2020年1月27日月曜日

自己増殖するコンクリートの開発(ストロマトライト)


冬の散歩では草花や昆虫に出会うことが少なくなるので、昨年から普段はあまり注目することのない地衣類にも目を向けることにしています。岩にべったりと付着して成長する地衣類の生命力にはいつも感心させられます。すごいです。
岩に張り付いて成長する地衣類
子嚢菌とシアノバクテリアの共生体
地衣類は菌類(主に子嚢菌)とシアノバクテリアなど光合成ができる緑藻類との共生体ですが、シアノバクテリアは大気の二酸化炭素を有機物に変換し地球に酸素を供給した生命体として、特に地球温暖化が叫ばれる昨今は注目されるようになりました。

シアノバクテリアは二酸化炭素を有機物に変換すると同時に炭酸カルシウムとしても固定する能力も持っているとのことなのでさらに期待が高まっています。
シアノバクテリアによる有機物合成と炭酸カルシウムの形成
炭酸カルシウムはセメントでもあることから、シアノバクテリアは長い年月を経て自ら分泌した粘液で砂などを囲い込みストロマトライトと呼ばれる岩石を形成できるとのことです1)。シアノバクテリアによって形成されたストロマトライトは、成長増殖できる「生きている岩」とも呼ばれ、その成長速度は年に0.3mm程度と言われています。
生きている岩(ストロマトライト)とその岩石

 このシアノバクテリアの能力を生かした「生きているコンクリート」、「増殖するコンクリート」の開発が最近話題になっています。米国の研究者が成長の早いシアノバクテリア(synechococcus strain PCC 7002)を培養しそれに砂を混ぜて光合成を行わせ、生じた炭酸カルシウムをセメント代わりにして成形し、レンガ状のコンクリートを造ることに成功したようです2
砂と培地およびシアノバクテリア混合物から形成された「生きているコンクリート」
このコンクリートは自己増殖できるとのことですので、人間が開発した成長の早いストロマトライトということが出来るのかも知れません。今後さらに研究が発展することによって、建築資材等としての利用が可能になる見込みのようです。

ここで使用しているsynechococcus strain PCC 7002は、増殖が速いので遺伝子組み換えによるイソプレンやテルペノイド等の「有機合成のスターター」の生産を目指した研究もおこなわれているようです3

光合成のできる微生物は、光エネルギーを蓄積できる存在でもある訳なので、今後の利活用に期待が膨らみます。



参考)

1)山本 純之、磯崎 行雄:ストロマトライト研究の歴史と今後の展望、地学雑誌、122(5)791-806(2013)

2)Chelsea M. et al.: Biomineralization and Successive Regeneration of Engineered Living Building Materials., Matter 2, 1-14(2020)

3)Fiona K. Davies et al.: Engineering limonene and bisabolene production in wild type and glycogen-deficient mutant Synechococcus sp. PCC 7002., Bioengineering and Biotechnology, 2, 1-11(2014)

2020年1月26日日曜日

牛久沼周辺の鳥類とツバキの色素について


 1月24日に牛久沼まで散歩しました。曇りでしたが牛久沼は風もなく穏やかで、三日月橋付近には2匹のアオサギがいました。いつも稲荷川にいる2匹のハクチョウは、川から抜け出し田んぼのあぜ道を歩いていました。よちよち歩きなので少し滑稽に見えます。
牛久沼のアオサギとハクチョウ(1月25日)
   また、いつものようにオオバンは数匹が群れになり、ゆったりと泳いでいました。
稲荷川のオオバン

 今回特に目立ったのは、河原にいた鈴なりのスズメでした。にぎやかに騒いでいました。
河原にいた鈴なりのスズメ

 のんびりとした散歩でしたが、河童の碑付近の林にはかなりの本数のヤブツバキがあり、花が地面に落ちていました。ヤブツバキの種類の中には、花弁が紫になる「千年藤紫(センネンフジムラサキ)」という種類があるそうなので、もしかしたらと思い、丁寧に見て歩きましたがありませんでした。特別な種類なのかも知れません。
牛久沼周辺のヤブツバキ
 この品種の花色は不安定で、継続的に綺麗な紫色に咲かせることが困難だったことから、花弁が紫色になるメカニズムに関する研究が行われたようです。

それによると「千年藤紫」の花の色素であるアントシアニンは普通のヤブツバキと同じで、シアニジン3-ガラクトシドが最も多く次いでシアニジン3-グルコシドとそのパラクマル酸エステルからなっており、紫色を発現するために唯一異なる点は花弁中のアルミニウム含量が高いことだったとのことです1)
ヤブツバキのアントシアニン
土が酸性でアルミニウムイオンが根から良く吸収される条件になると、紫の花が咲くということが分かったようです。普通のヤブツバキも酸性条件下でアルミニウムイオンが供与されると紫色になるのかどうか興味がわきました。

