2020年10月31日土曜日

キタテハとその食草のカナムグラについて

  1026日(月)に牛久沼周辺を散歩しました。気象庁によると日本の秋は9月~11月の三か月ということなので、今は秋真っ盛りということになります。牛久もこれから紅葉のシーズンを迎えることになる訳ですが、牛久沼の静かな湖面を見ていると、冬がもうすぐそこに来ているような感覚になりました。

10月末の牛久沼の風景

道路や田んぼの淵にセイタカアワダチソウが勢いよく茂っていました。その花にキタテハがたくさん集まっていました。よく晴れた日でしたので、頭上の花に止まっているキタテハがまぶしく見えました。


セイタカアワダチソウの花の蜜を吸うキタテハ

キタテハと姿が良く似た蝶々としてシータテハが知られています。どちらも後翅の裏側に白いCあるいはLの文字が明瞭に刻まれ、よく似ているので区別がつきにくいのですが、キタテハは翅の切れ込みがシータテハより浅く、後翅の表にある黒い斑点に水色の点があることから区別ができるとのことです。


 セイタカアワダチソウの花から花へと忙しく飛び回っているキタテハ、その幼虫の食草はセイタカアワダチソウではなく、カナムグラだということです。一方、成虫の姿が良く似ているシータテハの幼虫の食草は、ホップやハルニレ、エノキだということです。カナムグラは和製ホップと呼ばれることもあるようなので、シータテハの幼虫がカナムグラで生育できるかどうかに興味がもたれますが、これまでの牛久沼周辺散歩でシータテハを確認できていませんので、たぶん食性が異なるのかなと推察します。シータテハについては、唯一、岩手の東北高速道路の前沢サービスエリア(下り線)で出会った経験があります。

 カナムグラは和製ホップとの異名を持つようですが、日本での食経験はほとんどないようです。一方韓国や中国では、昔は民間薬として茎葉を利用したとのことです。結核や赤痢、腸炎に対する効能があり血圧にも有効だと言われていたようです。

カナムグラとツマグロヒョウモン

 こうした民間薬としての効能を科学的に解明するための研究も行われ始めており、パーキンソン病のモデル実験動物を用いた試験でも有効性が確認されたとのことでした1)。有効成分としてフラボノイドのアピゲニン-7-グルコシドとルテオリン-7-グルコシドが同定されてるようです。


アピゲニン配糖体やルテオリン配糖体はフラボングループに属するフラボノイドですが、フラボン系のフラボノイドを含有する野菜としては、パセリやセロリなどのセリ科野菜が有名です。ホップ類もセリ科野菜と同様なフラボノイド組成を持っているようなので、大変興味を持ちました。

 カナムグラはその蔓が強靭で鉄のように強いことに因み命名されたようです。草刈り機で刈ろうとすると歯にからみつくので、私にとっては最も苦手な雑草ですが、国外では民間薬として利用され、しかもフラボノイドの中でもなかなか入手しにくいフラボン系のアピゲニンとルテオリンを含有しているということなので、少し見直しました。

 参考)

1)Hee Ju Lee et al.: Derepication of Components Coupled with HPLC-q-TOF-MS in the Active Fraction of Humulus japonicus and It’s Protective Effects against Parkinson’s Disease Mouse Model., Molecules 2019, 24, 1435

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