ジャガイモの毒成分は花に最も多く0.2%~0.5%にもなると前回書きました。葉には花ほどではないにしても、芋の約20倍含有されているようですので、間違ってほうれん草のように調理して食べると危険です。サツマイモの茎葉は美味しく食べることができることから、サツマイモの葉とジャガイモの葉が「芋の葉」として混同されている様子がネット上でうかがえます。サツマイモには、茎葉を食べるために開発した品種「すいおう(翠王)」があり、販売されているようです。体に良いと言われているルテインやポリフェノールをたくさん含んでいるようなので、私も栽培にチャレンジしようと思っています。
トマトの毒成分は「トマチン」と呼ばれるグリコアルカロイドで、名前がとても分かりやすいです。トマチンもトマトの花に最も多く約0.1%含有されているとのことなので、ジャガイモのばあいと同じで、種子の形成を守っているのでしょう。茎葉のトマチン含有量は花よりやや少なめですが、トマト果実では熟すにつれて急激に減少し、花や茎葉の2000分の1程度になるようです1)。しかも毒性はソラニンやチャコニンより低いようなので、トマトによる食中毒などの事件は世界的に見ても報告されていないようです。ただし、茎葉の安全性については良く分かっていません。茎葉の半量程度のトマチンを含有する未熟トマトを、フライやピックルスとして長い間食べている米国では、トマチンの毒性を心配する人は少ないようです。また、葉はトマトの匂いが強いので、ヨーロッパではサラダやスープに香りづけとして利用しているようで、ジャガイモとは違って茎葉に対する警戒感が薄いようです。
また最近、トマチンは腸管からの吸収が少ないことや、コレステロールの低減作用を持つことが報告されていましたが、さらに筋肉を増強しサルコペニアを予防する作用2)や線虫を用いた実験による健康寿命の延伸作用3)があるかもしれないという朗報が注目を集めています。筋肉を増強しサルコペニア予防作用があるかもしれないということなどが報告され、注目を集めています。先ずは、未熟果実の利用が活発になるようですが、茎葉の安全性が確立されれば、トマト栽培が大きく変わるかもしれません。
でも、現時点でトマトハウスの芽かき葉を天ぷらにして、子供にも食べさせることには賛成できません。グリコアルカロイドに対する子供の感受性は高いようです。
参考
1)Friedman M. et al.: J. Agric. Food Chem., 50, 5751 (2002)
2)Michael C. Dyle et al. : JBC, 289(21), 14913 (2014)
3)Svandro F. Fang et al. : Scientific Reports 7, 46208 (2017)
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