2021年3月11日木曜日

後遺症回避のための感染予防と食品由来成分の可能性

   茨城県の自粛は解除されましたが、首都圏の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が321日までの2週間延長になりました。各方面に甚大な影響が出ていますので、何とか早く終息することを願っています。

 最近は後遺症が話題になっており、日本では国立国際医療研究センターから退院した患者の76%に後遺症が認められたとのことです。一方、医学誌ランセットに報告された中国の事例では退院約6カ月後の対象者1700人の調査で、同様に76%に後遺症が認められ、最も多い後遺症は倦怠感または筋力低下で66%だったようです。次いで、睡眠障害27%、脱毛22%の順になっています(1)。

 また、まだアクセプトされていませんが欧米で実施された対象人数が102人~44779人で、退院後の日数が15日~110日に渡る15件の調査研究を分析した事例では、退院後80%の方に55種類の長期症状が認められたとの結果になっていました(2)。やはり倦怠感が58%と最も多く、次いで頭痛(44%)や注意力散漫(27%)が多く、話題になっている脱毛(25%)、味覚障害(23%)、嗅覚障害(21%)等も認められています。

欧米における調査研究結果(長期症状保有者80%)

 これら後遺症も考慮すると、症状が軽いということで油断しがちな若い方々もやはり後々のため感染しないよう気を付けた方が良いようです。

 個人的な努力で感染リスクを低減する方法としては、マスクや三密は当然として、一般的な疾病と同様に生活習慣を正しくして体調を管理することが重要だと感じています。最近は、食生活に関連する情報も話題に上るようになってきたので関心を持ち始めました。

 例えば奈良県立医科大学は、市販されている緑茶飲料が試験管内で新型コロナウイルスの感染力を弱めるとのプレスリリース(3)を行っていますので、緑茶飲料を飲むことで口からの感染の予防効果が期待されるように思います。

 緑茶にはカテキン類(茶タンニン)が含有されており、この成分がコロナウイルスの王冠(スパイクタンパク質)に結合することで、感染を阻止するものと推定されているようです。

 こうした情報を契機に、新型コロナウイルスに対する食品由来成分の有効性について、現在どの程度研究報告が出されているのか関心を持ち、米国のNIHが運営するPub Medでビタミンやミネラル、さらにいわゆる生態調節機能成分について検索(Sars-CoV-2  x 食品由来成分)してみました。その結果、ビタミンではビタミンDが圧倒的に多く330件、ビタミンC110件、ミネラルでは亜鉛が178件、生態調節機能性成分ではフラボノイドが137件、テルペノイドが124件報告されていました。

  また、フラボノイドの中ではタマネギやリンゴに多く含まれるケルセチンが74件、ピーマンやハーブ類に多いルテオリンが27件、ミカン類に多いヘスペリジンが21件、緑茶のカテキンが18件の順になりました。

 これら生態調節機能成分が新型コロナウイルスとどのような関りをもつのか興味を持ちました。予防効果があることを期待しながら文献を読んでみたいと思っています。

参考)

1)Chaolin Huang et al.: 6-month consequences of COVID-19 in patients discharged from hospital: a cohort study., Lancet 397, 220-232(2021)

2)Sandra Lopez-Leon et al.: More than 50 Long-term effects of COVID-19: a systematic review and meta-analysis., medRxiv, (doi.org/10.1101/2021.01.27.21250617)

3)お茶による新型コロナウイルスの不活化効果について、奈良県立医科大学(naramed-u.ac.jp

 

 

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