2021年11月9日火曜日

新型コロナウイルスの職業別感染率の推移と対策評価

    日本での新型コロナウイルス陽性者数、重傷者数が明らかに少なくなっていますので、前回のサーズのように、このまま消えて欲しいと願っています。

国立感染研によると99日現在での全国の実行再生産数(R1)は0.61で、一か月後の109日では0.70だったとのことです。感染した人が回復するまでの間に、他人に伝染させる割合が1よりも少ない値になっているので、感染者が減少することになるようです。

でも、ワクチン接種に早くから取り組んでいた欧州での毎日の陽性者が再び増え始め、ドイツでさえも数万人台(26千人(117日)Worldometers)になっているのを見るととても不安になります。

また、アフリカ諸国の実態も知りたいと思うのですが、WHOの新型コロナウイルス関連のデータを見ると、アフリカ諸国の感染者数や死者数は、世界全体の値よりかなり低くなっています。

例えば人口が日本とほぼ同じで1億2千万人が住むエチオピアにおける陽性者は118日現在で全人口の0.3%366.424人)、死者は0.06%(6.509人)になっています1)。日本の陽性者は1.37%で死者数は0.15%ですので、陽性者も死者もエチオピアの方が少ないというデータになります。

でも、学術誌(Lancet)に掲載された論文1)によると、首都アジスアベベの医療従事者の新型コロナウイルス抗体保持率は、ワクチン接種が始まる前の20212月時点で53.7%、地域住民では20213月時点で31.0%であったと報告されていました。PCR検査数が圧倒的に少ないために、陽性者の増減傾向は予測できるものの、感染者総数は把握できていないということのようです。

人口の多いケニアやナイジェリアに関するWHOのデータもエチオピアと同様です。アフリカ諸国では、ワクチン接種前に多くの医療関係者や住民がすでに感染していた可能性が高いように思われますが、これからどうなるのかは予測が不可能です。

 職業別の感染リスクに関する評価も数多く実施されているようです3,4)が、ノルウエーでの第一波と第二派に関する比較解析結果報告5が分かりやすいように感じました。

 どの国でも同じ傾向のように思われますが、第一波では患者と接する看護士や医師、そして公共交通機関の運転士等の感染リスクが高く、第二派では飲食業店員等の感染リスクが高くなっていました。

 日本の事例としては、2021625日の沖縄タイムズに掲載された記事が分かりやすいように思いました。ノルウエーの事例研究のような職業別感染比率ではなくて感染総数の比較ですが、やはり飲食店従業員の感染者数が最も多かったようです。

 でも今では、飲食店ではケータリングやパーティション、換気等の対策が取られる(厚生労働省:そうだったのか!居酒屋などでの感染予防 ~お客様への対応編~ - YouTube)など、それぞれ職業別に具体的対応策が実施されています。

今回のパンデミックでは、スペイン風邪の時代をはるかに凌駕する統計的データが蓄積されたもと思われますので、様々な習慣を受け継ぐ現実の社会集団や、職業別の対策に対する評価が数多く行われ、国や地域、集団あるは各種職業における防御行動に対する評価が、分かりやすい表現で伝えられ、相互理解が進み、それぞれの環境における努力が報われるようになることを期待しています。

参考)

1)https://covid19.who.int/table 2021年11月8

2)Esayas Kebede Gidina et al.: Seroepidemiology and medel-based prediction of SARS-CoV-2 in Ethipia : longitudinal cohort study among fron-line hospital workers and communities. Lancet Glob Health 2021; 9: E1517-27.

3)COVID-19 risk by occupation and workplace (publishing.service.gov.uk)

4)Michael Zhang MD: Estimation of differential occupational risk of COVID-19 by comparing risk factors with case data by occupational group., Am J ind Med. 2021; 64:39-47.

5)Karin Magnusson et al. : Occupational risk of COVID-19 in the first versus second epidemic wave in Norway, 2020., Euro Surveill. 2021;26(40): pii=2001875

 

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