2019年7月16日火曜日

八幡平の茶臼岳への登山


710日に八幡平の茶臼岳(1,578m)に登りました。
茶臼岳から望む岩手山と早池峰山

8時頃に茶臼岳登山口駐車場に着き、すぐに登山を開始しました。登山道は歩きやすいように整備されており、その両脇にはマイヅルソウの花が咲いていました。
登山口駐車場から頂上への登山道

マイヅルソウ


また背の低いナナカマドの小枝に咲いた花にはハナカミキリと思われる昆虫がたくさん集まっていました。朝早い時間から昆虫が活発に活動している様子が良く分かりました。
ナナカマドの花に集まったハナカミキリ類

ヤマトヨツスジハナカミキリとアオジョウカイ


山の頂上付近には休憩や宿泊が可能な茶臼山荘がありますが、そこまでの登山道にはハクサンチドリやイワカガミ、さらにイワハゼやツツジ科のウラジロヨウラク等の花が咲いていました。
ハクサンチドリとイワカガミ

イワハゼとウラジロヨウラク


茶臼山荘から頂上までは僅か200mです。頂上には915分に到着したので、登頂には1時間15分要したことになります。

あちこち写真を撮りながらの登山でしたので、ゆっくりしたペースで登った場合の所要時間と見ていいと思います。

岩手山の山腹には雲がたなびいていましたが、晴天でしたので遠方にそびえる早池峰山も雲の上に確認することができました。朝早い時刻の登頂でしたので、頂上は貸し切り状態で、眺望を楽しみながらゆっくりと30分ほど滞在することができました。
茶臼岳頂上からの眺め   朝(左)、昼(中央)


頂上には白いハクサンシャクナゲが咲いていました。登頂途中に見たピンク色のシャクナゲともども、高山にはめずらしい豪華な雰囲気を漂わせていました。
ハクサンシャクナゲ


また、ヒメツガの小さな松ぼっくりもかわいらしかったです。
茶臼岳頂上のヒメツガ松ぼっくり


ヤマキマダラヒカゲとアゲハチョウにも遭遇しました。真っ青な空を自由に飛び回るアゲハチョウを眩しく感じました。
茶臼岳頂上のヤマキマダラヒカゲとアゲハチョウ


その後、茶臼岳頂上から黒谷地に向かい35分程度で黒谷地の見晴らし台に到着し、しばらく見学した後1040分に再び茶臼岳頂上を目指し歩き始めました。
茶臼岳から黒谷地までの山道と黒谷地展望台


黒谷地はニッコウキスゲの群落で有名なようですが、残念ながらまだ蕾の状態で、ワタスゲの花が湿地と丘の境目付近に群落を形成し咲いていました。

茶臼岳頂上には1120分頃(所要時間40分)に到着しましたが、朝にはあった岩手山中腹の雲はすっかり消えていました。頂上からの眺めは、朝の風景とはまた違った趣になり得をしたような気分になりました。

1140分に山頂から登山口駐車場に向けて下山し1210分に到着しました。

初めての茶臼岳登山が晴天に恵まれ本当に幸運でした。まさか、遠方の北上山地の最高峰である早池峰山が茶臼岳から見えるとは思っていませんでした。久しぶりに爽快な気分を味わうことができました。

茶臼山荘の雑記帳には、5歳の子供を連れて東京から登山に来られた方の感想が記載されていましたが、茶臼岳は比較的登りやすいのに標高もそれなりに高く、また頂上がはっきりそれと分かる山なので、達成感を得ることのできる代表的な山の一つだなと感じました。


2019年7月15日月曜日

スカイブルーのカメムシに遭遇しました



7月5日に牛久から岩手に行きましたが、その際常磐高速道路では中郷サービスエリアと南相馬鹿島サービスエリアで、また仙台からの東北自動車道路では長者原サービスエリアと前沢サービスエリアで休憩をとりました。高速道路のほとんどのサービスエリアは公園のように整備されているので、草花や昆虫等の写真を撮るのが楽しみです。

