2018年12月26日水曜日

桜の樹木の地衣類


太白山登山をした際、頂上付近の山道に木の葉や皮と色の異なる綺麗な薄緑色の葉片が落ちているのに気づきました。後で調べたところ地衣類のウメノキゴケの仲間の葉片であることが分かりました。葉片の付近には地衣類の付いた枯れ枝はありませんでしたので、なぜ登山道に落ちていたのか、その理由は分かりません。でも大変興味を持ちました。

良く散歩に出かける三神峯公園は桜で有名ですが、そのほとんどが古木なので、どれにもたくさんの白い地衣類が付いていることを思い出し、1214日に出かけて写真を撮りました。


 地衣類は本体ともいうべき菌類に藻類が共生したもので、藻類は光合成で得た糖類を菌類に提供し、菌類は偽根で吸収した水やミネラルなどを藻類に提供しているとのことです。アブラムシにはブフネラ菌が共生し、またほとんどの昆虫にも共生菌が存在することが分かっていますので、生物の多様性はかなり微妙な自然界のバランスによって維持されていることが伺えます。

 地衣類は、世界に約2万種ほどあり日本には1500種が存在するとのことですが、その形状から葉状地衣類と樹状地衣類、固着地衣類に分類できるとのことです。また地衣類には、それぞれ特徴的な二次代謝産物が含まれていて、アルカリ溶液や次亜塩素酸カルシウム溶液等を滴下すると色が変化するとのことです。外見のみでは同定が難しいので、スポットテストが開発されたのでしょう。

 スポットテストは行っていませんので確実ではないのですが、三神峯公園の桜の樹木には葉状地衣類がたくさん付いていて、それらはウメノキゴケやキウメノキゴケ、オオマツゲゴケ(葉片の裏が黒色)、ハクテンゴケ、ナミガタウメノキゴケと推定しました。


また、固着地衣類としてはクロイボゴケが確認できましたが、樹状地衣類は見つけることができませんでした。


いっぽう葉状地衣類や樹状地衣類、固着地衣類とやや異なり、粉状になる地衣類は不完全地衣類(レプラゴケ)に別途分類しているようです。桜の樹木には白色と黄色の粉状地衣類が付いていました。


地衣類は樹木を弱めるかどうかの議論も行われているようですが、担子菌のような悪影響を与えることはないのではないかとの意見が多いように思います。  
  

実際、威勢のいい欅の大木には固着地衣類が付いている場合が多いように思います。昆虫が姿を消す冬は地衣類観察がおすすめです。粘菌も気になります。


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