2020年1月26日日曜日

牛久沼周辺の鳥類とツバキの色素について


 1月24日に牛久沼まで散歩しました。曇りでしたが牛久沼は風もなく穏やかで、三日月橋付近には2匹のアオサギがいました。いつも稲荷川にいる2匹のハクチョウは、川から抜け出し田んぼのあぜ道を歩いていました。よちよち歩きなので少し滑稽に見えます。
牛久沼のアオサギとハクチョウ(1月25日)
   また、いつものようにオオバンは数匹が群れになり、ゆったりと泳いでいました。
稲荷川のオオバン

 今回特に目立ったのは、河原にいた鈴なりのスズメでした。にぎやかに騒いでいました。
河原にいた鈴なりのスズメ

 のんびりとした散歩でしたが、河童の碑付近の林にはかなりの本数のヤブツバキがあり、花が地面に落ちていました。ヤブツバキの種類の中には、花弁が紫になる「千年藤紫(センネンフジムラサキ)」という種類があるそうなので、もしかしたらと思い、丁寧に見て歩きましたがありませんでした。特別な種類なのかも知れません。
牛久沼周辺のヤブツバキ
 この品種の花色は不安定で、継続的に綺麗な紫色に咲かせることが困難だったことから、花弁が紫色になるメカニズムに関する研究が行われたようです。

それによると「千年藤紫」の花の色素であるアントシアニンは普通のヤブツバキと同じで、シアニジン3-ガラクトシドが最も多く次いでシアニジン3-グルコシドとそのパラクマル酸エステルからなっており、紫色を発現するために唯一異なる点は花弁中のアルミニウム含量が高いことだったとのことです1)
ヤブツバキのアントシアニン
土が酸性でアルミニウムイオンが根から良く吸収される条件になると、紫の花が咲くということが分かったようです。普通のヤブツバキも酸性条件下でアルミニウムイオンが供与されると紫色になるのかどうか興味がわきました。

青色に咲くアジサイでもアルミニウム含有量が鍵になっており、アジサイの場合はシアニジンより水酸基が一つ多いデルフィニジン配糖体が主体のようですが、これにアルミニウムが結合しさらにキナ酸誘導体が関与して青色が形成されることが明らかになっていました2)
アジサイの青色色素 (参考2より引用)
この研究グループは紫つゆ草の青色色素コンメリンや矢車草、朝顔等の青色色素等の極めて複雑な構造の解明にも成功しているので、共同研究が行われれば、ヤブツバキの「千年藤紫」の紫色素の完全構造も近いうちに解明されることになると思っています。



参考)

1)Natsu Tanikawa et al.: Aluminum Ions are Involved in Purple Flower Coloration in Camellia japonica “Sennen-fujimurasaki”., The Hort. J. 85(4), 33339206

2)Ito T. et al.:Direct Observation of Hydrangea Blue-Complex Composed of 3-O-Glucosyldelphinidin, Al3+ and 5-O-Acylquinic acid by ESI-Mass Spectrometry. Molecules 23(6), 1424(2018)


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