2021年6月25日金曜日

新型コロナウイルスの集団免疫は達成できるのだろうか

   今日625日は一度目のワクチン接種予定日です。1430分からの順番になっています。

世界でいち早くワクチン接種を行ったイギリスやイスラエルでは、順調に感染者や死者数が減少しているとのことだったので、今回の核酸ワクチンの効果はすごいノーベル賞級だと思っていましたが、最近イギリスでは感染者が増えているとのことなので少し不安になりました。

ワクチンを接種していない方やワクチンを1度だけ接種している方がインド型の変異株であるデルタ株に主に感染しているとのことです(1)。デルタ株は、今回のRNAワクチンに対する抗体産生を少し弱め、さらに感染力が強いので予防のためにはワクチンを所定通りしっかりと2度接種する必要があるようです。

最近さらにデルタ株のスパイクタンパク質の417番目のアミノ酸がリジン(K)からアスパラギン(N)に変異したデルタプラス株による感染も確認され始めているとのことなので集団免疫に対する不安が頭をよぎりました。

感染症に対する集団免疫の閾値は基本再生産数(R0)から算出できるとのことなので、ハシカや風疹、ポリオ、インフルエンザなどの各種感染症の集団免疫閾値(集団免疫率)を門外漢ながら計算してみました。

空気感染するハシカでは、92-94%の人々が再感染あるいは伝染させないような抗体を維持する必要があるようです。集団免疫を頼りにハシカを予防するのであれば、ほぼ全員に「中和抗体を確実に産生するワクチン」を接種する必要があるようです。

幸いにもRNAウイルスに属するハシカの生ワクチンを接種すると、女性では抗体の産生が減少せず、男性では半減期が369年とのことなので(2)、感染力が最強であるにも関わらずワクチン接種が功を奏していると言えるようです。

新型コロナウイルスの集団免疫閾値は、60-70%と言われていましたが、基本再生産数を3-4と想定していることによると思われます。

でも、新型コロナウイルスはまだ変異が止まらず、また無症状者が多いなどの問題も抱えています。無症状者からの感染(実行再生産数)は症状のある患者からの実行再生産数の1/4以下であり、症状のある患者を調査することで十分との研究報告も日本の研究者によって行われています(3)が、少し不安です。また、スーパースプレッダー(4)の科学的解析も皆待ち望んでいるものと思います。

新型コロナウイルスの集団免疫について、Nature誌がNews Featureにその懸念を掲載(5)していました。3月号なので既にクリアーしている懸念項目もあるものと思いますが、これから興味を持って見ていきたいと思っています。

 コロナ禍の中で、喜んだり不安になったりの日々が続いています。


参考)

(1)BBC NEWS Japan: イギリスで感染なお拡大、デルタ株が猛威 ワクチンでリスク低減も、https://www.bbc.com/japanese/57536072, 2021年6月19日

(2)Ian J. Amanna et al.: Duration on Humoral Immunity to Common Viral and Vaccine Antigens, N Engl J Med, 357(19), 1903-1915 (2007)

(3)Ko Nakajo et al. : Transmissibility of asymptomatic COVID-19: Data from Japanese clusters, International Journal of Infectious Diseases, 105,236-238 (2021)

(4)Seema S. Lakdawala et al.: Catch me if you can :Superspreading of SARS-CoV-2, Trends in Microbiology, 2021 May 11; so966-84x(21)00124-4.

(5)Christie AschwandenFive reasons why COVID herd immunity is probably impossible, Nature, 591, 520-522(2021)

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