林沿いの道を歩いているとハコベやオオイヌノフグリなどと共にヤエムグラを良く見かけます。ハコベやオイヌノフグリは希に食用として用いられることもあるようですが、さすがにヤエムグラは硬そうなので無理だろうと思っていました。
ところが、白い花が目立って葉の付け根に白い密毛のあるシラホシムグラというヤエムグラの近縁種が、クリーバーズ(Cleavers)と呼ばれ、海外でハーブや薬草等として利用されているとのことなので、含有成分に関する情報を調べて見ることにしました。
ヤエムグラはアカネ科(Rubiaceae)のヤエムグラ属(Galium)に分類されていて、日本には、良く見かけるヤエムグラ(Galium
spurium var. echinospermon)の他にもヨツバムグラやヤマムグラなどかなりの種類が生育しているようです。
一方、シラホシムグラ(Galium aparine)は、帰化植物として1990年頃に見つかり分布域を広げているとのことです。
私は普通のヤエムグラしか分からないのですが、1969年の研究報告(1)によると、日本各地から収集した14種のヤエムグラ属の野草にはすべてイリドイド化合物に属するアスペルロシド(Asperuloside)が確認されたとのことです。
ヤエムグラ属には様々な薬効作用を示すイリドイド化合物が主要な二次代謝成分として含有されているということなので大変興味深いです。
西洋等でハーブ薬草として利用されているシラホシヤエムグラのクリーバーズにもこのアスペルロシドが存在するようですが、最近の論文によるとアスペルロシドよりもその代謝物であるアスペルロシド酸やデアセチルアスペルロシド酸が、クロロゲン酸やルチンなどとともに含有されていると報告(2)されていました。
なおアスペルロシドは杜仲葉にも含有されおり、動物実験により腸内細菌叢に影響を与えることによって肥満や2型糖尿病の改善効果を示すことも報告されていました(4)。
杜仲茶に存在するイリドイド化合物のゲニポシド酸は血圧の上昇を抑制する作用を持つことから特定保健用食品にも認可されています。ヤエムグラをきっかけとして、イリドイド化合物の有効性に興味を持ちました。
参考)
1)
野村 慎太郎:Galium 属のIridoid 配糖体の分布, 薬学雑誌、89(2)、287-289(1969)
2)T. Ilina et
al.: Phytochemical Profiles and In Vitro Immunomodulatory Activity of Ethanolic
Extracts from Galium aparine L.., Plants, 8, 541(2019)
3)K. Komai et
al.: Plant Growth Inhibitors in Catchweed Seeds and Their Allelopathy., Weed
Research, Japan, 31(4), 280-286 (1986)
4)A. Nakamura et
al.: Asperuloside Improves Obesity and Type2 Diabetes through Modulation of Gut
Microbiota and Metabolic Signaling., iScience, 23, 101522, Sept. 25, (2020).
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