2019年10月12日土曜日

シリアゲムシの奇抜な配偶行動

  台風19号の襲来が予告されていましたが、10月11日に牛久市の遠山保全林・谷津田散策コースを歩きました。以前歩いた際に、遠山保全林の入り口でルリタテハに会いましたので、今回もと期待していました。
牛久市遠山保全林の入り口と出口

 でも残念ながら、今回は蝶々など目立った昆虫はいませんでした。その変わり、セイタカアワダチソウの花に白い物が付着していることに気づきました。よく見ると白い蛾の上に見たことのない昆虫が2匹乗っかっていました。後で調べたところ、ヤマトシリアゲでした。交尾していたようです。
ヤマトシリアゲのツガイ(10月11日)
 なぜ蛾の上に乗っかってシリアゲムシが交尾しているのか腑に落ちませんでした。というよりも、なぜこのような状況になっているのか全く理解できませんでした。

 あとで調べたころ、シリアゲムシのオスは餌を獲得するとフェロモンを放出してメスを呼び寄せ、メスに餌を提供する配偶行動を行う習性があるとのことでした。これを「婚姻贈呈」というようです。白い蛾を確保して、メスを呼び配偶行動をしていたところに私が直面したということのようです。ということは、餌を食べている方がメスということになります。
ヤマトシリアゲ(10月11日)
 シリアゲムシの配偶行動には、環境に応じて①餌の贈呈なしの交尾、②餌贈呈(婚姻贈呈)による交尾、③唾液を提供する交尾などがあるようですが、やはり②の成功率が高いとの事です1)。餌が充分にあり交尾が20分以上続くとオスは交尾を止め、餌とともに移動し別のメスを呼び寄せることもあるそうです。う~ん。

 今回は、遠山保全林を通り過ぎ谷津田を通り抜けるあたりから雨が降り始め、急いで帰ることになり、昆虫の写真はヤマトシリアゲのみになってしまいました。でも、ヤマトシリアゲの婚姻贈呈には驚かされました、インパクトがあり過ぎです。

 昆虫の世界は本当に多様です。「まして人間おや」かな?

 今日12日は東海・関東が台風19号の直撃を受けています。牛久市でも風と雨が家をたたき続けています。今22時、ゴーと風がうなり、家の屋根が飛ばされないかと心配しています。東日本大震災を仙台で経験しましたが、その後、日本では毎年自然災害が発生しています。耐え克服することで日本人は一つになり、その都度強くなっているように思います。
 東日本大震災の数か月後に、大きな被害を受けた南三陸の海沿いの道を車で通った際、一軒だけ被災を免れたガソリンスタンドがあり、営業していました。その入り口に「海のバカ」と書かれた木片が立てかけてありました。ホロリと涙がこぼれてしまった事を今も思い出します。それでも海とともに生きざるを得ない、嫌いになれないという思いを感じました。

参考)
1)佐藤 和樹ら:日本産シリアゲムシ9種の配偶行動の比較、信州大学環境科学年報、40号、64-712018

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