2024年3月9日土曜日

筑波山梅林の見学とウメとアンズの比較

    3月7日(木)に筑波山の梅園に行ってきました。梅祭りは17日までのようです。

筑波山の梅林(3月7日)

寒い曇り空の日でしたが、大勢の方が来られていました。

筑波山梅祭り(3月7日)

梅の花の蜜を求めて小さなメジロが数羽飛び回っていました。

ウメの花とメジロ(3月7日)

どの梅の木にも地衣類のウメノキゴケがついています。やはり相性がいいのでしょうか。不思議です。

梅の木の幹に生えるウメノキゴケ

ウメノキゴケでリトマス試験紙を作ることができ1)、小・中学校の教材として利用できるようです。

足元にはタチツボスミレの花が咲いていました。寒さがぶり返していますが、もうすぐ春がやってくるようです。

タチツボスミレ(3月7日)

日本の北限の梅の木は北海道の旭川第一小学校校庭にあるとのことです。樹齢100年を超える白梅(旭川市指定文化財)で、平成13年に紅梅が枯死するまでは紅白一対の巨木だったそうです。

寒い地方には梅の木よりも杏の木が多いようです。

郷里の岩手では、幼い頃、黄色に熟した梅の実を生で食べた思い出があります。でもその果実は、今思えば梅ではなくてアンズだったようです。梅は酸っぱくて生食には向かないとのことです。

岩手の「ささやかな手抜き菜園」の小梅の収穫期は7月初旬ですが、ここ数年収穫できませんでした。地面に落ちました。すみません。

岩手の手抜き菜園の梅の実(7月初旬)

隣の家にはアンズの「八助梅」があるのでその種を植えて育て、大部大きくなりましたが、大きなアンズの実がなるのでしょうか。まだ花は咲いていませんが楽しみです

ウメとアンズでは主要な有機酸も異なり、ウメはクエン酸、アンズはリンゴ酸のようです。ブドウは酒石酸、キウイフルーツはキナ酸です。

「未熟な梅は食べるな」と良く言われましたが、ウメやアンズ等にはアミグダリンと呼ばれる青酸配糖体が未熟果や種子の部分に多く含まれているそうです。

アミグダリンは、果実のエムルシン(エマルジョンに由来する粗酵素)という酵素によって分解されると、青梅特有の香気成分であるベンズアルデヒドとともに、ヘモグロビンと結合する毒物質のシアン化水素を生成するようです。

アミグダリンからエムルシンによる
香気成分のベンズアルデヒドとシアン化水素の生成

アンズの主要生産地はず~と長野県だと思っていましたが、近年長野県での生産が減少し、青森県の生産量が伸びて2010年頃に逆転したようです。2020年の農林水産統計では青森県が全国収穫量の76.5%を占めているとのことです。

日本のアンズの収穫量はウメの収穫量の2%程度ですが、世界的にはアンズ(アプリコット)が主要な果実の一つになっていました。

茨城県近代美術館のボタニカルアート展(令和6年2月23日~4月14日)では、ウイリアム・フッカーによるアプリコット(ムア・パーク)が展示されていました。ウメの画はありませんでした。


アプリコット(アンズ)

アンズの学名はPrunas armeniacaなので、古くはアルメニア原産と思われていたようですが、中国起源のようです。梅(Prunus japonica)もジャポニカになっていますが、中国北部原産のようです。

国内のウメとアンズの収穫量比較と
世界のアプリコット(アンズ)生産国

アンズ(アプリコット)の生産大国はトルコで、アルメニアの隣国です。2位はウズベキスタン、3位はイランのようです。FAOSTATに掲載されている日本のアプリコット生産量は、実質的にはウメの生産量のようです。

中国にも干し梅はあるそうですが、長期間保存できる漬物としての梅干しは、主食の御飯をひき立てる日本独特の歴史的食べ物といえるようです。

 

参考)

1)高萩 敏和:地衣類の教材化(1)ウメノキゴケでリトマス試験紙を作る、ライケン 10(3)39-40(1977)

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