2018年6月13日水曜日

雑木林の山野草と七時雨山麓散歩


豆畑での作業を終え、時間があったので近くの雑木林へ山野草を見に出かけました。マイヅルソウの花の写真は以前に掲載しましたが、今回はサイハイランを見つけました。花は終わりの頃のようで葉も元気がありませんでしたが、初めて観察しました。


前回紹介したニリンソウの花はもう散っていましたが、代わりにハモグリバエが食べ回ったニリンソウの葉が見つかりました。表皮を残して葉肉を食べた後がくっきりと残っていました。また、まだ花は咲いていませんがイカリソウがあちこちに芽を出し大小のハート形の葉が目立っていました。



センリヨウ科に属するフタリシズカ(二人静)の花も地味ですが2本咲いていました。静御前とその亡霊の舞の姿に例えフタリシズカと命名されたようですが、花は2本だけでなく3本から4本も咲くようです。残念ながら、同じセンリョウ科のヒトリシズカは見つかりませんでした。私は、フタリシズカよりヒトリシズカの方に風情を感じます。


さらに歩くとホタルカズラが咲いていました。以前は、群落を形成していたとのことですが、結構頻繁に下草刈りを行っているので少なくなっているようです。ホタルカズラは、日本の多くの都道府県のレッドリストに掲載されているとのことですので、この雑木林でも保護するように進言したいと思っています。


岩手県で最も有名な山は岩手山(2,038m)ですが、その他に日本百名山の八幡平(1,614m)や早池峰山(1,917m)、さらに登山し易いことから新日本百名山に選定された七時雨山(ななしぐれやま:1063m)、さらに名前がユニークで石川啄木が慕い有名になった姫神山(1123.8m)などがあります。私は、これらの山に登った経験はありますが、最近は登山が楽な八幡平や七時雨山に時々出かける程度です。

今回は、登山はできませんでしたが9日に七時雨山の山麓に出かけました。朝方は晴天だったので地面がかなり暖かくなったところで、昼ごろ急激に曇り温度が低下したため、山麓の畑から煙のように湯気が湧き上がっていました。かなり幻想的な雰囲気でした。



一方、七時雨山を通過する道路脇にはタニウツギがたくさんあり、ピンク色の花が道を飾っていました。この時期は山ツツジも咲き、また山菜も多いので山麓の小さな駐車場は車で賑わっていました。

2018年6月12日火曜日

豆畑の状況とジャガイモのテントウムシの斑紋調査


岩手に行く機会があったので610日に畑(家庭菜園)に行ってみました。わずか一週間ぶりでしたが、豆類は大きく成長していました。特に白花豆と花豆の成長が著しく、白花豆の蔓は1m以上も伸び、もうすぐネットの最上部まで届く勢いでした。品種によって成長の具合がかなり異なるようなので、それぞれ写真を撮りました。今のところ病変は観察されず、アブラムシも居ません。その他の昆虫もみあたらないので、おおざっぱに草むしりをして豆畑の仕事は終えました。



一方、傍らに植えたジャガイモにはテントウムが結構たくさんいました。昨年は一匹だけの写真でしたが、今回はたくさんの写真を撮り、それらの黒斑点模様を比較して見ました。写真で示したNo.1,No.3,No.4のテントウムシとNo.2のテントウムシではNo.1,No.3,No.4の各斑点が大きく、かつ背中中央部の斑点(ナンバーリングの1とd)1)の融合が明瞭で、しかも肢の付け根部分が黒くなっていました。「大阪府のテントウムシの見分け方」2や岐阜大学理科教材データベースの昆虫図鑑3)が分り易かったので、それらを参考にして分類するとNo.1, No.3,No.4はヤマトアザミテントウ、No.2はオオニジュウヤホシテントウということになります。ただ、周囲にはアザミはほとんど無く、みんなジャガイモの葉を表面からガリガリ食べている連中でジャガイモの葉が好きそうですので、食性からはオオニジュウヤホシテントウのようにも思えます。また同じ畑から採集していますので雑種の可能性はないのかどうかも気になりますので、分類についてはもう少し勉強してみます。

