牛久沼のほとりで白くて大きなキスゲフクレアブラムシを見て、その大きさに驚きましたが、調べて見たところナミテントウの幼虫はこのアブラムシを餌として利用することが出来るようです1)。でも、このアブラムシだけで飼育すると成虫になりにくいようなので、あまり良い餌とは言えず天敵であるテントウムシによる防除は無理なようです。
キスゲフクレアブラムシ |
このキスゲフクレアブラムシの秋から春にかけての二次寄生植物は木性のミツバウツギやゴンズイとのことです。キスゲ類が秋に枯れた後は、これらの樹木に寄生して冬を乗り切る訳です。従ってキスゲ類の被害を軽減するためには、これらの樹木を遠ざけておけば良いということになります。
もっとも、キスゲフクレアブラムシにも羽が生えますし、またもしアリと共生関係にあれば、二次寄生植物からの拡散は容易なのかもしれません。
アリとアブラムシの共生は有名で誰でも知っていることですが、調べてみるとアリと共生するアブラムシの種類は全体の20-30%程度とのことでした。日本産好蟻性動物仮目録2)には72種類のアブラムシが掲載されていますが、その中にキスゲフクレアブラムシはありませんでした。これまで、ほとんどのアブラムシはアリと共生しているものと思っていましたので意外です。
もっとも、一般的に「アブラムシ類の90%程度は単一食性(monophagous)である」と言われているものの、実際はアリと共生関係にあるモモアカアブラムシやワタアブラムシ等が親しみのある多くの作物や花卉類、果樹類に寄生できる広食性であるため、目にふれるチャンスが多く、「アブラムシはアリと共生する生物(アリマキ)」として認知されやすいのだと感じました。
これまで撮ったアブラムシの写真を探したところ、ヨモギに寄生しているアブラムシ(ヨモギヒゲナガアブラムシ)の写真には、2種類のアリが写っていました。日本産好蟻性動物仮目録に記載された情報によれば、小さいほうがトビイロケアリで大きい方はクロヤマアリということになります。
ヨモギヒゲナガアブラムシと共生アリ |
イタドリに寄生したアブラムシの写真にもアリが写っていました。但し、イタドリに寄生する最も一般的なアブラムシであるイタドリオマルアブラムシの目印になっている黒い斑点が背中にありませんので、その容姿から判断するとギシギシアブラムシかも知れません。
イタドリに寄生したアブラムシとその共生アリ
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この他に、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシの写真も撮っていましたが、これにはアリは写っていませんでした。日本好蟻性動物仮目録にも掲載されていません。
セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ |
アブラムシの写真はピントが合いにくいのであまり撮っていませんでしたが、これから頑張って撮ろうと思いました。アリとアブラムシの関係は相利共生系だと言われていますが、その中身はなかなか面白そうです。
参考)
1)Tsunashi Kano et al. : Influence of aphid-host plant pairs on the
survivorship and development of the multicolored Asian ladybird beetle:
implications for the management of vegetation in rural landscapes. Ecol. Res.,
published online 21 July 2010.
2)寺山 守、丸山 宗利:日本好蟻性動物仮目録、ARI、No.30、1~53(2007)
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