2017年10月6日金曜日

草食性テントウムシへの進化

  今年のジャガイモ栽培は収穫時期に長雨があり、ジャガイモ畑が長い間湿地状態だったため軟腐病が発生し、失敗に終わりました。大発生したオオニジュウヤホシテントウによる食害は想定内で、むしろジャガイモ栽培中に、畑の周囲に居る様々なテントウムシを観察しようと思っていたのですが、こちらも残念ながらオオニジュウヤホシテントウ以外のテントウムシに出会うことはできませんでした。

そこで、公園などに出かけテントウムシ探しをした結果、ナナホシテントウと黄色テントウ、ナミテントウをそれぞれ一匹ずつ写真に撮ることができました。たったの一匹ずつです。簡単に見つかるだろうと思っていましたが、当て外れでした。探し方が悪いのだと思いますが、それにしても残念な結果です。でも、このジャガイモ栽培をきっかけにしてテントウムシやアブラムシに興味を持つことができました。

テントウムシは本来肉食性だったようです。進化の過程で草食性テントウムシが誕生したのです。その進化を支えた身体的変化は大顎(Mandble)の発達のようです1)。スプーンのように滑らかだった大顎がフォークのような葉を削り取る構造に変わり、その顎を前後左右に動かすことによって葉を削り取ることが可能になったのです。

オオニジュウヤホシテントウなど草食性テントウムシの食行動の痕跡は明瞭で、私はこれまでオオニジュウヤホシテントウは硬い維管束を食べることができないので、食べ跡が編み目構造になっているものと想像していましたが、違いました。葉から転落するのを防ぐため、葉の強度を弱めないように、棚田の畔のような食べ残し部分をつくっているのかも知れません。





 
私はテントウムシの解剖はできませんが、種の分類には欠かせないようです。最近は、特に草食性テントウムシの分類に関する研究が活気づいています2)

以前黄色テントウムシを見つけ、初めてだったので嬉しくてビニール袋に入れて持ち帰り、後でじっくりと写真を撮ろうと思っていたのですが、油断したスキにビニール袋から飛んでどこかにいってしまいました。部屋のどこかにいるはずですが、もう死骸になっているものと思っています。死骸なら、私でも解剖できるかも知れません。でも、見つけられるかな、無理かもしれません。

参考)
1)Xingmin Wang et al. : ZooKeys 448: 37–45 (2014)
2) Karol Szawaryn et al.: Systematic Entomology (2015), DOI: 10.1111/syen.12121

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