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2026年5月7日木曜日

早春のスプリングエフェメラルとその種子の形態生理的休眠について

 春の野山を歩くとエンレイソウに良く出会います。エンレイソウの花は少し地味ですがキクザキイチゲやカタクリ、ニリンソウなどと共にスプリングエフェメラル(春の妖精)として知られています。最近、このエンレイソウの花が咲くまでに、かなりの年月(5~10年)が必要との情報に出会い興味を持ちました。発芽に2年、開花までに数年要すると言われているので、先ず発芽について調べてみました。

エンレイソウ

シロバナノエンレイソウ(ミヤマエンレイソウ)

日本のエンレイソウに関する研究は北海道大学で行われていました1)。北海道や東北地方に生育するオオバナノエンレイソウ(ミヤマエンレイソウ)と北海道から九州の山地まで広範囲に生育するエンレイソウを比較していました。その結果オオバナノエンレイソウは発芽までに2年を要するものの、従来のエンレイソウ種子は北海道でも50%は年内に発根して翌年に発芽することから、エンレイソウの低温要求性がオオバナノエンレイソウより低く、その特性によりエンレイソウが南方に広がったものと推察されていました。

 エンレイソウは、その種子に「長期休眠性」を持つ植物として知られていて、土壌中で胚が成長する期間が必要のようです。

 種子内部の杯が未発達あるいは未分化のために生じる種子の休眠は「形態生理的休眠(MPD)」と呼ばれているようです。

 種子の休眠の形態が様々に分類されていることを初めて知りました。種子休眠に関する最も基本的な分類は以下の表のようです。

生理的休眠(PD)や形態的休眠(MD)、形態生理的休眠(MPD)、物理的休眠(PY)、複合的休眠(PYPD)の5クラスがあるそうです2)

 エンレイソウの種子は形態生理的休眠に分類されますが、驚くことに、エンレイソウと同様に早春に花を咲かせるスプリングエフェメラル(春の妖精)の多くの種子が形態生理的休眠に属していました。

        
 早春の登山で出会いたいキンポウゲ科イチリンソウ属のキクザキイチゲ。

キクザキイチゲ

 イチリンソウやニリンソウ。

ニリンソウ

庭に生えているキンポウゲ科フクジュソウ属のフクジュソウ。

フクジュソウ

 ユリ科カタクリ属のカタクリ。

カタクリ

 エンレイソウと同じシュロソウ科のショウジョバカマ。

ショウジョバカマ

 ケシ科キケマン属のエゾエンゴサクやムラサキケマンなどがあります。

エゾエンゴサク

 形態生理的休眠を有する山野草には、その他に7月以降に開花するウバユリやオオウバユリも属します。

オオウバユリ

 クリスマスローズやテンナンショウ属のマムシグサやウラシマソウなども同じ特性を持つようです。

 山火事の熱や煙を合図に発芽すると言われている「バイロファイト(耐火植物)」の種子は物理的休眠(PY)に分類されるのでしょうか。

 いつも出会いながらも見過ごしている山野草の新たな性質を知るとうれしいです。

参考)

1)近藤 哲也:北方地域のランドスケープ素材としてのエンレイソウ属2種の発芽要  求と生育地との関連、科学研究費助成事業、2645088研究報告(2016年)

2)J.M. Baskin and C.C. Baskin: A classification system for seed dormancy, Seed Science Research (2004) 14, 1-16


2026年5月4日月曜日

四月末の岩手県県民の森の春

 4月29日(水)から孫二人と共に4人で岩手に帰りました。東北自動車道では道端に桜の花が咲いていましたが、「手抜き菜園」の枝垂れ桜の花は既に散り「葉桜」になっていました。咲く時期が少し早くしかも小さな花びらです。残念ですが、今回は「手抜き菜園」の草刈はできませんでした。

岩手の手抜き菜園の枝垂れ桜(4月29日)

午前中に岩手の自宅に到着したので、午後から岩手県県民の森(オヤマダエンジニアリング八幡平フォレスト)に出かけました。孫達はお目当ての「森林ふれあい学習館フォレスト」で遊びます。

 孫たちが学習館で遊んでいる間、私は県民の森園内を散策しました。みんなの広場の駐車場脇にあるシデコブシの大きな花が満開でした。

岩手県県民の森のみんなの広場(4月29日)

 11品種140本の桜の花が咲いた広場はピンク色です。たくさんの方が見学されていました。

学習館フォレストとみんなの広場(4月29日)

 樹齢100年のオオヤマザクラとカスミザクラが寄り添う「夫婦桜」の花も咲いています。

県民の森の夫婦桜(4月29日)

 「夫婦桜」の下にはカタクリの群落がありました。

夫婦桜の下にあるカタクリ(4月29日)

