2024年1月20日土曜日

庭のサボテンの花とサボテンの食資源化の動向

   庭のサボテンの花が12月末から咲き始めました。20年近く何となく育てていましたので、開花のサイクル等について気に留めていませんでしたが、今回はかなりたくさんの花が咲きそうなので、鉢を持ち歩いて壊してしまい、植え替えることになったので反省しつつ少し調べて見ました。

庭のサボテン、マミラリア(Mammillaria)

マミラリアの花(1月19日)

サボテンは、ナデシコ目(Caryopyllales)サボテン科(Cactaceae)に属する植物のようです。

サボテンはその形態(見た目)から樹木状サボテン、柱サボテン、玉サボテンなどのように分けることもできるようですが、現在でもその分類は(Classification, Taxonomy)確定していないようです。

世界的にはICSGInternational Cactaceae Systematics Group)が1990年代から取り纏めに関わっているようです。

日本では中部大学の堀部先生がサボテン研究で活躍しておられ、サブファミリー(亜科)を4グループに分類されていました1)。北海道大学植物生態学研究室でも同じような区分けになっていました2)

花が咲き始めた今回のサボテンはカクタス亜科に属するようです。カクタス亜科は1200種内外あるようなので、判別は難しいのですがマミラリア属(mammillaria)のようで、ネットでの検索ではMammillaria muehlenpfordtii(妙法蓮華丸)に似ているように感じます。

マミラリア属の花や果実を彩る赤色色素はマミラリニン(mammillarinin)とのことです3,4)。サボテンはナデシコ目に属するので、オシロイバナなどと同様に花色素と呼ばれるアントシアニンは含有されず、代わりにベタレイン系色素が花や果実の色素になっているようです。

マミラリア属の花や果実の赤系色素

指のような形態でドンドン増えるサボテンも同様に育てていますが、こちらもマミラリア属のようです。でもまだ花を見たことはありません。

マミラリア属のサボテン

カクタス亜科のマミラリア属サボテンは観賞用として栽培・流通・販売されているようですが、もう一方のウチワサボテン亜科のサボテンは生命力が強く、乾燥地や貧栄養の土地でも生育・繁殖できることから、侵略外来種としての側面と、食用資源の側面からそれぞれ注目されているとのことです。

最近は人口増や気象異常などに伴い、昆虫食が注目されるなど食資源の増産・確保が世界的課題になっていますので、国連食糧農業機関(FAO)や国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)もこのウチワサボテンに着目し、出版物5)の公開やCactusNet (サボテンに係る国際技術ネットワーク6)の設立などを通じて食資源としての有用性をアピールし始めているようです。

私も思いがけず「つくば道」で Opuntia Ficus-indicaに似たウチワサボテンの果実(Cactus pear)の写真を撮っていましたが、食べて見たかったです。このサボテンのベタキサンチンはインディカキサンチン(プロリン結合タイプ)として良く知られているようです(2022年11月16日ブログ)。

ウチワサボテンの果実:Cactus pear(つくば道にて)

棘があるので管理をしっかり行う必要はありますが、中部大学が春日井市と連携して進めているようなサボテンの食利用・食品開発が成功し、各地に広がることを期待したいと思いました。

ウチワサボテンは二酸化炭素を吸収し、それをシュウ酸カルシウムの結晶として蓄積するとのことなので、葉ステーキを食べる際にはほうれん草と同様に下茹が大切だと思いますが、結晶が見える程の炭酸ガス吸着力があるのであれば、砂漠での炭酸ガスオフセット7)とともに、培養細胞を作成してシュウ酸生産ラインを構築すれば地球環境改善の視点から面白いのかなと素人ながら思いました。

参考)

1)堀部 貴紀: PowerPoint プレゼンテーション (biotech-tokai.jp)

2)北海道大学植物生態学研究室:Cactaceae (hokudai.ac.jp)

3)Agnieszka Kumorkiewicz-Jamro et al.:Multi-colored shades of betalains:recent advances in betacyanin chemistry., Nat. Prod. Rep., 38, 2315 (2021)

4)Slawomir Wybraniec et al.: Mammillarinin: a new malonylated tetacyanin from fruits of Mammillaria., J. Agric. Food. Chem. 55(20), 8138-8143(2007)

5)Paolo Inglense et al.: Crop Ecology, Cultivation and Uses of Cactus Pear., FAO & ICARDA, 2017.

6)Home - CactusNet (cactusnetwork.org)

7)インタビュー/サボテンがもたらす持続可能性―地球温暖化防止や食糧危機に貢献【地球環境特集より】 | 日刊工業新聞 電子版 (nikkan.co.jp)

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