青色に咲くアジサイでもアルミニウム含有量が鍵になっており、アジサイの場合はシアニジンより水酸基が一つ多いデルフィニジン配糖体が主体のようですが、これにアルミニウムが結合しさらにキナ酸誘導体が関与して青色が形成されることが明らかになっていました2)
アジサイの青色色素 (参考2より引用)
この研究グループは紫つゆ草の青色色素コンメリンや矢車草、朝顔等の青色色素等の極めて複雑な構造の解明にも成功しているので、共同研究が行われれば、ヤブツバキの「千年藤紫」の紫色素の完全構造も近いうちに解明されることになると思っています。



参考)

1)Natsu Tanikawa et al.: Aluminum Ions are Involved in Purple Flower Coloration in Camellia japonica “Sennen-fujimurasaki”., The Hort. J. 85(4), 33339206

2)Ito T. et al.:Direct Observation of Hydrangea Blue-Complex Composed of 3-O-Glucosyldelphinidin, Al3+ and 5-O-Acylquinic acid by ESI-Mass Spectrometry. Molecules 23(6), 1424(2018)


2020年1月19日日曜日

牛久沼周辺でヤママユガ科のウスタビガの繭を見つけました


  1月11日に牛久沼周辺を散歩した際にヤママユガ科のウスタビガ(Rhodinia fugax)の繭を2個見つけました。緑色の綺麗な繭でした。確か小さい頃にも見た記憶があります。「ヤマビコ」と呼んでいたと思います。ヤマビコなので、大きな声で叫ぶとこの繭がコダマを返すのだと思っていた時期があったように思います。
ヤママユガ科のウスタビガの繭

 今回は、春になったらきっと繭の中の蛹が蛾になって飛び出すに違いないと期待し、少しためらいがありましたが2個とも家に持ち帰りました。

 でも調べてみたところ、この繭の中の蛹は秋には成虫になって繭から飛び出し、卵で越冬するようです。提灯のように釣り下がっている繭の上部を開いて中を覗いてみたところ、確かに抜け殻らしき残骸だけが残っていました。全く知りませんでした。
ウスタビガの繭の様子(空になっている)

 言われてみれば確かに軽く、繭を振ってみても蛹の感触がありません。思い込みだけはしたくないといつも思っているのですが、残念です。

 日本には、カイコ(家蚕)のように繭を造る野蚕が結構いるようで、ヤママユ(天蚕)については現在も飼育している生産者やグループがおられるようです1)。でも、繭が小さいのでウスタビガの利用はほとんど行われていないようです。ウスタビガの繭はヤママユ(天蚕)とともに綺麗な緑色をしていることから、その色素に関する研究が現在行われていました。


実は、カイコ(家蚕)も本来はそれぞれ黄色や緑色あるいは褐色等の色付き繭を造る特性を持っていたそうで、突然変異体である白色の繭が日本では好まれ定着し現在に至っているとのことでした2)
様々な色のついた本来のカイコの繭(白は突然変異体)

 ヤママユの繭の色素に関する最近の研究3)によると、鮮やかな緑色になるためには光が必要で、薄暗い場所で形成された繭は黄色になるとのことです。明所下で形成される色素はビリン系色素の青色色素ビルベルジンで、これが黄色のフラボノイド(餌由来)と共存することによって、鮮やかな緑色になるとのことです。

 青色のビルべルジンはヒト等では赤い血液色素であるヘムの分解によって生じ、最終的には黄色のビリルビンとなり排出されますが、ヤママユやウスタビガの繭では、詳しい生成経路は不明ですがビルベルジンがビリルビンに還元されていないようです。
血色素ヘムの酸化分解によって生じる青色色素ビルベリジン
 人の赤ちゃんでも、ビルベルジンがビリルビンに還元されず、緑色の便が出ることがあるそうです。同じように青い糞をする鳥もいるとのことです。



参考)
1)鈴木 幸一:蚕糸・昆虫バイオテック、82(2)、69-71(2013)
2)横山 岳:シルクレポート、2014.1118-20
3)Yamada H. et al.: J. Insect Physiol., 50(5), 393-401(2004)


2020年1月17日金曜日

牛久沼の散歩と老いらくの青春(朽春)