今回は、長者原サービスエリアで大きくて綺麗なカメムシに遭遇しました。丁度目の高さにある桜の小枝の葉に止まっていたカメムシの色が、なんと鮮やかなスカイブルーだったのです。後で調べたところアオクチブトカメムシのようです。インターネットや日本原色カメムシ図鑑等に掲載されている見本写真に比較しても、かなり見栄えの良い個体でした。写真を撮った後に捕まえたのですが、飼育は無理なので木に戻してあげました。残念です。
アオクチブトカメムシ



カメムシについては、以前にもエサキモンキツノカメムシやヨツモンカメムシに遭遇しましたが、またさらに珍しい種類に出会うのが楽しみになりました。
エサキモンキツノカメムシ

ヨツモンカメムシ


岩手では親戚の方々から農産物を分けて頂く機会が良くありますが、今回はたまたま親戚の畑に行く機会があり、その際アスパラガス畑でジュウシホシクビナガハムシの写真を撮ることができました。また、そのハムシと何か関係でもあるのでしょうか、同じ場所で数匹の比較的に珍しいと言われているツマジロカメムシにも遭遇しました。ジュウシホシクビナガハムシはテントウムシとそっくりの配色になることで、鳥に食べられないようにしているのでしょう。
ジュウシホシクビナガハムシ

ツマシロカメムシ


今、農村ではクサギカメムシやスコットカメムシ等が大発生し冬季に越冬のため住居に侵入することが問題になっています。寝室でも見かけることがあるので、手作業による捕獲のためのガムテープが必需品になっています。
住居に侵入するクサギカメムシ(左)とスコットカメムシ(右)


嫌われ者のカメムシですが、日本原色カメムシ図鑑を見るとその多様性は見事としか言いようがない程で、臭いを忘れて珍しい種類との遭遇を期待してしまいます。


2019年7月14日日曜日

大豆類や花豆、ジャガイモの生育状況

    7月5日から1週間、岩手に行き除草等の畑作業を行ってきました。

大豆や黒豆、茶豆、鞍掛豆については、先月の状況からハムシ等の害虫による被害が心配でしたが、食害は少しあるものの雑草とともに比較的順調に生育していました。手作業で草取りをしながらハムシ等の害虫を探したところ、それらしい小さな小さな虫を1~2匹見つけましたが写真は撮れませんでした。逃げ足が速かったです。
黄大豆、黒大豆、茶豆、鞍掛豆の生育状況(7月8日)
蔓性の紅花豆と白花豆には花が咲いていましたが、まだ結実はしていないようです。花の周りにハナバチやハナアブの姿がほとんどないので少し心配です。少し離れた場所に植えてあるラベンダーの花には、ハナアブが群れていますが、豆の花には飛んできません。
紅花豆の生育状況(7月8日)

白花豆の生育状況(7月8日)

ラベンダーの花とハナアブ

ジャガイモもほぼ順調に生育していましたが、オオニジュウヤホシテントウが増え始めているようでしたので採集したところ、斑点が融合したものも見つかりました。また、たぶん雑草目当てで侵入したと思われるマメコガネやブチヒゲカメムシなどの害虫も結構いました。一方、ナナホシテントウの他にアマガエルもいましたので、ジャガイモ畑の中で様々な戦いが展開されていたものと予想されます。アマガエルが幼虫をどんどん食べてくれることを期待してしまいます。食性を調べて見たいと思いました。
ジャガイモの生育状況とその害虫や益虫など
有害:オオニジュウヤホシテントウ、マメコガネ、ブチヒゲカメムシ
有益:ナナホシテントウ、アマガエル(昆虫を捕食)


ジャガイモ畑から採集したオオニジュウヤホシテントウ

畑は瘦せた赤土なので雑草としてはスギナが最も多く、次いでノビエ等のイネ科雑草に加えタデ類やツユクサ、アカザ科のシロザ等が大半を占めています。大型の雑草としてはイタドリやコンフリー、イヌキクイモも生えていて、これらは根茎の多年性植物なので放置しておくと優占種になってしまいます。

