2023年10月3日火曜日

牛久沼散歩と毒草ヒガンバナの抗認知症薬成分

     10月1日は、牛久沼まで散歩しました。

 牛久土浦バイパスの歩道を通り牛久沼まで行きました。

 かなり暑い日が続いたので、蝶々に出会う機会が少なくなっているように感じていましたが、目の前にヒメアカタテハが止まってくれました。翅が欠けることもなくきれいな蝶々でしたが、近づいてもジッとしていました。

ヒメアカタテハ(10月1日)

牛久沼は静かでした。

牛久沼(10月1日)

遊歩道を歩くたびにイナゴやバッタが飛び立ちました。

イナゴ

かわいいイチモンジセセリも見つけました。

イチモンジセセリ

イネ科の野草が元気でした。メヒシバやオヒシバに加えてチカラシバも存在感があります。セイタカアワダチソウの花もそろそろ咲きそうです。

牛久沼の木道とメヒシバ、チカラシバ、セイタカアワダチソウ

ヒガンバナが見ごろでした。遊歩道や牛久沼のアヤメ苑でたくさん咲いていました。

牛久沼アヤメ苑のヒガンバナ(10月1日)

ヒガンバナ(マンジュシャゲ:曼殊沙華)は毒草として有名なので、少し調べてみました。

ヒガンバナの主要な毒成分は「リコリン(Lycorine)」とのことです。ヒガンバナの学名の「Lycoris:リコリス」に因み命名されたようです。

毒成分のリコリンはヒガンバナ科(Amaryllidaceae)のヒガンバナ属(Lycoris)やスイセン属(Narcissus)、スノーフレーク属(Luocojum)などの植物に含有されていて、日本では春先にニラの葉と間違えてスイセンの葉を誤食することによる食中毒が報告1)されているようです。

ヒガンバナのリコリンは芳香族アミノ酸のチロシンの代謝産物である二つの成分、プロトカテクアルデヒドとチラミンの縮合産物であるノルベラジン(Norbelladine)を前駆体として生合成される2)とのことですが、リコリンの他にクリニン(Clinine)やガランタミン(Galacthamine)が良く知られているようです。

リコリンとクリニンは他の植物の生育に影響を与えるアレロケミカルでもあるようです3)

一方、ガランタミンは認知症予防薬のレミニールとして販売されているようです4)

ヒガンバナの主なアルカロイドの化学構造と生理活性

ヒガンバナには医薬品として利用されている成分が含有されていることを知りませんでした。

医薬品のリード化合物ということではなくて、含有物質そのものが医薬品になっているので驚きました。

日本で認可・市販されている抗認知症薬の化学構造など

ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)のアルカロイドに関する研究報告がたくさんあり、ヒガンバナは単なる毒草にとどまることなく、様々な薬効を示す成分を含有していることを知りました。

参考)

1)厚生労働省:然毒のリスクプロファイル:高等植物:スイセン類 (mhlw.go.jp)

2)Ying Guo et al.: Analysis of Bioactive Amaryllidaceae Alkaloid Profiles in Lycoris Species by GC-MS, Natural Product Communications, 9(8), 1059-1222(2014)  

3)藤井 義晴ら:ヒガンバナの他感作用と作用物質リコリン・クリニンの同定、雑草研究,44,182-1831999

4)下濱 俊:コリン仮説に基づくAD治療法開発の現状と展望、臨床神経、53,1036-1038(2013)

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