2018年12月16日日曜日

太白山登山と紅葉観察そしてカワラタケ、地衣類


1111日に太白山に登りました。紅葉の時期で快晴の日、さらに日曜日でしたので親子連れや少人数のグループなどたくさんの方々がそれぞれのペースで頂上を目指していました。標高約320mなので登山とまでは言えないのかも知れません。麓の神社から30分程度で頂上に着きます。幼稚園児の登山コースでもあるので高齢者にも適したコースですが、結構な急斜面続きで補助用の鎖が設置されています。運動不足解消になりました。

珍しいことに仙台市自然観察の森の駐車場はほぼ満車でした。そこから太白山麓の神社まで約30分程度自然散策コースが続きます。樹木については詳しくないのですが見事な紅葉が目に留まりました。庭木などのモミジより葉が大きく切れ込んだ葉片の数も多いようなので、ハウチワカエデでしょうか。


遊歩道やその周りにはきれいな落ち葉が積み重なっています。朝早く着いたのでまだ踏み荒らされていませんでした。自然観察の森の木々のほとんどは広葉樹ですので、これから冬までのわずかな期間にそれぞれ赤やピンク、黄色、白色あるいは褐色に葉色が変わり、やがて全て落葉することになります。


神社に到着するまでの間、遊歩道でチゴユリやゼンマイなど、枯れ始めた多くの野草の写真を撮りました。また、ウラシマソウの赤い実が所々にあり少し不気味でした。



また、枯れた切り株にはキノコがたくさん生えていました。カワラタケのようです。カワラタケは多くのキノコ類と同様に倒木などを分解浄化する白色腐朽菌で、最近は東日本大震災の津波で海水を被ってしまった樹木でも塩の害を受けず生育分解できることが分かったようです1)。逞しいです。また、シイタケやスエヒロタケなどと共に免疫活性化作用を示すβ-グルカンを含有することも分かっています。でもカワラタケはとても苦く食用にはならないとのことです。

神社前広場に到着し参道の阿吽のあいだを通り山に登り始め、ほぼ8割程度登ったところにイカリソウの群落がありました。イカリソウは中途半端に枯れかけていました。春に通った際には気づかなかったので写真を撮りました。



頂上の多くの岩には苔と地衣類がへばりついていました。地衣類は主に子嚢菌類と藻類の共生体で大気汚染などに弱く、環境汚染の指標生物として利用できるそうです。

ちなみに、リトマス試験紙のリトマス色素は地衣類のリトマスゴケから抽出したもののようです。リトマスゴケにはジフラクタ酸とレカノール酸が含まれていることが明らかになっています。しかし、リトマス色素は16世紀にオランダで作られたとのことですが、現在でもその作り方は企業秘密で詳細は明らかになっていないとのことで、驚きです。ちなみに、リトマスゴケは日本には生えていないそうですが、レカノール酸を含有するウメノキゴケなら生育していて、古いサクラの幹などで良く見つかるそうです。ウメノキゴケからリトマス色素を作る自由研究がほうぼうで行われているようです。


なお、市販のリトマス試験紙の色素は化学合成物のようです。



参考)

1)Yamagata A. et al.: Seawater inflluence monitored by NaCl on the growth of Trametes versicolor., Environ. Sci. Pollut. Res., Int., 23(1), 932 (2016)


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