2018年12月18日火曜日

収穫した豆類と根粒菌との共生


岩手の畑で栽培・収穫した豆類をそれぞれの種類ごとにまとめました。今年のめだま品種は紅花豆と白花豆ですが、どちらの豆も軽くて充実度が足りない感じでした。特に白花豆は表面が汚れている上に小さいものが多く残念です。これらは煮豆にしてみたいと思っていますので出来栄えが今から心配です。


虎豆は花豆より少しばかりいい感じです。収量も多いようなので正月には家族一同にふるまうことができるのではないかと期待しています。蔓性の豆の中ではモロッコ豆の生育が最も悪かったので収量も少なかったです。


大豆系の豆の中ではくらかけ豆の収量が最も多く、まだ食べ方は分かりませんがクックパッドで調べて調理します。


この他、金時豆(蔓性)や小豆、青大豆、黒大豆も収穫できました。黄大豆は本数が少なかったことと、鳩の食害などがありほとんど収穫できませんでした。一粒も見当たらないのが少し不思議な感じです。来年もチャレンジしてみます。


いずれにしても、今回は様々な昆虫や病気等が発生することを覚悟の上、様々な失敗を経験するつもりで密植しましたので、小粒でかつ収量が少ないという当然の結果になりました。最近孫娘が「自業自得」という言葉を覚えてきて、意味もなく良く使っていますが、その自業自得になりました。

 事前の知識として豆類の根には根粒菌がつき窒素固定をすることは知っていましたので、他の作物ほどには肥料を与えなくても良いと思っていましたが、良く調べて見るとそれなりに肥料を与えた方が良いということのようです。この点でも失敗でした。

 豆と根粒菌の共生については1986年に報告されたアルファルファを用いた研究1)が有名で、根から分泌されるフラボノイドのルテオリンが根粒菌の瘤形成遺伝子を活性化することが明らかになっています。その後この結果に刺激され、たくさんの研究が行われました2)

 でも大豆と共生する根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)はアルファルファと共生する根粒菌(Sinorhizobium meliloti)とは異なるので、共生に必要な遺伝子を活性化する物質も異なるとのことです。根粒菌からして見れば、アルファルファと大豆を識別する必要がある訳ですから、あたりまえですね。でもアルファルファの話題があまりにも有名なので、マメ科と根粒菌の共生の仕組みは全て解決されたものと誤解していました。大豆の場合はまだ研究が続いておりイソフラボンのゲニステインが瘤形成遺伝子を活性化することはほぼ確実なようですが3)、そのほかにプルネチンやエスクレチン、イソリクイリチゲニンなども有効成分として取り上げられていました。


最近は、大豆の根からゲニステインやダイゼインのようなイソフラボンだけでなく、サポニンも土壌中に分泌されることも明らかになっています4)し、根圏に共存する他の菌類の影響も研究され始めているので進展が楽しみです。



参考)

1)Peters NK et al.: A plant flavone, luteolin, induces expression of 

Rhizobium meliloti nodulation genes., Science, 233, 977-980(1986).

2)Melicent C. Peck et al.: Diverse Flavonoids Stimulate NodD1 Binding

to nod Gene Promoters in Sinorhizobium meliloti.

3)Lang K., et al.: The genistein stimulon of Bradyrhizobium japonicum., Mol. Genet. Genomics, 279(3), 203-211(2008).

4)Tsuno Y., et al.: Soyasaponins: A New Class of Root Exudates in

Soybean (Glycine Max). Plant Cell Physiol, 59(2), 366-375(2018).


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