東北大学と島津製作所が、呼気のタンパク質や代謝物を解析する「呼気オミックス」により、新型コロナウイルスの感染者検査や重症化予測技術を開発1)したとのことなので、この研究への支援による早急な実用化を世界各国が期待しているのではないかと思います。重症化の予測技術は医療にとって極めて重要です。効率的な医療のみならず医療崩壊の回避に大きく貢献するものと信じます。
新型コロナウイルスに対する無症状者について、米国では40.7%であったとの研究2)が最近公開されましたが、一方、同一学術誌に掲載された韓国の研究3)では、感染者632人に対する調査で58.7%が無症状者であったとのことです。最近話題のネアンデルタール人から引き継がれた遺伝子が、この差につながっているのでしょうか。
様々な研究成果は出始めていますが、一方で、新型コロナウイルスによるサイトカイン放出刺激は、他の疾患より弱いとする研究報告4)も出されています。新型コロナウイルスは、サイトカインストームにより重症化すると言われていますが、感染しても重症化しないグループはむしろサイトカイン放出は少ないということなのでしょうか。
まだ分からないことがたくさんあり、感染や重症化を医薬品等で完全にコントロールするまでには相応の時間が必要のように思われます。
今、私達に出来ることは、
①ソーシャルディスタンスやマスク、手洗いなどの公衆衛生的視点からの予防。 ②生活習慣病等の基礎疾患の予防・改善のための食生活の適正化や適度な運動の実施に努力すること。
日本は世界で最も高齢化が進んだ国として、幸いにも生活習慣病の予防に向けたメタボ検診や特定保健用食品、栄養機能表示食品、機能性表示食品などを制度化してきましたので、それらを有効に活用した賢い生活を一層浸透させる必要があるように思います。
1) 東北大学Press Release:息を用いた新型コロナ検査法を開発 10月16日
2)Matt Feaster et
al.: High Proportion of Asymptomatic SARS^CoV-2 Infections
in 9 Long-Term Care Facilities, Pasadena, California, USA, April 2020.Emerging
Infectious Diseases. 26(10), 2416-2419(2020)
3)Yong-Hoon Lee
et al.: Clinical Course of Asymptomatic and Mildly symptomatic Patients with
Coronavirus Disease Admitted to Community Treatment Centers, South Korea.
26(10), 2346-2352(2020)
4)Daniel E
Leisman et al.: Cytokine elevation in severe and critical COVID-19: a rapid systematic review, meta-analysis, and comparison
with other inflammatory syndromes. Lancet Respir. Med. October 16 (2020)
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