オミクロン株による感染拡大が日本でも始まり、1月20日には東京を始め大阪や神奈川などで過去最多の新規感染者数になったようです。
フランスの1月20日の新規感染者数は39万人(ジョンズ・ホプキンス大学発表)で、日本の1日のPCR検査能力とほぼ同じだったようです。
なお、フランスはEU最高の新規感染者数46万人を18日に記録したとのことです。46万の数倍を超える膨大な数の検査をどのようにして実施しているのか興味を持ちました。
それにしても、フランスで46万人ということは、日本の人口1億2千6百万人あたりに換算すると、86万人にもなります。1日に86万人の方が感染する状況は想像を超えています。
欧米では、2回のワクチン接種を終え、90%(ポルトガル)から63%(米国)まで「それぞれの国の実情」に合わせた接種率になっているようですが、そろそろワクチンの効果も薄れる時期になり、ブレークスルー感染が多くなっているようです。
研究報告1)によると、ワクチン接種者の再感染は軽症あるいは無症状が多いとのことです。この研究報告は、オミクロン株への再感染に関するものではなないのですが、軽症や無症状者が多いと言われているオミクロン株も同様の傾向になるものと思われます。
ワクチン接種が進んだ国には、今では、無症状感染者が多数存在する可能性が高いようです。
無症状者は感染の有無を感知できないので、検査対象者になることもなく日常生活を送ることになり、市中感染が広がるものと予想されます。
診察や治療に当たられている医療従事者は、実情を肌で感じておられることと思いますが、医療関係者以外の者には分かりません。
地域住民全員を対象にした報告を見つけることができなかったので、全数検査の一例として航空検疫に注目しました。
厚労省が毎日発表している航空検疫のデータを令和4年1月1日から20日まで集計し、無症状者率の表を作成して見ました。
その結果、20日間の検疫報告で確認された病原体保持者2813人のうち、無症状者は2252人で、80%であることが分かりました。
飛行機で入国する方々は、搭乗前の厳しい検査をパスした旅行者なので、一般市民と同じ集団として見ることは適切ではないと思われる方もおられるのかも知れません。病原体保持者の初期の一断面なので、継続観察結果が必要ですが、それなりに興味深い結果であるように思います。
無症状感染者が多い集団における死亡率の低減には、高リスク集団である生活習慣病者や高齢者等への感染予防が最も重要です。
日本は、メタボ検診などを既に実施しており、高リスク者はそれを自覚し、食生活や運動など生活習慣の改善に加え、感染予防に向けた努力をしているのが強味です。
これまで実施してきた、超高齢社会における健康政策が新型コロナウイルス禍の中でも役立っているものと思われます。
先進諸国の中で最も検査率の低い状況にありながら、極めて低い死者数のまま推移できたことは、超高齢社会における世界に先駆けた健康施策によるものではないかと感じています。
参考)
1)Moriah Bergwerk
et al.: Covid-19 infection in Vaccinated Health Care
Workers., N ENGL J MED., July 28 (2021).
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