 片倉らの報告4)では、草食性テントウムシの黒斑紋のうちa-hの非永続性斑紋は熱帯地域では消失している種が多いとのことです。でも、熱帯高地では出現率が高くなるので、斑紋の出現には紫外線対策としてのメラニン化が関与しているものと推察しています。日本の草食性テントウの斑紋は熱帯地域より出現率が高くかつ大きいので、緯度が高く涼しくなる程斑紋数が多くなるとも記載しています。このことから、日本の北部地域のオオニジュウヤホシテントウ群の斑紋は関東以南のニジュウヤホシテントウより大きく、また北海道のエゾアザミテントウが最も斑紋の黒面積が多いということになります。
 



 豆を植えた畑の周囲には水田とともに牧草畑がたくさんあり、牧草の刈り取りが行われていました。その影響なのかも知れませんが、ジャガイモの葉にオオムネアカハバチが数匹いました。幼虫がイネ科を餌として成長するそうです。初めて見た昆虫でしたので、もしかしてオオニジュウヤホシテントウに卵を産む寄生蜂かも知れないと思いワクワクしましたが、残念ながらコマユバチ類ではありませんでした。



畑の周囲にはヒメジョオンの花がたくさん咲いていて、ベニシジミが蜜を吸っていました。今回も楽しい家庭菜園作業でした。

参考)
1)A.M. Richards: Int. J. Entomol., 25(1), 11(1983)
http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/Ent/Ladybeetle-key/
black-spot5.html
http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/SEIBUTSU/DOUBUTSU/
09kochu/tento/index.html
4)H. Katakura et al.: Zoologi.Sci., 889(1994)

2018年6月8日金曜日

笊川散歩とスイカズラのコマルハナバチ


今日は、久しぶりに笊川沿いを散歩しました。川の周囲はいつもきれいに管理されているので、雑草の写真を撮る場所としては不適のように思いますが、それでもアメリカスミレサイシンの葉が大きく成長していたり、ツタバウンランの花が以前よりかなり小さくなっているものの、夏型なのかよくわかりませんが小さな花を付けつる状に伸び始めているなど、それぞれ次のステップに移っているようです。春の圧倒的な開花から、初夏のまぶしい日差しを取り込んだ成長へと草花もそれぞれ、次の顔を見せているように感じました。


梅雨間近なこの時期に、初春に観察した花々と同じような花を見つけることは難しいだろうなとの想いを持ちつつ散歩しましたが、きれいに草刈りが行われた河原では、ハルジオン、シロツメクサはよく見かけるものの他の野草の花は目につきませんでした。

でも唯一、1本のスイカズラが満開になっており、しばらくそれを眺めていたところ、聞き覚えのある羽音と共に1っ匹の蜂が飛んできて目の前の花に止まりました。あわてて写真をとりましたが、どうやらコマルハナバチのようです。一瞬のできごとなので、ピントの合った写真を撮ることはできませんでしたが、ハナバチにはかなり興味を持っていましたので、偶然の遭遇に感謝しました。



 草刈りが行われた笊川では、モンシロチョウやモンキチョウが飛び回っていましたが、じっととどまることはありません。ジャノメチョウも草陰を飛び回っていました。ジャノメチョウはじっとしている瞬間があるので、追いかけて写真をとりました。不審者と思われたかもしれません。


 笊川にはいつもスズメとともに鴨やセキレイがいます。今日は鴨が2匹の雛を従えて川面を泳いでいましたが、私が近づくと岸に隠れ雛は見えなくなりました。キセキレイは、こちらを意識しつつも水浴びをして知らんふりです。
 1万5千歩の散歩でした。

  シロツメクサの葉には様々な模様があり、興味を持ちました。自然のデザイン力はすごいとおもいます。これからも集めます。

2018年6月7日木曜日

明治以降の帰化植物が3割に到達


ブタナ(タンポポモドキ)を観賞用の花として畑に播こうとしてしまった経験を前回書きましたが、実はブタナは2005年から20153月まで環境省が公表していた「要注意外来生物リスト」に掲載され、また北海道のブルーリスト2010の対策優先度の高いA2ランクにリストアップされる程の問題植物でした。ということで、外来種に関する知識不足を思い知らされ、少し調べて見ようと思いました。

 現在日本には2,200種を超える外来植物が存在し、そのうち野外に生えている植物は帰化植物と呼ばれ1,600種にもなるそうです1)。これは、日本の全植物5,500種の約30%に相当するとのことです。私たちが野外で良く目にする植物の3割が、明治以降に海外からやってきたものだということになりますので、驚きです。帰化植物といってもいつの時代まで遡るかが問題ですが、江戸時代までは、20種程度だった1)とのことですから、その後急激に増加したことになります。

