新型コロナウイルスが猛威を振るっています。イタリアやフランスなどで夜9時に医療関係者にエールを送るための拍手など感謝の表現を自発的に行う行動が広がっていることに胸を打たれます。
WHOの感染情報(situation report)を毎日見ていて、死者の総数の増加に胸が痛みますが、死亡率をみると国別にだいぶ異なるので、何故違うのだろうかといつも思います。ヨーロッパではドイツの死亡率が特段に低いようです。
新型コロナウイルス感染による死亡率(死亡者数/感染者数)の推移 |
各国の新型コロナウイルス検査件数の比較 |
もちろん無作為に検査すれば見かけの死亡率は減少する訳なので、検査基準や体制の違いも大きなファクターではありますが、もし、人工呼吸器やECMO等の医療設備数の差異が影響しているのであれば、日本も早急に対策をとる必要があると思います。
日本呼吸療法医学会と日本臨床工学技士会が2月12日~20日に実施した調査では、全国医療機関における人工呼吸器台数が22,254台、ECMOが5,943台ということのようです1)が充分なのでしょうか。ドイツに匹敵する状況でしょうか。
豪華客船での新型コロナ感染を世界に先駆けて体験していることから、誰でも思いつく対策の一つである人口呼吸器やECMO等の増産と供給・配置が行われているものと信じています。
新たな感染症への適切な対応策をとるためには「信頼できる発症者情報や症例データ」が不可欠です。国際的な協力体制はできているように思いますが、何故か正しい情報が1月から現在まできちんと積み重ねられているようには感じません。
新型コロナウイルスとはタイプは異なりますが2009年に発生した新型インフルエンザA(H1N1)では、幼児や児童グループと高齢者グループでの重症化率や死亡率が高かったようです2)。また、鳥インフルエンザには若年者が発症しやすいタイプと高齢者が発症しやすいタイプがあるようです。今回の新型コロナでは圧倒的に高齢者に重症患者や死亡者が多いように報道されてきました。でも最近、若い方々の死亡例も報告されるようになり、孫を持つ身として不安が強くなってきました。
2009年のインフルエンザによる年齢階級別重症化率と死亡率など |
免疫のことは良く理解してないのですが、少し調べてみたところ、胸腺を経由せずに増加する恒常性増殖型のCXCR3ナイーブ型キラー(CD8)T細胞が高齢者に多くなるとのことなので、このT細胞を刺激する因子を新型コロナウイルスが獲得しているかも知れないなどとの妄想を抱いていました。ランセットの論文や大阪大学による研究5)では、インターロイキン6阻害剤が有効かも知れないと記載していました。
なお米国は、3月26日にIL6阻害薬のTocilizumabについてCOVID 19による肺炎へのフェーズⅢ臨床研究を許可したようです6)。
ワクチンの開発の状況がCell誌で紹介7)されていますが、そのワクチンの利用が可能になるまでに1年以上を要するのであれば、それ以外の医薬品の利用の道を早急に開いて欲しいと願っています。
また、ワクチンによって形成された免疫が長く保てるようだといいのですが、利権が開発の妨げにならないよう、将来に向けたWHO手腕を期待しています。
インフルエンザウイルスでもコロナウイルスでも、発症後の致死率は圧倒的に高齢者が高い訳ですが、今回の新型コロナの感染力が毎年発生するインフルエンザウイルス以上であり、ワクチンの開発が困難である場合は、安全な集団免疫の獲得方法を模索する必要にせまられるのではないかと感じています。そうならないことを願いますが。
なお米国は、3月26日にIL6阻害薬のTocilizumabについてCOVID 19による肺炎へのフェーズⅢ臨床研究を許可したようです6)。
ワクチンの開発の状況がCell誌で紹介7)されていますが、そのワクチンの利用が可能になるまでに1年以上を要するのであれば、それ以外の医薬品の利用の道を早急に開いて欲しいと願っています。
また、ワクチンによって形成された免疫が長く保てるようだといいのですが、利権が開発の妨げにならないよう、将来に向けたWHO手腕を期待しています。
インフルエンザウイルスでもコロナウイルスでも、発症後の致死率は圧倒的に高齢者が高い訳ですが、今回の新型コロナの感染力が毎年発生するインフルエンザウイルス以上であり、ワクチンの開発が困難である場合は、安全な集団免疫の獲得方法を模索する必要にせまられるのではないかと感じています。そうならないことを願いますが。
参考)
1)一般社団法人日本呼吸医療法学会など:人工呼吸器およびECMO装置の取り扱い台数等に関する緊急調査報告、2020年3月9日
2)厚労省インフルエンザ対策推進本部:新型インフルエンザの発生動向 2009年12月25日
3)WHO: WHOが確認した鳥インフルエンザA(H5N1)人感染症例 Weekly Epidemiological Record 83,46(pp413-420)
4) PuJa Mehta et al. : COVID-19:consider
cytokine storm syndromes and immunosuppression, The Lancet March 16 2020 (https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30628-0)
5)田中敏郎:サイトカインストームに対するIL-6阻害療法の可能性、日本臨床免疫学会誌、38(4)、p291b(ワークショップWS4-2)、2015年
6)Hannah Slater:FDA Approves Phase Ⅲ Clinical Trial of Tocilizumab for COVID-19 Pneumonia, https://www.cancernetwork.com/news/fda-approves-phase-iii-clinical-trial-tocilizumab-covid-19-pneumonia
7)Fatima Amanat et al.: SARS-CoV-2 vaccines:status report. DOI: 10.1016/j.immuni.2020.03.007
6)Hannah Slater:FDA Approves Phase Ⅲ Clinical Trial of Tocilizumab for COVID-19 Pneumonia, https://www.cancernetwork.com/news/fda-approves-phase-iii-clinical-trial-tocilizumab-covid-19-pneumonia
7)Fatima Amanat et al.: SARS-CoV-2 vaccines:status report. DOI: 10.1016/j.immuni.2020.03.007
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