2018年4月25日水曜日

春の笊川ほとりの草花、シソ目とその機能

  4月21日には、仙台市体育館に隣接した富沢運動公園や笊川を散歩して草花の写真をとりました。運動公園にはムラサキサギコケが咲いていました。ずーと前、子供たちが幼稚園の頃、田んぼ一面にムラサキサギコケが咲いていたのを懐かしく思い出しました。ムラサキサギコケはシソ目ハエドクソウ科に属するそうです。



笊川のほとりを歩いているとムラサキサギゴケとよく似た花が目に留まりました。でも、葉が丸い形をしています。家に帰って調べたところツタバウンランであることが分かりました。やはり同じシソ目ですがオオバコ科に属するようです。オオバコとは全く違うようも見えますが、オオバコ科はかなり多様性があるようで、イヌノフグリやオオイヌノフグリも同じ仲間だということです。



また、カキドオシも満開でした。小さなカキドオシが所狭しと生えています。カキドオシはシソ目シソ科のカキドオシ属に属するそうです。梅干しなどに使用する紫の葉のシソはシソ目シソ科シソ属なので正真正銘のシソということになります。でもカキドオシの花はかなりシソに似ています。



カキドオシは、摘採後に乾燥してカキドオシ茶としてハーブのように利用されるそうなので大変興味を持ちました。まだまだ小さなカキドオシですが、夏に向けて弦を伸ばしてどんどん成長し、ヤブガラシとまではいかないもののたくましく育つ雑草なので、その有用性が明らかになればいいなと思い調べました。カキドオシには、シソ科に特有な成分である抗酸化成分のロズマリン酸のほかにトリテルペノイドの一種であるウルソール酸やオレアノール酸を含1)むとのことです。オリーブ果実に含有されるトリテルペノイドのマスリン酸2)にはサルコペニア等の予防作用があるものとして注目され、すでに商品化されていますので、期待が持てます。


後で、調べてみたいと思います。

参考)
1)H.Tokuda et al.: Cancer Letters, 33(3), 279(1986)
2)S.Fukumitsu et al.: J. Clin. Biochm. Nutr., 61(1), 67(2017)

2018年4月23日月曜日

笊川のコガタルリハムシのライフサイクル

   ハリルホジッチ監督の通訳をしておられた樋渡 群さんがハリルホジッチ監督の記者会見の際におもわず涙を流したことが話題になっています。その風貌から海外の方かなと思ってテレビを観ていたところ、日本人樋渡(ひわたし)さんとのことで、何故か凄く感動しました。信じて心を通わせることのできる人なんだなと思いました。不倫騒動やセクハラ騒動とは全く対照的で、ホットしました。

桜が散った笊川にはアッという間に、草花や昆虫が活動し始めています。4月20日に出会ったベニシジミやコガタルリハムシは仙台では年中枯れることのないギシギシを主食とする昆虫だったことを初めて知りました。だから、いち早く活動することができた訳です。

まだ詳しい種分別はできていませんが、牧草地に多く生えているもののシュウ酸が多くて牛はあまり食べることのない外来種のエゾノギシギシなどスイバ属の植物は、牧草地では嫌われている訳なので、その除去が期待されているということも良く理解できます。

そのスイバ属の「除草昆虫」として、スイバ属を主食とするコガタルリハムシが注目されたことは理解できます。でも、その休眠形態はあまりにも不思議すぎます。哺乳類の休眠に関する研究によると、休眠には環境変化を感じて休眠をするタイプと、環境変化に左右されず年周性に基づき、休眠するタイプがあるようです。コガタルリハムシは6月後半から春になる4月までの十ヵ月休眠するとのことなので、その仕組みをぜひ解き明かして欲しいと思っています。



冬眠を研究し、シマリスの血液から冬季に脳に移行する冬眠たん白質1
Hibermation-specific protein)を発見した近藤先生によると、10匹のシマリスのうち1匹ぐらい冬眠しないものがいて、それは短命であったということです。昆虫の仕組みと動物の仕組みを比べるなどして、冬眠のみならず「クマノミの乾眠」も含めて解明がすることを楽しみにしています。

