の閉鎖花を決定づける要因が分かれば、種子生産への応用が期待できるかも知れません。

ホトケノザは英語にすると「Budda’s seat」のように思いますが、当然これは日本での呼び名で、英名は「henbit」ですが「hen’s bite」がその由来のようです。ニワトリがついばむ草という訳です。その他「deadnettle:棘のないイラクサ」とも呼ばれ、こちらがほとんどの国で使用されているようです。でも一方、イタリアでは「erba ruota: 車輪草」、スペインでは「conejitos:ウサギ草」と呼ばれているようなので、世界各国でどのような名前になっているのかが分かると、地域の雰囲気を知る手がかりになるのではないかと思っています。

誰もが目にしながら、ほぼ気に留めない雑草の呼び名には、その地域の人々の普段の生活感がにじみ出ているのかも知れません。また、過ぎ去った歴史の名残があるのかもしれないと思ったりします。雑草と人との関わりは面白いです。

参考)
1)      Yasuhiro Sato, et al.: Dominant Occurrence of Cleistogamous Flowers of Lamium amplexicaule in relation to the Nearby Presence of an Alien Congener I., purpureum (Lamiaceae). ISRN Ecology, 2013,
2)高倉 耕一:自家受粉依存を高める在来種:外来種からの繁殖干渉と遺伝子多様性低下検証、科研費研究成果報告書、平成29年7月31日

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