これら雑草のうち、イタドリやツユクサにはマメコガネが群がっていました。また、シロザやアカザはかなりの頻度で著しい食害にあっています。でも、コンフリーやイヌキクイモは、害虫による食害をほとんど受けていないようです。
アカザ科のシロザの害虫による食害
畑の生物圏も複雑です。雑草を引き抜いていると、その名前や特徴などが気になり始めました。
今回は他に、小梅が60kg程収穫できました。3年ぶりの大収穫で、ほとんどを直ぐに梅漬けにしました。

小梅の収穫(10kg)→ 全部で60kg
 岩手でお世話になっている方々に梅漬けを30㎏配分しました。良かったです。南高梅もたくさん実をつけていましたが、収穫するにはまだ早いようでした。


2019年7月3日水曜日

アリと共生するアブラムシは20-30%?



牛久沼のほとりで白くて大きなキスゲフクレアブラムシを見て、その大きさに驚きましたが、調べて見たところナミテントウの幼虫はこのアブラムシを餌として利用することが出来るようです1)。でも、このアブラムシだけで飼育すると成虫になりにくいようなので、あまり良い餌とは言えず天敵であるテントウムシによる防除は無理なようです。
キスゲフクレアブラムシ


 このキスゲフクレアブラムシの秋から春にかけての二次寄生植物は木性のミツバウツギやゴンズイとのことです。キスゲ類が秋に枯れた後は、これらの樹木に寄生して冬を乗り切る訳です。従ってキスゲ類の被害を軽減するためには、これらの樹木を遠ざけておけば良いということになります。

 もっとも、キスゲフクレアブラムシにも羽が生えますし、またもしアリと共生関係にあれば、二次寄生植物からの拡散は容易なのかもしれません。

 アリとアブラムシの共生は有名で誰でも知っていることですが、調べてみるとアリと共生するアブラムシの種類は全体の20-30%程度とのことでした。日本産好蟻性動物仮目録2)には72種類のアブラムシが掲載されていますが、その中にキスゲフクレアブラムシはありませんでした。これまで、ほとんどのアブラムシはアリと共生しているものと思っていましたので意外です。


 もっとも、一般的に「アブラムシ類の90%程度は単一食性(monophagous)である」と言われているものの、実際はアリと共生関係にあるモモアカアブラムシやワタアブラムシ等が親しみのある多くの作物や花卉類、果樹類に寄生できる広食性であるため、目にふれるチャンスが多く、「アブラムシはアリと共生する生物(アリマキ)」として認知されやすいのだと感じました。

 これまで撮ったアブラムシの写真を探したところ、ヨモギに寄生しているアブラムシ(ヨモギヒゲナガアブラムシ)の写真には、2種類のアリが写っていました。日本産好蟻性動物仮目録に記載された情報によれば、小さいほうがトビイロケアリで大きい方はクロヤマアリということになります。
ヨモギヒゲナガアブラムシと共生アリ


 イタドリに寄生したアブラムシの写真にもアリが写っていました。但し、イタドリに寄生する最も一般的なアブラムシであるイタドリオマルアブラムシの目印になっている黒い斑点が背中にありませんので、その容姿から判断するとギシギシアブラムシかも知れません。
イタドリに寄生したアブラムシとその共生アリ

 この他に、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシの写真も撮っていましたが、これにはアリは写っていませんでした。日本好蟻性動物仮目録にも掲載されていません。
セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ


 アブラムシの写真はピントが合いにくいのであまり撮っていませんでしたが、これから頑張って撮ろうと思いました。アリとアブラムシの関係は相利共生系だと言われていますが、その中身はなかなか面白そうです。



参考)

1)Tsunashi Kano et al. : Influence of aphid-host plant pairs on the survivorship and development of the multicolored Asian ladybird beetle: implications for the management of vegetation in rural landscapes. Ecol. Res., published online 21 July 2010.

2)寺山 守、丸山 宗利:日本好蟻性動物仮目録、ARINo.30、1~532007