WHOは、2020年1月30日に新型コロナウイルス感染症について発出した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC)」に関する宣言を、死者数の世界的な減少やワクチン接種・集団免疫の向上などから、2023年5月5日をもって終了するとのことです。
Worldometer やWHOが提供するデータを見ると、中国におけるゼロコロナ政策終了直後の感染増加の取り扱いが異なるようですが、感染者数や死者数は世界的に減少しているようです。
日本では、令和5年3月13日にマスク着用の方針が緩和されました。
また、昨日5月8日には新型コロナウイルス感染症が、2類相当の感染症からインフルエンザと同等の5類に変更されました。
WHOによると新型コロナウイルスへの感染者は累計で現在7億6,500万人を超え、死者数は690万人を超えているようです。
1918年から1921年までの4年間流行したスペイン風邪の感染者数は約5億人で、人口の1/4程度だったといわれているようです1)。現在の人口79億人に換算すると22億人が感染したことになるので、スペイン風邪の感染率は新型コロナの約3倍と計算されます。スペイン風邪による死者数は1,700万人から5,000万人と言われているようなので、これも新型コロナの3倍以上の数値になり、かなり酷い状況だったことが想像できます。
WHOによる緊急事態宣言が終了したことから、感染者数や死亡者数の情報公開が行われなくなるものと思われますので、5月7日現在の各国の総感染者数や死亡率などに注目して表を作成しました。
ワクチン接種は2020年12月8日にイギリスで初めて行われ、日本では現在6回目の接種予約が始まっています。パンデミックは終わりを迎えましたが、やはり将来への不安はまだあるように思います。
今回、新たなm-RNAワクチンが実用化され、医療・医学は確実に進歩していると感じました。
新形コロナウイルス抗体と従来のコロナ風邪による抗体の交差性が明らかになりました2)が、その有効性については議論がなされ、さらに罹患に伴う免疫記憶(imprinting)とその経時的な履歴の重要性も指摘され始めているようです3,4)。
多数の無症状者が確認された一方で、長い間後遺症に悩まされている方々もおられ、そうした違いが何故生じるのか等、今回鮮明になった様々な疑問が解き明かされる事を願っています。
参考)
1)工藤翔二:100年前のパンデミック‘’スペイン風邪’‘の記録、TB-アーカイブだより(2021年5月)
2)Ellen Shrock et al.: Viral
epitope profiling of COVID-19 patients reveals cross-reactivity and correlates
of severity, Science 370(6520), eabd4250(2020)
3)Marios Koutsakos et al.:
Immunological imprinting: Understanding COVID-19., Immunity 56, May 9, 2023.
4)Ziqian Zhou et al..: Immune
Imprinting and Implications for COVID-19., Vaccines, 2023, 11, 875.
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