テントウムシの種類は、世界的に見ると500種、日本に180種程度とのことです。様々な本などで良く紹介される種類はヨーロッパに多いナナホシテントウですが、日本でよく見つかるのはナミテントウのようです。もっとも、チェリッシュが歌う「テントウムシのサンバ」では、テントウムシが赤、青、黄色の衣装を着けて現れることになっていますが、青はかなり珍しいのかも知れません。
テントウムシ分布調査は各地で行われています。例えば琵琶湖博物館が行った2009年の調査では、ナミテントウが65%、ナナホシテントウが16%、オオニジュウヤホシテントウが1%弱見つかっています。日本での最大集団であるナミテントウは斑紋の違いに基づき二紋型、紅型、四紋型、斑型、その他の五つに分類され、棲息率もこの順序になっているようです。但し、二紋型は南の地域に、紅型は北の地域に多く分布する傾向にあり、地球温暖化に伴い、どの地域でも二紋型が増加しているようです。
二紋型はメラニン色素の黒色を基調とし、紅型はカロテノイドによる赤色を基調としているのですが、温度が高くなると黒型の方がなぜか活発になるとのことです。地球の温暖化は日射量の変化によるものではありませんが、黒型の方が暑い地域を起源とするタイプで、遺伝子的にも暑さに対して有利な素質を持っているのかも知れません。
私が良く散歩をする笊川のほとりには雀がたくさん飛んでいます。アブラムシの付いたイタドリやノダイオウ、ギシギシの周辺からも良く飛び立ちます。雀はテントウムシを食べるのでしょうか。食べている現場を目撃したことはありませんが、どうも食べているようです。アブラムシも食べているとの報告があります。笊川でテントウムシがなかなか見つからないのは雀のせいなのかも知れません。
でも一般的には、テントウムシは危機に直面するとアルカロイドを含む体液を足関節から体外に放出し、それらには毒性を示すものがあることから、鳥も嫌う虫ということになっています。鳥も食べないので、テントウムシの衣を借るテントウムシダマシ科がある程で、テントウムシはわざとその存在を強調するために、目立つ色彩になっているとも言われています。
こうしたテントウムシの防御物質に関する詳しい調査も既に行われていて、50種ほどのアルカロイドが報告されています1)。この中で最初に報告された物質は、ナナホシテントウ (Coccinella
7-punctata)のコクシネリン(Coccinelline)2)で、次いでフタホシテントウ (Adalia
2-punctata)のアダリン(adaline)、ナミテントウ(Harmonia
axyridis).のハルモニン(harmonine)などが報告されています。
食物連鎖の一つ一つにそれぞれ複雑な仕組みがあり、その仕組みが地球上の生命の多様性を支える要因の一つなのだと思いました。
2)Graham J. Holloway et al. : Chemoecology, 2, 7-14(1991)
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