散歩に出てみると、定禅寺通りのケヤキの葉がかなり落ち、そろそろ光のページェントの準備が始まりそうな気配です。西公園の紅葉はまだまだ奇麗に色づいたままですが、人影はまばらでした。
でも久しぶりの晴天の中、地下鉄入り口の屋根に鳩が集まり日光浴をしていました。西公園の猫も日向ぼっこです。広瀬川の白鷺は枯れた雑草をしり目に透き通った水の流れに鋭い目を向けています。いつの間にか、仙台もだいぶ寒くなりました。
もう今年の畑仕事は終わってしまいましたが、ジャガイモの病気についてほとんど無知であったことを反省しています。私が収穫したジャガイモの中にはそうか病になっているものが結構ありましたし、収穫時に腐敗していたものもありました。今年の種芋には、昨年同じ畑で栽培・収穫して食べ残した小さなサイズの芋をそのまま切断せずに使用したのですが、そもそも、そうか病などの病気の有無を点検せず、無選別のまま植えてしまったことが収量減を招いた原因の一つのように思っています。私のような初心者は購入した種芋を植えるのが一番かも知れません。
ジャガイモにも多くの病気があることを知りましたが、無農薬栽培をしていますので、ジャガイモの抵抗力を高める方法について知りたいと思い、葉や根にいる常在菌について調べてみたいと思いました。人間でも納豆菌や乳酸菌を食べると腸内細菌叢が改善し体調が良くなると言われているからです。
人間の腸内細菌に関する研究が、次世代シーケンサーによる遺伝子配列解読の高速化に伴い急速に進展しました。その結果の一つとして、ヒトの腸内細菌叢は、ファーミキューテス門、バクテロイデス門、プロテオバクテリア門、アクチノバクテリア門に分類され、その内全体の80~90%を占めると言われているファーミキューテス門とバクテロイデス門の比率が肥満と痩身に関与するとの報告が行われ注目を集めているようです。でも、肥満に関与すると推定され恐れられているファーミキューテス門には、これまで善玉菌とされてきた納豆菌や乳酸菌が属するので、さらに詳しい検討が行われているようです。結果が楽しみです。
この細菌分布の解析技術は、土壌や植物などあらゆる環境微生物の解明に貢献し始めており、ジャガイモでもその葉面と内部、根圏と根の内部に存在する細菌の分布に関する研究が行われていました。
ジャガイモの葉面にはバシラス属菌が多く付着し葉内部にも最も有名なバシラスサブチルスがエンドファイト(体内細菌)として存在するようです。この菌は、野菜の灰色カビ病やうどんこ病への微生物農薬として既に利用されている種類であり、ジャガイモ葉での耐病性にも関与しているのでしょう。
また、根の周りの土壌(根圏)や根の内部にはシュードモナス属の菌が常在菌として分布しており、これらのうちP. fluorescensは日本においてレタスの腐敗病やキャベツ黒腐病に対する微生物農薬として登録されているようです。また根の内部に多く生息するP. putidaは有機物の分解能力が高くタンカー事故などで流出した原油の分解に有効であることから、1981年には米国特許微生物第1号として正式に許諾されたことで良く知られているグループのようです。この細菌がジャガイモの根の内部でどのような役割を担っているのか知りたいと思いました。
1)三好真琴ら:静脈経腸栄養,28(4),9(2013)
2)Cabriele B. et al. : FEMS Microbiology Ecology, 51, 215(2005)
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