海外の事情を見ると、米国本土の帰化植物は42%に上ると見積もられ(https://www.fs.fed.us/wildflowers/invasives/index.shtml)、ハワイでは何と50%を超えると言われているようですので、貿易の頻度や歴史がその国の帰化植物率に影響を与えているようです。

 帰化植物のうち、生態系に被害を与えるおそれのある植物については、前述のとおり環境省が平成273月までは「要注意外来生物リスト」を公開し、それ以降は新たに「生態系被害防止外来種リスト」を作成し、規制や防除、理解促進に取り組んでいるようです。特に重要なものについては特定外来生物として16種をリストアップしていますが、私がこれまでに遭遇した植物の中ではオオキンケイギクやオオハンゴンソウ、アレチウリの3種がこれに該当します。


 興味深いことに、オオキンケイギクについては岐阜大学工学部の先生が花の色素の一つである4-メトキシランセオレチンに白血病細胞に対する細胞死誘導作用を見つけ論文2)を発表していますので、ヒト試験での有効性の確認を期待しています。



 「生態系被害防止外来種リスト」に掲載されている生物については外来生物法に基づき「入れない、捨てない、拡げない」の遵守が必要とのことです。私たちが日常良く目にする、セイタカアワダチソウやアメリカセンダングサ、西洋タンポポはもとよりヒメジョオンなどもリストに掲載されているので良く確認する必要があると思っていますが、それにしても陸生の草本植物108種のうち知っている植物はほんの僅かしかないことが分かりました。道端の草はいつも良く見ているつもりなのですが、まだまだ勉強が足りないようです。


参考)
1)西田智子:http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/177/
mgzn17705_01.pdf
2)Pardede A. et al.:Bioorg. Med. Chem. Lett., 15(12), 2784 (2016)

2018年6月6日水曜日

タンポポとタンポポモドキ


豆畑は播種前の4月末に耕耘したため、今回雑草はまだ小さく手入れが簡単でした。でも、荒地や道端の雑草は春早くから伸びていたので、皆さんが田植えをする前に草刈りを行いましたが、再度タンポポは立派に伸びて花を咲かせていました。タンポポの葉は地面を這うロゼッタ葉でしかも根は地中深く伸びているので、草刈り後すぐに芽を出し優占種になってしまうようです。

今良く見かける西洋タンポポは、1904年に北アメリカから札幌に食用として導入されたとする説があるようです(北海道ブルーリスト:http://bluelist.ies.hro.or.jp/db/detail.php?k=08&cd=468)。昔から、西洋では食用として利用されていたようで、最近は日本でも食用タンポポの種がネット販売されています。タンポポの根にはコーヒー豆の主要なポリフェノールであるクロロゲン酸類が存在するので、細断後焙煎して代替コーヒーとして利用することは知っていましたが、花や葉の食べ方に関する情報提供が行われていることは知りませんでした。


タンポポの花や茎葉、根には抗酸化性の強いポリフェノール類が豊富に存在していることから、人間に対して様々な生理的機能が期待されているようです。まだ細胞レベルでの試験ですが、2型糖尿病に対する予防機能も確認されているようです1)ので、タンポポがハーブや山菜のように利用される時代が来るといいなと思ってしまいます。

最近、タンポポによく似ていてタンポポよりかなり首の長い花が人里の至るところで目立つようになりました。これはブタナと呼ばれる雑草ですが、実はこの花を初めて見たとき、その種を採取して畑に蒔きたいと思いました。花のサイズが比較的大きく、咲いている期間も長く、密集して咲くので魅力的な花だと思った訳です。でも、調べてみたところこの雑草は札幌で1933年に発見された帰化植物で、当時は「タンポポモドキ」と呼ばれていたとのことです。それが、今では全国に蔓延し問題になっているようなので、畑に種を蒔かなくて正解でした。ブタナも地面を這うロゼッタ葉なので、タンポポ同様草刈り後すぐに芽を出し、優占種としてはびこることになるものと思われます。

