10月16日(土)に茨城県ひたち海浜公園のコキアを見てきました。開園30周年とのことです。
ひたち海浜公園のコキア |
コキアがまだ紅葉していない8月9日にも行きましたが、様々な乗り物やアスレチック、水遊び広場、大草原、自然の森などがあり、好みに応じてそれぞれ楽しめるようになっていました。
見晴らしの丘の様子 |
紅葉前の見晴らしの丘(8月9日) |
コキアの紅葉の時期に訪れたのは初めてでしたが、ニュースで報じられていたようにたくさんの方が連なって、赤く染まったコキアを眺めていました。海外の方々も家族連れでたくさん来られていました。
見晴らしの丘からの眺め |
見晴らしの丘からの眺め(8月9日) |
8月9日に訪問した際には、「見晴らしの丘」一面が緑色のコキアに覆われていて、綺麗だなと思いましたが、やはり紅葉したコキアに覆われた丘はより一層綺麗に感じました。ネモフィラの開花時期にも来たいと思いました。
コスモスも綺麗に咲いていました。
満開のコスモス |
たくさんの訪問客がいるので、様々な食べ物ショップが園内の道沿いに開店していて、人気店には行列ができていました。
イベントとして筑波山で行われる「ガマの油売り口上」が開催されていましたので見学しました。
また、サイクリングも初体験しました。園内を一周できるサイクリングコースが設けられていて、様々な場所に駐輪でき楽しかったです。公園内の全貌を良く知るためには、サイクリングが便利なようです。
サイクリングやイベントへの参加 |
コキアはヒユ科バッシア属の仲間で、和名はホウキギ(ホウキグサ)と呼ばれているとのことです。以前はヒユ科コキア属の仲間とされていたので、今でもコキアと呼ばれ親しまれているようです。
コキアの紅葉に関与する色素に興味を持ったので調べて見ました。
コキアは、ほうれん草やビート、アカザやシロザの仲間で、以前はナデシコ目アカザ科に分類されていて、現在はナデシコ目ヒユ科に統合されたとのことです。
不思議なことに、このナデシコ目に属するヒユ科などの植物は赤系の色素として独自のベタレイン類を含有していて、樹木などの紅葉に関与するアントシアニンは含有していないと言われていたようです。
その理由としてアントシアニン合成の後半部分が阻害されているためであることが、最近日本の研究者によって報告1)されていました。
コキアの属するナデシコ目のアントシアニン合成阻害 |
コキアもアントシアニンを合成できないものと予想されるので、ウクライナの伝統料理であるボルシチに使用される赤ビート(テーブルビート)と同じ系統のベタレイン系色素が、紅葉の原因物質になっているものと類推されます。
旧アカザ科のベタレインに関する研究は、キノアについて良く実施されていて、キノアはフィロカクチン(phyllocactin)とブルガキサンチン(Vulgaxanthin)を含有している2)とのことです。もしかしたらコキアも類似する化合物を含有しているのかも知れません。
旧アカザ科のキノアに含まれるベタレイン色素 |
残念ながら、コキアそのものの色素に関する研究報告は見つけることが出来ませんでした。
ベタレイン色素は食品用の色素として利用可能なので、有機合成法による青色のベタレイン色素の開発も行われていました3)。
昨年(2020年)ノーベル賞を受賞したゲノム編集(クリスパーキャス9)など最新の育種技術によって青色ベタレインを生成するコキアが出来ると、カラフルになるな~と思いました。
ナデシコ目のオシロイバナの花色もベタレインのようですが、確かに青色の花は見たことがありません。
参考)
1)Masaaki Sakuta et
al. : Anthocyanin synthesis potential in betalain-producing Caryophyllales
plants., J. Plant Res., 134(6), 1335-1349(2021)
2)Paula
Henarejos-Escudero et al.: Development of Betalain Producing Callus Lines from
Colored Quinoa Varieties (Chenopodium quinoa Willd)., J. Agric. Food Chem.,
66(2), 467-474(2018)
3)B.C.Freitas-Dorr
et al.: A metal-free blue chromophore derived from plant pigments., Science
Advance, 6, eaaz0421(2020)
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