  1月11日に牛久沼まで散歩しました。12月にも勿論牛久沼まで散歩したり岩手に出かけたりしましたが、パソコンのトラブル(交換)や孫のトラブルなど様々な荷物が積み重なり、結局12月はブログを書く意欲が生まれず、今回久しぶりの書き込みになりました。

 音楽が好きなのでユーチューブを時々サーフィンしますが、そんな事情の中で尾崎豊の歌を初めて聞きました。若くして他界されたことは知っていましたが、世代が違うこともあり彼の歌を聴くことはこれまでありませんでした。パソコンから流れる「僕が僕であるために」の歌には、青春の痛みと優しさがあり「優しさを口にすれば、人は皆傷ついてゆく」という歌詞が心に響き、青春時代の息苦しさと歯がゆさが伝わってきました。

活動休止後のリバースを共に戦いアイソトープ社の設立に関わった幻冬舎の見城社長の、尾崎豊の死に接した際の素直な感情表現には驚きましたが。それはさておき、歌に共感した私の心は今、70歳の青春なのだろうかと思った程です。それなりに、どうしようもない歯がゆさで地団太を踏むしかない自分は、「このていたらく」としか言わざるを得ない年齢になってしまっている訳なのですが。青春はおこがましいので終春、ありは朽葉色から「朽春(きゅうしん)」とでも呼ぶことになるのだろうか。朽ちることへの漠然とした不安。身をまかせれば平安になることを分かりながらも。ふと考えてしまう。

 牛久沼への散歩の際には、いつも雲魚亭の庭の木々の隙間から牛久沼の写真を撮っています。今回は、初めてのことですが一人の漁師が乗った一艘の小舟が見えました。なんだか幻想的な風景でした。漁師は時々網を引き揚げていました。
雲魚亭から見た牛久沼(1月11日)

牛久沼の周囲に生えた椎の木からはドングリがたくさん落ちていて、寂しさを感じますが、結構ヤブツバキがたくさんあり花が見ごろになっていました。道端には日本水仙も咲いていました。
ドングリとヤブツバキ、日本水仙

不思議に思ったのは「ウラギンシジミ」のことです。

牛久沼から三日月橋を渡り「桜の小径コース」を歩いていたところ、林に面した道端に小さな白いものが見えたので、近づき良く見たところ羽を閉じた「ウラギンシジミ」の死骸でした。ウラギンシジミは羽を閉じて葉に止まることが多く、しかも素早く飛び去るので、飛び去る際にキラリキラリと見える赤い表の羽がとても印象的で、いつも気にかけていた蝶でした。これまでに数回写真を撮っています。
道端で拾ったウラギンシジミの死骸(1月11日)

 ウラギンシジミがカメラを持った私の手に一度止まったことがあります。思わず強く握ってしまい、動けなくなったことを後悔した経験があります。

今回は、ウラギンシジミの死骸をそっと拾い上げましたが、傷つけずに保管するための容器等は持ち合わせていませんでしたので、しばらく手のひらに乗せて歩いていたところ、なんとCDの薄いビニール袋が道路の真ん中に落ちていて、その中にスルーっと収めることができホットしました。偶然のことでした。300円の定価シールが貼ってありました。

自宅に戻り、ウラギンシジミをビニール袋から取り出し、閉じた翅を広げて見たところ表翅は赤色ではなくて黒色でした。雌のようです。
拾ったウラギンシジミ(雌)の死体
ウラギンシジミ(雄)

これまで出会ったウラギンシジミの表翅はみんな赤色でした。つまり雄だけを見ていた訳ですが、今回初めて黒色の雌に出会うことができました。死骸でしたが何となく親近感を感じ、机の引き出しの中にしまっています。

昆虫のコレクションは全くなかったのですが、ウラギンシジミの雌が最初の昆虫コレクションになりました。

2019年11月14日木曜日

ダイコンのジアスターゼ(アミラーゼ)


11月9日に牛久市の奥野生涯学習センターに車を置いて、そこから牛久大仏まで散歩する「牛久大仏散策コース」を歩いてみました。途中で迷ったりしながら3時間ほど散策ましたが、やはり何といっても牛久大仏の大きさには驚かされます。今回は施設内には入りませんでしたが、以前に大仏体内に設置されたエレベータで胸のあたりまで登り、展望窓から外を眺めたことが数回あります。
 牛久大仏(11月9日)
大仏に至る散歩道には大根畑が広がっていました。「牛久河童大根」が牛久市の特産物のようです。これまで全く知りませんでした。

牛久の大根生産地(11月9日)