 桜見物の後、様々な樹木が植えられている「記念の森」も少し散策しました。

県民の森の散策路(4月29日

 樹木の林床にはマイズルソウがたくさん生えています。キクザキイチゲの群落もありました。少し歩いて学習館に戻ると、孫達が、他の子どもたちに交じって賑やかに遊んでいました。結局、最終の16時までお世話になりました。楽しかったようです。

林床に生えるマイズルソウやキクザキイチゲ

 スプリングエフェメラルとして良く知られているキクザキイチゲとアズマイチゲですが、県民の森にはキクザキイチゲが多いようです。花の色は白や青、葉の色は緑と茶でした。

スプリングエフェメラルのキクザキイチゲ(4月29日)

 エンレイソウもたくさんありました。エンレイソウ属は種子の発芽には2度の冬が必要(double dormancy)で、さらに花が咲くまでに2~3年以上を要するそうです1)

エンレイソウ(4月29日)

 オオウバユリの新芽も見つけました。

オオウバユリの新芽(4月29日)

 道路と森林の畦畔にはクサソテツ(コゴミ)も生えています。コゴミは小さい頃に食べたことがあります。癖の無いシャキシャキしたテクスチャーだったように思います。

草木が刈り取られた畦畔のクサソテツ(4月29日)

 岩手の春はいつ来ても懐かしく、幼い頃を思い出します。

参考)

1)https://courses.washington.edu/esrm412/protocols/2021/TROV2.pdf

2026年3月25日水曜日

令和八年早春の筑波山登山とキクザキイチゲ

 3月24日(火)に筑波山に登りました。

御幸ヶ原から女体山に登る途中にある「筑波山頂カタクリの里」で、一輪のキクザキイチゲの花を見つけました。

筑波山頂のキクザキイチゲ(3月24日)

筑波山麓神郡駐車場に朝8時20分頃に到着しました。雨天続きの中、1日だけの晴れ間とのことでしたが、筑波山が綺麗に見えました。

筑波山麓神郡駐車場付近の様子(3月24日)

 駐車場には数台の車が停まっていて、筑波山神社に向かうつくば道を7~8人の登山グループが歩いていました。久し振りの登山日和です。

神郡駐車場からつくば道で筑波山へ(3月24日

 9時10分頃に六丁目の大鳥居に着きました。急坂が始まります。

つくば道の六丁目大鳥居(3月24日)

 旧つくば郵便局前を通り9時半頃に筑波山神社に到着しました。

つくば道から筑波山神社へ(3月24日)

 筑波山神社本殿でお参りをしました。

筑波山神社でお参り(3月24日)

 御幸ヶ原コースで登り始めましたが、登山道に朝日が差し込んでいます。

筑波山の御幸ヶ原登山コース(3月24日)

 中間地点の東屋でしばらく休憩を取り、あちこちで立ち止まりながら御幸ヶ原に11時頃に着きました。若者グループにどんどん追い越され、今回はかなり疲れました。

晴天の御幸ヶ原(3月24日)

 御幸ヶ原は少し寒かったのですが晴天で多くの登山者がおられました。

 御幸ヶ原から女体山に向かい「筑波山頂カタクリの里」を散策しました。カタクリの花が数輪見つかりましたが、カタクリの葉もまばらで見頃になるまではまだまだかかりそうです。

女体山の「筑波山頂カタクリの里」(3月24日

 かなり疲れたので11時20分発のケーブルカーで下山しました。少し体力が落ちたようなので、回復に努めます。

 筑波山神社からつくば道を通り、筑波山麓神郡駐車場に12時過ぎに戻りました。筑波山神社から30分ほどかかりました。

筑波山神社からつくば道で神郡駐車場へ(3月24日)

 つくば道からの景色を眺めながら歩きましたが、オオイヌノフグリやホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ノボロギク、カラスノエンドウ、タンポポ、ノゲシなどの花の他に、トウダイグサ(灯台草)の群落を見つけました。

つくば道のトウダイグサ(3月24日)

 花が杯上に突き出ているので、確かに灯台のように見えます。花に付着しているボンボリ(総苞)にはオシベが数個とメシベ一個包まれているとのことです。

2023年4月6日木曜日

令和5年4月初旬の筑波山登山

   4月5日に筑波山に登りました。

真壁町のつくし湖駐車場に車を駐め、薬王院コースで鬼ヶ作林道出会いまで行き、そこから筑波高原キャンプ場まで林道を歩き、キャンプ場から女体山頂上に登りました。

 つくし湖の周囲にはたくさんの桜の木があり、花は殆ど散っていましたが、登山道では野草の緑が濃くなり、木々の新芽が伸び始め、春らしい綺麗な風景でした。

つくし湖から薬王院コースで筑波山に登山(4月5日)

