ネットには奇麗な写真がアップされていますが、私の写真はかなりボケているので黒い斑点模様のみから種を判断するのは難しいようです。岩手のジャガイモ畑には草食性テントウムシとして、ニジュウヤホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウ、ルイヨウマダラテントウ、ヤマトアザミテントウなどがいた可能性がありますので、たくさんの写真を撮って比較検討するべきでした。
青森県で行ったルイヨウマダラテントウに関する試験1)では、生育地域によって食性が少し違っているとのデータも出ていますので、餌としての嗜好性だけから判断することもできないようです。これらの同定には、翅の斑紋の他に、前胸の背板の紋や小盾板の状態、脚節の黒い紋なども参考にするそうなので、多方面からたくさんの写真を撮っておけばよかったと反省しています。成虫も幼虫も卵もたくさんあったのに残念です。
草食性テントウムシの分類については、世界的レベルで見直しが行われているようです。日本では、草食性テントウ虫が所属するテントウムシ科マダラテントウ虫亜科エピラクナ属にちなみ「エピラクナ問題」として、特集を組んでいました(昆虫と自然2014年1月号)。
ここでは、ニジュウヤホシテントウやオオニジュウヤホシテントウ、ルイヨウマダラテントウなどの名を取り上げましたが、これらの草食性テントウムシの属名は前述のとおり「Epilachna」でした。でも、2003年頃からこれらを「Henosepilachna」属として記載するようになったようです2)。
エピラクナの前に付記された接頭語の「Henos」の意味は良くわかりませんが、1961年に台湾の研究者が命名提案し(Li & Cook: Pac. Insects 3(1): 31-91)、今では日本の草食性テントウムシのほとんどは「Epilachna」から「Henosepilachna」に変えているようです3)。
アジア諸国に多く分布する草食性テントウムシの食性変異は、あちこちで観察されているようで、種の分化の良いモデルになっているようです。また、各国で侵入害虫として、それまでにいなかった種が発見されることも多いようです。日本では、1997年に草食性テントウムシのインゲンテントウ(生息地グアテマラ)が北海道大学の大学院生によって初めて確認されたとのことなので、今後もそのような発見が続くものと思われます。
岩手では、オオニジュウヤホシテントウの数が最も多くなる7月頃の卵数を基準にして、翌年の越冬後の成虫数をカウントすると0.35%ぐらいになるということです。場所によって変動はあるものと思いますが一つの例として納得できます。
かなり厳しい数字ですが、私の畑では来年も間違いなくオオニジュウヤホシテントウなどが大発生するものと思っています。今度は、こまめに写真を撮ろうと思っています。
参考)
1)山内 智:日応動昆誌、38(3)、191(1994)2)松本和馬ら:日応動昆誌、7(3)、91(2004)
3)Toru Katoh et al.: Zoological Science, 31, 820(2014)
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