牛久大仏からの帰り道ツマグロヒョウモンが道路に止まっていましたので、写真をとりました。また、道端にはカラスウリが沢山実をつけていました。
カラスウリとツマグロヒョウモン


牛久市は大根の生産地ということを知りましたので、大根について少し調べることにしました。大根はこれからの季節はおでんの具として欠かせないものの一つになりますが、何と言ってもジアスターゼという消化酵素が豊富で健康に良いとのいう話が気になります。

  ジアスターゼは、発芽大麦抽出液に存在するデンプン分解酵素を発見したフランスの研究者によって1883年に名付けられた酵素名のようですが、その後これまで活発な研究が行われ、現在はアミラーゼと呼ぶのが一般的になっていて、さらにα-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)とβ-アミラーゼ(EC 3.2.1.2)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)に区分されるようになっています。

    大根には消化酵素のジアスターゼがあると古くから言われていたことから、アミラーゼに関する研究は日本でたくさん行われていていました。研究報告を見ると大根の主要なアミラーゼは1970年代にはα-アミラーゼとして、その後はβ-アミラーゼとして報告されていました。β-アミラーゼには二つのアイソザイムがあり、既にそれらの結晶も得られています。
 
  植物の多くは、主要なアミラーゼとしてデンプンからマルトースを生産するβ-アミラーゼを含有するものが多いようですが、ニンジンだけはデンプン分子の内部をランダムに切断するα-アミラーゼを多く含有しているようです。


   実は、α-アミラーゼ活性とβ-アミラーゼ活性を簡便に測定することは中々難しかったようで、最近になりマルトトリオース(グルコース3個)に発色剤を結合した基質がβ-アミラーゼの活性を測定するために優れているということが分かったようです。

   ところで、大根のアミラーゼ活性は本当に強いのでしょうか。農水省の研究所のデータでは品種によって7倍程度の違いがあることが分かっているので、一概には言えないかも知れませんが、弘前大学が1993年に実施した研究ではヤマイモ>カブ>ダイコン>ニンジン>キャベツ>パセリ>ネギ>レタス>キウリの順であり、ダイコンはヤマイモには及ばないものの結構アミラーゼ活性が強いグループに属するということです。
 

生食野菜類のアミラーゼ活性の比較
    なお、ワサビはヤマイモよりアミラーゼ活性が強く、ワサビを塗った寿司ご飯は、その部分のデンプンが分解されて柔らかくなっているようですので、摂取量は少ないながらもワサビも注目されているようです。


参考)
1)河野昭子ら:植物中に存在するα-及びβ-アミラーゼ活性比率の簡易評価法開発とその食材への応用、日本家政学会誌、62(11)701-7072011
2)石井現相ら:栽培条件がダイコンの全糖及びミタミンC含量、β-アミラーゼ活性に及ぼす影響、Japan soc. Hort. Sci., 55(4), 469-475(1987)
3)加藤陽治ら:生食野菜類のアミラーゼ活性、弘前大学教育学部教材教育紀要、第17号、49-57(1993)



2019年11月10日日曜日

稲の2番穂と食品用3D-プリンター


11月7日に牛久沼に行って来ました。風が強く、いつも滑らかな湖面に波が立っていました。秋も深まり湖岸のセイタカアワダチソウの花は茶色になってしまいました。
牛久沼の様子(11月7日)
河童の石碑(左)、雲魚亭庭園から見た牛久沼(右)
  一方、田んぼでは二番穂(孫小生え:Basal shoot)にたくさん実がついていました。昔はこれも収穫して利用していたようですが、遠くの田んぼではトラクターで二番穂を刈り落していました。刈り落した後田んぼに鋤き込み肥料にするようです。
稲の二番穂(11月7日)
 

 シラカシのドングリも熟して褐色になり、実が落ちたものは殻斗がお椀のように見えます。実りの秋ですが寂しさも感じます。
シラカシのドングリ(お椀のような殻斗)
散歩道周辺に生えたカタバミの周囲では、ヤマトシジミが相変わらずたくさん飛び交っていましたが、それより一回り大きなシジミチョウが目にとまりました。ウラナミシジミでした。ヒメアカタテハも道の側の落ち葉に止まっていました。近づいても飛び立たず手で捕まえられそうでした。

