ジャガイモの強力な敵はシスト線虫のようです。線虫・ネマトーダと言われても正体がわかりません。線虫の汚染は深刻で、一度汚染されると20年以上も生息するそうです。線虫抵抗性品種はすでに開発されているようですが、抵抗性を持たない品種の「男爵」や「メークイン」を消費者が、あいかわらず購入するので生産地では抵抗性品種に変えたいと思いつつも、それらの固定品種を植えながら線虫とたたかう日々が続いているとのことです。北あかりやトウヤなどが抵抗性品種ということなので、次はそれらにもトライしたいと思います。
線虫の増加を防ぐにはマリーゴールドが有効なようで、主要な薬効物質も解明されています。硫黄1個と4個の炭素が5角形を形成した骨格が3個つながった規則的な構造を持つターチオフェン1)という化合物で目に焼き付きました。三浦大根の里ではマリーゴールドを畑地にすきこんで、大根の表面にでこぼこを作る線虫の密度を減らしているそうです。
今回マリーゴールを利用することは無理ですが、ついでに、マリーゴールドについて調べて見たところ、その抽出物は医薬品や食品添加物として使用されているようです。医薬品としては「網膜色素変性症における一時的な視野・暗順応の改善」とされ、バイエル薬品株式会社が「アダプチノール」として第二次大戦時の1946年頃から製造・提供しているとのことです。花びらの黄色い色素であるルテインの脂肪酸エステルを主成分とする錠剤で、日本では1956年に販売が開始されています2)。一方、食品添加物もやはり同様に花びらの黄色色素のルテイン脂肪酸エステルを主成分とするもので、「着色料」として「既存添加物名簿収載品目リスト」に掲載されていました。
コンパニオンプランツなどと呼び、ジャガイモを守ってくれる護衛のような扱いをしましたが、マリーゴールドもなかなか存在感のある植物であることが分かりました。
参考
1)畑田 清隆ら:日本線虫研究会誌、15, 11(1985)
2)平沢 美瑠子:関西医大誌、10(3)、310(1958)
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