このブタナはヨーロッパから1884年に米国に帰化し、さらに日本に帰化した訳ですが、原産地のヨーロッパや中東アジア、インドでは民間伝承薬として黄疸や胃弱、便秘、リウマチ、高血糖の症状緩和に利用されてきたようです。最近では作用メカニズムに関する研究2)も行われ機能性成分として複数のセスキテルペンが単離され、アラキドン酸代謝の制御を通じた鎮静作用や抗炎症作用が期待されているようです。


でもひとつ心配な作用として、草地のブタナの多食による馬の後足の痙攣がオーストラリアで問題視3)されているようです。ブタナは乾燥地でも良く育ち、オーストラリアでは馬の餌として多量に用いられる場合があるとのことです。また、馬がブタナの機能性成分に対して感受性が高いことも原因の一つなのかも知れません。

 タンポポやブタナに加え、前回記述したニガナにも有用な機能が報告されているので、これらキク科の野草はもしかしたら日本でも注目されることになるのかもしれません。


参考)
1)Fonyuy E. Wirngo et al.:The Review of Diabetic Studies13113(2016)
2)Tareq Abu-Izneid et al.: Hindawi BioMed Research International, 2018,11(2018)
3) Charles El-Hage:Investigation into the Cause of Australian Stringhalt, Australian Government Rural Industries Research and Development Corporation, December 2011.

2018年6月5日火曜日

播種2ヶ月後の豆畑と山野草


6月1日は雨で他の用事もあったことから、2日に豆畑に行ってきました。岩手山の雪は前回よりだいぶ少なくなっていましたが、田植えが終わったばかりの季節の中で、畑の雑草はまだまだ小さく豆類が逞しく見えました。


特に花豆と白花豆の成長は他の豆に比べて早く、すでに弦が伸び始めていました。蔓が伸びる豆類としては、他に虎豆やモロッコ豆も植えていましたので、今回はこれらの畝に蔓用のネット張りを行いました。花豆は2mを超える程高く成長する能力があるようですが、収穫の際に手が届かなくなるのでネットはどれも私の背丈程度にしました。ネットとしてはキュウリ用のネットとエンドウ豆用のネットの2種類を使いましたが、キュウリ用のネットの網目はかなり大きいので、蔓がしっかりネットにつかまり伸びてくれるかどうか少し心配です。また、花豆の株間は普通60cm以上にするようですが、現状30cm程度なので後日間引きをする必要があるかも知れません。次回いつ畑に来ることができるかわかりませんが、その都度問題に対応するということで簡便してもらうことにします。


ネット張りと草取り・草刈の合間に昆虫を探しましたが、昨年の栽培場所からかなりずらして植えた少しばかりのジャガイモの葉にニジュウヤホシテントウが大勢襲来していました。越冬した成虫や越冬卵から孵化したものと思われますが、目についたものは全部手で退治しました。産卵されてからでは手遅れになるからです。また、昨年同様キマダラコヤガの成虫も見つかりました。幸いまだアブラムシは目に付きませんでしたが、周りにはイヌノフグリも生えているので、根元で越冬した成虫や卵から孵化したアブラムシが間もなく豆の葉に押し寄せてくることでしょう。このアブラムシ被害が最も大きな問題なので、対策を考えなければなりません。冬季にテントウムシの越冬集団を見つけて利用したいと思っていましたが、残念ながら発見できませんでした。そこで今回は、とりあえず木酢酢の希釈液を満遍なく噴霧しておきました。


6月3日に仙台に戻りましたが、その前に近所の野山を少し散策したところオオヤマオダマキがきれいに咲いていました。また、前回まだ蕾だったマイズルソウも咲き、さらにタニウツギ(タウエバナ、ヤマウツギ)も咲きそうになっていました。



 いつも慌ただしく戻るので未練は残るのですが、その分次回の訪問が待ち遠しく(労働に伴う老体の痛みは増すものの)楽しみも大きくなります。

2018年6月4日月曜日

ニガナやシロニガナの群落との出会い


531日から6月3日まで岩手に行ってきました。その際、岩手に向かう東北自動車道の下りサービスエリアで昼食休憩をとり、天気が良かったので少し散歩しました。運の良いことに、散歩道の周囲に小さく可憐な花がたくさんきれいに咲いていました。ほぼ同じ形状の黄花と白花が密集し、良く見るとどちらの花にも花弁が5枚から8枚程度付いています。


