豆畑にはカメムシもいました。背中に白い斑点が見えたので、もしかしたら以前に写真を撮ったハート形の斑点を持つエサキモンキツノカメムシかも知れないと期待しましたが、残念ながら中途半端な白い斑点があるのみで、後で調べたところブチヒゲカメムシであることが分りました。
カメムシは臭いことで有名ですが、最近その臭い物質に関する研究が進んだようです。豆畑にいたブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum)の幼虫が生産する臭気物質には、殺虫作用を持つ4-オキソ-(E)-2-ヘキサナール(4-OHA)が多く含まれ、次いで忌避作用を持つ(E)-2-オクテナールが多いことが解明されていました1,2)。成虫になると幼虫にはない忌避作用の強い(E)-2-ヘキセナール(青葉臭:青葉アルデヒド)の濃度が高くなるとのことで、それぞれの天敵に対抗できるような臭気組成に変わるということです。
なお、殺虫作用は臭気物質を塗布したコオロギをカマキリに食べさせ、また忌避作用はカマキリに臭気物質を吹きかけて、それぞれ判定しています。4-オキソ(E)-2-ヘキセナール(4-OHA)には抗菌作用もあるとのことで、幼虫は臭気物質で細菌に対する防護も行っているもの推定されています。
参考)
1)K.Noge, et al.:
Biosci. Biotechnol. Biochem., 76(10), 1975(2012)2)野下浩二:カメムシ臭気成分の科学生態学的研究、日本農薬学会誌
(学会賞)、40(2)、152-156(2015)
3)K.Sugimoto, et al.: PNAS, 111(19), 7144(2014)
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