 鬼ヶ作林道の両脇の林にはキブシ(木五倍子)やニワトコ(接骨木)等の花が咲き、道端にはミヤマシキミの花や実がありました

鬼ヶ作林道の樹木の花や実

 黒い舗装道路には桜の白い花びらが散り「桜の花道」が出来ていました。人通りはなく、風の音を聞きながらのんびり歩くことが出来ました。

薬王院から筑波高原キャンプ場へ

 筑波高原キャンプ場の駐車場にはたくさんの車が止まっていて、女性グループの賑やかな話し声が聞こえました。

筑波高原キャンプ場から女体山頂上へ

 キャンプ場周辺ではキクザキイチゲやカタクリの花がたくさん咲いていました。

筑波高原キャンプ場のキクザキイチゲ

筑波高原キャンプ場のカタクリの花

キクザキチゲとカタクリは登山道周辺にも生えていて、頂上付近まで続いていました。たくさんの写真を撮りました。

登山道のカタクリの花

 ニリンソウの花も咲き始めていましたので、しばらくはこの賑わいが続くのかなと思いました。

登山道で見つけた山野草類

 女体山頂上にはたくさんの観光客がおられました。つつじが丘からのロープウェイの運行も始まったようです。

 御幸ヶ原で少し休み、男体山の自然研究路を周って薬王院コースで下山しました。

 自然研究路のニリンソウ群落の花はまだ少なく、これからのようでしたが、それでも感激しました。今年もこの風景を見ることが出来て良かったなと思いました。

自然研究路のニリンソウの群落(4月5日)

 エイザンスミレも咲いていました。

エイザンスミレ

 下山途中に、ユリワサビの群落も見つけました。でも、残念ながら牧野富太郎(NHK朝ドラ:万太郎)のバイカオウレンは見つかりませんでした。出かける度に探してみます。

ユリワサビ

 蝶々などの昆虫には出会いませんでしたが、もうすぐ山は緑に染まり、それぞれの食草を食べた幼虫は成虫になり活動を始めることでしょう。

 牛久では、アゲハチョウが飛び始めました。

2022年4月7日木曜日

筑波山のスプリング・エフェメラル群の観察

   昨日4月6日(水)に筑波山に登りました。つくし湖駐車場に車を止め、薬王院登山コースの鬼ヶ作林道出会いから筑波高原キャンプ場まで歩き、一本松コースで女体山に登り薬王院コースで下山しました。

  この時期の筑波山一帯は、カタクリやキクザキイチゲ、ニリンソウなどのように春だけその存在をアピールする春の妖精のような花に覆われます。 

 カタクリなどのように春だけ姿を見せる春のはかない草花は「スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)」と呼ばれているそうです。

 筑波山はスプリング・エフェメラルの里と言っても過言ではない程、たくさんの春を知らせる綺麗な花に出会うことができます。

 晴天に恵まれたこともあり、筑波高原キャンプ場には数グループの登山者が昼食休憩をとっておられました。少し散策したところ、カタクリの花がキクザキイチゲと共にたくさん咲いていました。

カタクリの花(4月6日)

 キャンプ場からの一本松登山コースには、登山道の左右両側にたくさんのカタクリが自生していますが、まだ蕾のものが多かったように思います。

カタクリの花の蕾(4月6日)

 女体山頂上には、春休みの家族連れ等たくさんの登山者がおられました。

一匹のヒオドシチョウが岩や登山者の肩に止まるなど、自由に飛び回っていました。

筑波山頂上のヒオドシチョウ

 頂上から御幸ヶ原に向かう散歩道の途中にある「カタクリの里」には、カタクリやキクザキイチゲの花がたくさん咲いていました。

咲揃ったカタクリの花

 今回は、御幸ヶ原から男体山の頂上には向かわずに自然研究路を歩きましたが、数年間通行止めになっていた部分の修理が完了し、男体山を一周することができるようになったようです。

 自然研究路でもカタクリやキクザキイチゲの花がたくさん咲いていましたが、ニリンソウの花はまだでした。でも、暖かい日が続きそうなのでもうすぐ見ごろを迎えることでしょう。

 キクザキイチゲの花の写真をたくさん撮りましたが、白色のものから紫色の濃いものまで結構バリエーションがあるようです。

筑波山のキクザキイチゲ

 自然研究路から下山のため薬王院コースに入りましたが、小さなユリワサビの花が目につきました。

筑波山のユリワサビ

 下山途中にキタテハとヤマトシジミを見つけました。

キタテハ(4月6日)

ヤマトシジミ(4月6日)

 今回は、ハルトラノオやシロカネソウ属の花も見つけましたが、草花を眺めながらの登山ハイキングでしたので、いつもより大部遅い時刻の下山になってしまいました。

筑波山のハルトラノオ(4月6日)

筑波山のシロカネソウ属の花(4月6日)

 つくし湖の桜も満開でした。

つくし湖の桜(4月6日)

暖かくなってきたので、そろそろ岩手に帰省しようと思っています。ささやかな手抜き菜園の雪が消え、岩手でも草花が咲き始めているかも知れません。

ウクライナ戦争が気がかりです。ブチャの路上の死体映像を見て唖然としました。時計の針が戻るような怖さを感じました。