笊川には、ギシギシアブラムシの発生に合わせて、ナナホシテントウとナミテントウが確認できました。
これから、笊川の昆虫はしばしば報告することになると思います。

参考)
1)Hideaki Kondo, et al. : Cell, 125,161(2006)

2018年4月22日日曜日

除草昆虫としてのコガタルリハムシ

 今日4月22日(日)には、冬季オリンピックのフィギャースケートで2連覇を果たした羽生弓弦選手のパレードがありました。10万人以上の人出があったようです。大リーグのロサンゼルス・エンジェルスの大谷選手もそうですが、東北出身の若者が世界から注目されていることが、ほんとうに力になります。これからも注目します。
 笊川のほとりを冬の間も時々散歩していましたが、目につく雑草はギシギシあるいはノダイオウなどスイバ属でした。タデ科スイバ属の、スイバ、ギシギシ、ノダイオウ類の識別はかなり難しく、私は今現在ほぼ区別ができていません。

 4月20日(金)は晴天だったので笊川のほとりを散歩しましたが、その際、モンキチョウやモンシロチョウがそれぞれ数羽飛び回っていました。激しく飛び回るので写真は撮れませんでしたが、運よくベニシジミの写真を撮ることができました。


 ベニシジミの幼虫の餌はギシギシなどスイバ属の植物だということです。ギシギシなどは、仙台では冬の間も枯れることなく地面にへばり付き頑張っているので、ベニシジミは春一番の蝶として飛び回ることができる訳です。
 
 4月20日には、このギシギシの茎にギシギシアブラムシ(Aphid rumicis)が黒く群れいるものが数本見つかり、また、ギシギシを主食とするコガタルリハムシ(Gastrophysa asrocyanea)の成虫や卵も確認できました。その周囲を観察すると、ギシギシの葉が見る影もないほどの食害にあっているものもあり、黒いコガタルリハムシの幼虫が葉全体を食べ尽くしていました。仙台ではもう植物と昆虫の戦争が始まっていることが見て取れます。つい最近までとても寒くて、昆虫は越冬に苦しんでいるだろうと思っていましたが、桜の開花とともに植物も昆虫も一斉に目覚めたようです。









 実は、コガタルリハムシは極めて特殊な生活史を持つ昆虫のようです。写真に写っている黒い幼虫はいったん土に潜って蛹になり、土の中で成虫になり、6月中旬に地上に出てギシギシを1週間程度食べ、再度ギシギシの根付近6~10cmの土中に潜り休眠に入るとのことです。休眠から目覚めるのが翌年とのことなので、私が写真に撮った成虫は十ヵ月に及ぶ休眠からようやく目覚めてギシギシを食べ、卵を産む準備をしていたということになります。


 おもしろいことに、コガタルリハムシはギシギシを専門に食べる昆虫なので、これを牧草畑のギシギシ退治に利用することが検討されたようです1)。「除草昆虫」というアイデアです。残念ながら、まだ実用化には至っていないようですが、コガタルリハムシに関する研究が進展することによって、このコガタルリハムシがシュウ酸を多量に含有するギシギシを食べて生存できる仕組みの一端が解明されたとのことです。コガタルリハムシはシュウ酸をピルビン酸に変え、さらに乳酸に変換して最終的にエネルギー源として利用しているとのことです。

 シュウ酸は、タデ科のみならずアカザ科にも多く、日常よく食するホウレンソウにも多いことで有名で、人間にとっては「アク」として嫌がられている訳ですが、昆虫は動物が嫌がる植物を選び、それを主食とする生存戦略で生き延びている訳で、本当に感心します。