後で調べたところ、小さな花はニガナであることが分かりました。ニガナはキク科ニガナ属に属し、基本的には花弁が5枚の黄花で、花弁が5~7枚程度までをニガナと呼ぶことが多いようです。花弁が8枚以上のものはハナニガナに分類されるとのことなので、この群落はニガナとハナニガナが混在したものということになるのでしょうか。白花もニガナの変種と言うことです。



この群落から少し離れたところに花弁が8枚以上でニガナとよく似た頭頂部を持つ花が咲いていました。これがハナニガナのようです。群落を形成していた花の花弁数は通常より少し多いように思いますが、やはりニガナとシロニガナなのでしょう。


さらに散歩を続けたところ、ニガナと良く似ているものの花弁が13枚で頭頂部の形がニガナとは全く異なるやや大きめの花に出会いました。コウゾウリナと呼ばれる花のようです。コウゾウリナはキク科タンポポ亜科のコウゾウリナ属に分類されるようですが、最近帰化植物として分布範囲が拡大しているブタナもコウゾウリナ属に属するようです。ブタナは確かに、頭頂部がコウゾウリナに良く似ています。このブタナも圧倒的な存在感を示しサービスエリア内のあちこちに咲いていました。



また、ジシバリ(地縛り)も見つけました。ジシバリはイワニガナとも呼ばれ、ニガナ属に属することから頭頂部がニガナに良く似ています。でも葉が地面を這うように茂り、かつ特徴的な形状をしており、さらに花弁数がニガナより圧倒的に多いことから容易に区別がつきました。


いつもは、このサービスエリア内にあるウサギ小屋に行きクローバやハコベ、オオバコの葉などの餌を与えただけで、散歩することもなく慌ただしく運転を再開していたのですが、今回は思いがけず散歩をしたことで多くの野草に出会い写真を撮ることができ、楽しい休憩になりました。

2018年5月30日水曜日

スミレの種子とトラマルハナバチ

  527日(日)に孫を連れ家内と一緒につくば市の洞峰公園に行きました。快晴でしたので池の回りをジョギングしている人を始め、遊具で遊んでいる子供達、テントの中でくつろいでいる家族などたくさんの方が休日を楽しんでいました。私は、子守のかたわら雑草や昆虫の写真を撮りました。

前回のブログの続きになってしまいますが、公園内のスミレには丁度種子が出来ていて、運よくその写真を撮る機会に恵まれました。これまでスミレの種子に興味を持つことはありませんでしたので今回が初めての観察になりました。驚いたことに、スミレの花1つに60個程度の種子が付いているようです。また大きさは1㎜程度なのですが、多くの方が指摘しているとおり小さなエライオソームがついていました。この程度の種子ならアリもあまり苦労せずに巣に運ぶことができるのでしょう。スミレ種子のエライオソームが確認できて良かったです。


さらに、人通りの少ない狭い砂利道の歩道を歩いていたとろ、アザミの花の上にハナバチらしき昆虫がいるのを見つけました。後で調べてみたところトラマルハナバチのようです。動きが速いのでピントを合わせることができませんでしたが、昨年922日に牛久市で遭遇したハナバチと同じ種類のようです。


そのほか、木陰をひらひらと飛んでいたヒメウラナミジャノメとキチョウの写真を撮ることができました。残念ながら、どちらも翅を広げた瞬間を撮影することはできませんでした。


道端にはヘビイチゴもたくさん実を付けていました。ジャムなどに加工して食べることも可能とのことですが、小さいころの印象があまり良くないので食べる気持ちにはなれません。



 また、葉の無い奇妙な花も見つけました。一ヵ所に結構たくさん固まっていて花が終わったものは茶色に枯れています。 名前を調べてみたところ「ヤセウツボ」であることが分かりました。ヤセウツボはマメ科やキク科の地下部に寄生し成長するとのことで、写真を撮ったヤセウツボの周りにはキク科のタンポポがあったので、その根に寄生していたものと思われます。
 面白いことに、このヤセウツボは筑波大学の構内にもたくさん生えていて、その有用成分に関する研究が行われているようです。その結果、ヤセウツボにはポリフェノールのアクテオシドが豊富に存在し、まだ試験管レベルの試験ですが認知症の発症に関与するβ-アミロイドの凝集を抑制する作用を持つことが報告1)されていました。


 子守をさぼりながらの散歩でしたが、結構楽しい半日を過ごすことができました。孫に感謝です。

参考)
1)M.Kurisu et al.: Biosci.Biotechnol.Biochem., 77(6), 1329(2013)