ウラナミシジミ
ヒメアカタテハ
 稲の二番穂を肥料にしてしまうのはもったいないと思いましたので、未熟米について調べて見たところ、熟した米より未熟米の方に遊離アミノ酸が多いようです1)。中でもグルタミン酸が多いので、ご飯としてたべるためには不適でも、パウダーにすれば利用価値があるのかなと思いました。多分ビタミン類も多いはずです。
米の成熟に伴う遊離アミノ酸含量の変動
未熟米の遊離アミノ酸組成
 最近、食品用の3D-プリンターが注目され始めまし2)。形状のみならず、栄養成分も自在に制御できるので、成分組成の分かった穀類や野菜などの食品パウダーは今後食品用3D-プリンター素材として利用されることになるでしょう。収穫コストが安ければ未熟米の利用も可能かも知れません。パウダーにすればいいので、利用しにくいため廃棄されていた食材が注目されることになるかも知れません。


 稲の二番穂は、鳥の餌として環境保全に役立っていると言われていますが、最近は鹿やイノシシなど野生動物の被害が大きいので、それらの餌になることから刈り取りを進めている自治体が多いようです。鹿の生息が確認されていない県は茨城県と佐賀県だけだということですが、茨城県でもイノシシは問題になり始めているようですので、現状ではやはり緑肥として利用するのが賢いのかも知れません。

参考)
1)M.Tamaki et al.: Physico-ecological Studies on Quality Formation of Rice Kernel. Japan Jour. Crop Sci., 58(4), 695-703(1989)
2)Perez B. et al. : Impact of macronutrients  printability 3D-printer parameters on 3D-food printing: A review., Food Chem., 287, 249-257 (2019)
 

2019年11月2日土曜日

10月の豆畑の様子とモズの早贄(はやにえ)


1026日に牛久から岩手に出かけ111日に戻りました。前回は、927日、28日と仙台で用事を済ませた後に岩手に一週間滞在し、104日に牛久に戻りましたので、今回は3週間ぶりの畑仕事でした。

10月初めに訪問した際には紅花豆の花が咲いていましたが、その3週間後の今回の訪問では、花は見当たらず葉も枯れた状態でした。既に霜が数回降りたようで、期待していたトマトの実は落下しピーマンやナスでは果実の一部が黒くなり障害が発生していました。
豆畑の様子(10月2日) → 10月30日には完全に枯れた状態に
 とりあえず大豆類は全て刈り取り、黄大豆や黒豆や茶豆などを莢から取り出しそれぞれ室内に広げて乾燥することにしました。畑で生育状況を観察していた際には、ほとんど虫などによる被害はないものと思っていましたが、収穫した豆の状況を見ると、かなり虫食いがあり選別が大変になりそうです。
大豆類の様子(10月2日)

大豆類の様子(10月30日)
   一方、紅花豆や白花豆、虎豆など莢がまだ乾燥していないものについては、莢を収穫して室内に広げましたが、紅花豆には未熟な莢がかなりありました。  

紅花豆や白花豆では、豆の大きさや品質の幅が他の豆類よりも大きいようです。これまで2年間栽培して見ましたが、たぶん播種時期や根切作業など栽培上のノウハウがあるようなので、花豆類の栽培には今後も挑戦してみたいと思っています。

 畑の淵に植えたコルチカムが綺麗に咲いていました。その花にキタテハが止まっていました。以前はノコンギクがたくさん咲きキタテハが群れていましたが、ノコンギクは雑草に占領されてしまいました。


コルチカムとキタテハ
 「モズの早贄(はやにえ)」を発見しました。ブルーベリーの枯れ枝にバッタが突き刺さっていました。青虫もブルーベリーの枝の間に挟まっていました。見つけた際にはスズメバチが食べていて、体の半分程がなくなっていました。
モズの早贄になったバッタ


スズメバチに食べられていた青虫の早贄

  モズの早贄については1930年代に岡山県の倉敷市をフィールドとした調査が行われていました。それによると早贄は10月~12月の間に良く見られ5月まで続くとのことです。1932年~1933年の調査で見つかった338件の解析では、餌としてはカエルが38%を占め次いでイナゴやバッタ類37%だったようです。また、完全体で枝に刺されたり挟まれたりした餌は67%で、他は頭や腹など餌の一部が早贄になっていたようです。餌の種類は60種以上で中にはカナヘビやネズミ、フナなども含まれていましたので、地域など環境の違いでかなり異なるものと思われます。
 早贄の習性には、餌の貯蔵説や縄張り主張説の他に最近では、早贄を食べるモズは声が良くなり雌とツガイになる確率が高いなどと言われているようです。シリアゲムシは、仕留めた餌を雌にプレゼントする「婚姻贈呈」を行うとのことでしたが、モズの早贄もそのような配偶行動なのだろうか。不思議です。



 八幡平のアスピーテラインは115日で閉鎖になるようです。そろそろ岩手は寒くなります。