参考)
1)石黒慎一ら:蚕糸・昆虫バイオテック、84(2)1452015



2018年4月21日土曜日

仙台博物館に行きました

  4月20日は仙台市の博物館に行き、手仕事の日本(柳宗悦のまなざし)展を見ました。柳宗悦は日本各地の手仕事を見歩き、「本物」との出会いを楽しみ収集し、日本民芸の祖と呼ばれるようになったことは知っていましたが、そのコレクションや活動の実態について、これまで出会い知る機会はありませんでした。 
   私が幼いころに身の回りにあった生活用品が、実は郷里の民芸品であったこと知り、ほんとうに驚きました。親戚のおじいさんがよくもってきた竹籠や、茶わんを入れる木造の籠、藁や樹皮で作ったミノ・ケラなどは、実はかなり手の込んだもので、どれも上手に作るには相当の経験が必要だったことをあらためて実感しました。展示されているものは、芸術品に相応しいものだと思いました。実は、生活必需品の多くに創意工夫があり、地域の伝統工芸品として日本各地で発展していたことを知り、尻をたたかれたように思いました。 
 帰り道、日本のスケート発祥の地といわれている池と反対側の斜面に、エンレイソウの群落がありました。エンレイソウは結構珍しい野草なので写真を撮りました。また松の実が発芽し、たくさん芽が出ていたので写真を撮りましたが、残念ながらこれらが大木になることはないのでしょう。



 仙台駅まで歩く途中の西公園付近で、カラスのエンドウとスズメノエンドウが勢いよく茂っていました。青葉通りの欅も新緑となり、春爛漫の仙台でした。


2018年4月19日木曜日

今年は、去年のジャガイモから豆に変更

 私の散歩コースの笊川や三神峯公園の桜は4月10日ごろに満開になり、笊川のほとりではイヌノフグリやヒメオドリコソウなどがあちこちに咲いていました。また、三神峯公園ではカタクリの群落も満開になり、ウキウキとした「春の感覚」を久しぶりに味わいました。





 4月14日(土)には、郷里の岩手に行きましたが、残念ながら桜の花はまだまだつぼみのままでした。桜の花は5月の連休の少し前に咲くのが通例なので、当然かもしれません。でも、田植え用の苗の播種がビニールハウス内で盛んに行われていて、北国もいよいよ農作業の始まりだなと感じました。

昨年はジャガイモを植えて、その様子を見ながら昆虫にフォーカスしてブログを綴りましたが、今年は豆や「変わった野菜類」を植えてみようと思っています。豆について、まだほとんど知識はありませんが「公益財団法人豆類協会」1)によると、日本で流通している主な豆科(Fabaceae)種実は、ササガ属、インゲンマメ属、ソラマメ属、エンドウ属、ヒヨコマメ属、ヒラマメ属、ダイズ属、ラッカセイ属の8属に分類できるとのことで、豆類協会はそれらに属する94種類の写真を公開しています。私はそれらの中からベニバナインゲン種の白花豆と紫花豆、インゲンマメ種の虎豆、ダイズ種の黄ダイズ、黒大豆の栽培に挑戦してみたいと思い、岩手や宮城の道の駅で既に入手していますが、どうなることやら。

5月の連休には再度岩手に戻り種播きをする予定ですが、たくさんの失敗談が書けるのではないかと思います。

私の家庭菜園は高速道路経由で3時間の遠距離にありますので「遠距離家庭菜園」と呼ぶことにしていますが、イタリアにはパソコンから指令できる「遠距離家庭菜園」があるそうです。これは家庭菜園を保有する企業が希望者に菜園の一区画を提供し、その管理をパソコンから指示できる仕組みにしたもので、菜園の状況はパソコンで随時観察できるそうです。都会人にとっては、労力が不要で安全・安心な作物を得ることのできる理想的な家庭菜園かもしれませんが、失敗が許されないような雰囲気を感じます。一方、私の家庭菜園は運動不足の解消や昆虫・雑草の観察も兼ねているものなので、収穫があったらもうけものというゆるい感覚ですので、それとはかなり異なります。帰郷を兼ねた作業なのでいつも楽しみにしています。

 参考)
1)https://www.mame.or.jp/eiyou/kinou.html