 
 

 

2018年5月24日木曜日

アリ散布植物とエライオソーム、ヒメオドリコソウの繁茂

  野山を歩くと知らぬ間にズボンに山野草の種子が付き、取り除くのに苦労することが良くあります。タンポポのように種子を風に乗せて分散させる植物もあり、植物の種子の散布様式は巧で様々です。面白いことに、スミレの種子はアリによって巣まで運ばれるそうですが、アリは散布の報酬として種子の端に付着している「エライオソーム(Elaiosome)」と呼ばれる餌をゲットできるとのことです。 

エライオソームはアリの幼虫を育てる役割を担っていることから、15種のエライオソーム付着種子のエライオソームと種子そのものの栄養素に関する比較研究1)が行われていました。それによると、エライオソームはエライオソーム付着種子と同様に脂質を多く含み、フルクトース等の可溶性の糖質(炭水化物)とともにヒスチジン等の遊離アミノ酸も豊富に含有する特徴を持っているとのことです。さらに、脂質中の脂肪酸組成を調べた結果によると、オリーブオイルの主要な構成脂肪酸として知られているオレイン酸が多く含まれているとのことです。別の論文2)ではオレイン酸の結合した油脂(ジグリセリド)がアリに対する誘引物質であるとしていますので、どうやらオレイン酸がエライオソームの鍵物質の一つになっているようです。



アリによる種子の散布様式は、アリ散布(ミルメココリー:myrmecochory)と呼ばれ、80800種の植物で確認されているようです(Beattie and Hughes, 2002)。驚いたことに、この仕組みを卵の安全な孵化のために利用しているチャッカリ動物もいるようです。擬態で有名なナナフシの仲間は、自分の卵に帽子状の餌を被せ、アリの巣まで運ばせるとのことです。餌が食べられたあと、卵は巣の外に捨てられそこで間もなく孵化するのですが、アリの巣の中でナナフシの卵が安全に守られていたということになります。

アリは地球上最も繁栄した最優先生物で、その数は地球上の1mm以上の生物の1%にものぼるとのことです。アリの先祖はハチですが、進化の過程で翅を失い、また目もあまり見えない代りに触覚が化学物質センサーとして高度に発達し、この触覚によるケミカルコミュニケーションを駆使した様々な生活様式(農業アリ、収穫アリ、サムライアリ、寄生アリなど)が可能になっているということです。

地球上で最も数の多いこのアリを巧みに利用している植物が「アリ散布植物」で、春の散歩で良く目につき、これまで写真を撮ったことのあるイヌノフグリやフクジュソウ、ニリンソウ、カタクリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、スミレ、クサノオウ、ムラサキケマン、カタバミなどは皆これに該当します。アリは、人間の生活圏においては河原などの石垣に巣をつくる場合が多いので、環境庁の植物レッドリスト絶滅危惧種Ⅱ類に分類されているにも関わらずイヌノフグリは、アリによる散布によって石垣には良く生えているとも言われています。


これら「アリ散布植物」の中で最近話題になっている植物は、日本在来のホトケノザと外来種のヒメオドリコソウのようです。両者はシソ科に属し生育環境が重なっているため競合が生じ、ホトケノザが少なくなりヒメオドリコソウが多く繁茂する状況になっているようです。ホトケノザは、他家受粉を行う開放花と自家受粉のみを行う閉鎖花を一固体が同時期につける一年草のようですが、ホトケノザの群落にヒメオドリコソウが生えると、ホトケノザの閉鎖花出現率が著しく増加することが分かったようです3)


ホトケノザの開放花種子のエライオソームは、閉鎖花種子のエライオソームより大きく、アリは開放花種子を好んで巣に運ぶので、ヒメオドリコソウが侵入したホトケノザ群落は生育場所を広げることができなくなります。帰化植物のヒメオドリコソウだけでなく、在来種のオドリコソウにも同様の作用があるようですが、何が(どんな物質が)そのような作用をするのかについてはまだ分かっていないものの、大変興味深い現象だと思いました。

参考)
1)Renate C. Fischer et al.:Oecologia,155,539(2008)
2)Senay Kusmenoglu et al.:Phytochemistry, 28(10),2601-2602(1989)
3) 高倉 耕一:日本生態学会大会講演要旨、第62回大会PA2-0892015