2022年2月24日木曜日

オミクロン株への感染が少ない国の不思議

   日本ではオミクロン株による1日の感染者数が減り始めています。でも、オミクロン株が最初に急増した沖縄県の状況を見ると高止まりしているようなので、不安になります。今年3月で終息して欲しいです。

インドでも日本とほぼ同じ時期からオミクロン株感染が広がったように思いますが、感染者数はデルタ株を超えることもなく、急激に減少したようです。バングラデッシュやパキスタンもほぼインドと同様のように見えます。

一方、日本よりもワクチン接種が進んでいる韓国は昨日(223日)の感染者数が17万人を超えたとのことで、日本の人口に換算すると1日に40万人程度が新たに感染したことになるようです。

韓国と同様に厳しい感染抑制策を行ってきたベトナムも、オミクロン株感染が急増しているように見えます。

また、これまで感染者数が低く抑えられていたオーストラリアやニュージーランドでもオミクロン株による感染者数が急激に増加したようです。

ワクチン接種があまり進んでいないアフリカ諸国の状況を見ると、エチオピアやケニア、ナイジェリアともにオミクロン株感染者が急増したようですが、その後の沈静化は速かったように見受けられます。短期間に収束しています。

このような違いが何故生じているのか不思議に感じています。

インドでは昨年の2月にすでにカルナカタ州で人口の50%の方が新型コロナウイルスに自然感染していた(https;//toyokeizai.net/articles/-/411957)との報道があり、その約1年後にオミクロン株が流行し始めていますので、国民の多くが自然感染を経験していたのではないかと思われます。

新たに出現する変異株への抵抗性は、自然感染を経験した方がワクチン接種よりも有利であるとするハムスターを用いた研究論文(1)が最近出たようですが、興味深いです。

ワクチンの場合もファイザーとモデルナ、あるいはアストラゼネカ等を1回目、2回目、3回目接種時に変えることで抗体価がより上昇することが分かっています2)が、その仕組みを説明した論文はまだ見つけていません。

一方、自然感染者では無症状などの軽症者の抗体価は低いため、抗体が長く保持できていないとも言われているようです。

誰ももちろん感染したくない訳ですが、こうした国別の感染動向の違いが生じる仕組みを分かりやすく解説した論文等を読みたいと思っています。

最も有力な感染予防はワクチン接種に変わりはありませんし、mRNAワクチンは癌等の原因遺伝子が判明している生活習慣病等の疾病にも利用可能と思われますので、新たな医療技術を実用化したとして歴史的にも評価されることになるのではないかと思っています。

緑膿菌が「たけやぶやけた」の中に感染ファージの遺伝子情報をうずめ込むという原始的な細菌の免疫システムを発見し、米国のダウドナ博士とともにゲノム編集技術の開発者としてノーベル賞を受容したマックスプランク感染研所長のシャルパンティーエ博士が、生物の免疫システムの全体像をどのように捉えているのか聞いてみたいと思ってしまいます。

埋め込みが飽和したら、古い情報に上書きするのでしょうか。免疫情報(エピトープ)に重みづけはあるのでしょうか。

 

参考)

1)Peter J. Halfmann et al.: Long-term, infection-acquired immunity against the SARS-CoV-2 variant in a hamster model.,  Cell reports, 38, 110394, Feb. 15(2022)

2)Thomas Theo Brehm et al.: Low SARS-CoV-2 Infection rates and high vaccine-induced immunity among German healthcare workers at the end of the third wave of the COVID-19 pandemic., International Journal of Hygiene and Environmental Health 238 (2021) 113851.

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