2020年4月28日火曜日

検査率の高いアイスランドの新型コロナウイルス不顕性感染者(無症状病原体保持者) 「早く感染すると損です」


新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき4月16日に47都道府県すべてに緊急事態宣言が発令されました。5月6日まで実施されるとのことです。その後、感染者は3,906人(4月7日発表)から20日間で13,385人(4月27日発表)に増加しているものの、ここ数日間は1日の増加数が少なく推移していることなどから、現在は5月6日以後も緊急事態宣言を継続するかどうかが注目されています。

新型コロナウイルスに関する最も大きな問題点は、インフルエンザでは稀な無症状病原体保有者(無症候性キャリア)がかなりいて、これが特定不能な感染源になっていることのようです。厚生労働省の発表によると4月27日現在940名が無症状病原体保有者で、検査で確定した陽性者の7%に相当するとのことです。

でも、この無症状病原体保持者7%の値は、厳格な検査実施基準の下で、主に感染者への濃厚接触者に対する検査によって確認されたものであると推定されることから、かなり低い値になっているものと思われます。

そこで、無症状病原体保持者に関する調査報告について調べてみました。その結果、横浜港に停泊していたダイアモンドプリンセス号での調査1)では17.9%が無症状病原菌保持者で、武漢からの日本人帰国者ではそれが30.8%だということです2)。それぞれの調査対象群の平均年齢は異なりますし、また当然ながら就学中の若い年齢層は含まれないなどの偏りがあるため、国民全体を調査した場合とは異なり、発症しにくい若い層が少ない分だけ低い値になっている可能性があります。

比較的広範囲の年齢層について調べた例としては人口当たり最も検査数の多いアイスランドの調査研究3)が見つかりました。公開募集者10,797人とランダムに手紙で依頼した者2,283人の協力を得て、100名の陽性者(0.8%)を解析した結果、無症状病原体保持者は43%になっています。この調査でも協力者には低年齢者が少ないので、数値は低くなっている可能性があるようです。

なお、WHOはQ&Aにおいて無症状病原体保持者(無症候性キャリア)と軽症者は80%で、重症者(severe infection)は15%、重篤者(critical infection5%の比率になっていると回答しているようです4)

4月27日にニューヨークのクオモ知事は、ニューヨーク市民の新型コロナウイルス抗体保持率は24.7%であったと公表しました。やはり想像以上に新型コロナの感染進んでいるようです。しかもその半数が不顕性感染者の恐れがあります。

東京都における抗体保持者の数値が気になりますが、このまま推移すると医療従事者も病院を訪れる陽性者(伝染者)を認識できずに感染することになり、市民が病院に押し寄せることによる医療崩壊ではなくて、医療従事者の不足による医療崩壊が始まるのではないかと危惧されます。

先ず、病院にPCR検査あるいは抗原検査などの整備を早急に行い、医療従事者を感染から守ること、そして順次一般市民の検査数増やすことが必要だと思います。米国では、唾液を検体とした測定がスタートしたとのことですので、日本でもより安全な唾液を持ちいる方法の採用が待たれます。



 本当のことはまだ誰も分からない訳ですが、大多数の方が感染するまでこの戦いが続くとの予想の下で、まだ医薬品もワクチンもないので「早くかかったらひどい目に合うので損ですよ」ということを徹底させて行動変容を促し、一方で経済活動の再開と回復を図る方向に転換する時期に来ているように素人ながら勝手に思っています。


参考)
1)Mizumoto K. et al.: Estimation the asymptomatic proportion of coronavirus disease 2019(COVID-19) cases on board the Diamond Princess Cruise ship, Yokohama, Japan, 2020. Euro Surveill. 2020 Mar. 25(10).25(10), 
2)Nishimura H. et al.: Estimation of the asymptomatic ratio of novel coronavirus infections (COVID-19). International Journal Infectious Diseases, 13 Feb. 2020
3)D.F. Gudbjartsson, et al.: Spread of SARS-CoV-2 in the Icelandic Population. New Eng. J. Med., 14,April 2020.
4)WHO: https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-similarities-and-differences-covid-19-and-influenza

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