新型コロナウイルスの感染者数が、日本国内で増加し始め第8派と呼ばれることになったようです。
世界的に無症状感染者はカウントできていない様子ですが、少し前から新規感染者として報告された人数は日本が世界の中で最も多くなっているようです。
12月2日のデータも追加しました。
12月22日のデータも追加しました。Worldometerより
ワールドメーター(Worldometer)が提供しているデータによると、人口当たりの感染者数はオーストリアで60.9%になるなど、ワクチン接種が進んでいるにも関わらずヨーロッパで国民の感染者率は5割を超えている国が多いようです。
韓国も51.7%になっていますが、日本は18.9%と低いのでまだ感染が続くのでしょうか。
小学生の下校ボランティアで一緒に歩く生徒や生後7か月の孫娘への感染を避けるため、ファイザーの新型コロナウイルスワクチン「コミナティ・オミクロン株BA.4-5」の接種を、つくば市所在の産総研集団接種会場で昨日受けました。
m-RNAワクチンにお世話になっているので少し調べたところ、コミナティ(BNT162b2
)m-RNAワクチンは塩基総数が4,284個で、RNAを構成する四種類の塩基の内、ウリジンが全てシュウドウリジンになっているとのことでした。
m-RNAのウリジンがシュウドウリジンになるとタンパク質合成が速やかになりかつ自然免疫系による異物排除システムから逃れることができ、安定化するとのことです。
この現象を発見した研究者がカタリン・カリコ(Katalin Kariko)博士で、ビオンテック社の副CEOに就任されているようです。
DNAやRNAを構成する基本的な塩基の構造は高校の理科で習い、確定した事実として認識しているので、修飾されて化学構造が変わった塩基の方が実はタンパク合成が速くなり、さらに自然免疫系を逃れるなどとは想定外でした。
でも嬉しいことに、このシュードウリジンの機能についての最初の論文は自然免疫リセプターの大部分を解析・解明した大阪大学の審良(あきら)博士との共著1)のようです。審良先生は惜しくも2011年の自然免疫に関する研究へのノーベル賞を逃してしまいましたが、m-RNAワクチン開発にも貢献しておられたようです。
今回のパンデミックでは、m-RNAワクチンの開発が多くの人命を救った歴史的な快挙のように感じます。
でも免疫の素人として、やはり気になるのは「Original Antigenic Sin」のことで、今回私が接種したオミクロンBA.4-5ワクチンは、オリジナル株ワクチン接種と比較した場合、生じる中和抗体のレベルが変わらないかも知れないと思われるデータ出ているようです2)。
病原体は地球上の非病原体から変異したものであり、今後とも変異による病原体誕生が続くとすれば、丸ごとの病原体がもたらす複数の抗原を全て認識・経験し、それらに対す抗体形成履歴を蓄え次に備えることが、自然の中で暮らす生物にとっては有利のような感じがします。
論理明快なm-RNAワクチンに加え、免疫記憶の詳細が解明されるまでは不活化ワクチンや生ワクチンがあってもいいように思います。
参考)
1)Katalin
Kariko et al.: Incorporation of Pseudouridine Into mRNA Yields Superior
Nonimmunogenic Vector with Increased Translational Capacity and Biological
Stability., Mol Ther. 2008, 16(11), 1833-1840.
2)Derek Lowe:
Omicron Boosters and Original Antigenic Sin., Science, 7 FEB 2022.
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