2017年6月15日木曜日

生物農薬としてのテントウムシ

ハーレクインテントウ(ナミテントウ)は越冬が可能で繁殖力が強く、世界各国で優占種になりそうだということで恐れられていますが、テントウムシの天敵農薬としての導入は、ヨーロッパでは1875年頃から行われていたようで、かなり長い歴史があります。当時はオーストラリアからコナカイガラムシに対する天敵として導入し、グリーンハウスで利用したのですが、導入した種類は16℃から33℃で活動し、寒さに弱く越冬できなかったため、問題にならなかったようです。このような穏やかな性質のため、このテントウムシはまだ販売が継続されています。

農薬の使用量低減は世界的な課題で、病害虫の総合的管理技術(IPMIntegrated Pest Management)の確立が期待されています。これを支える技術として生物農薬(天敵など)が注目されている訳ですが、ハーレクインテントウ(Harlequin ladybird)の導入は、生態系の攪乱をもたらす恐れのある事例として監視されることになりました。例えば、2004年にハーレクインテントウが確認されたイギリスでは「Ladybird Survey」を、またニュージ―ランドでは「Ladybird watch」の取り組みを行っており、住民の協力を得ることによって、国内のテントウムシの種類別分布やその増減に関するデータ収集が行われています。

  ニュージーランドに生息するテントウムシの写真を示しましたが、警戒されているテントウムシは赤枠で囲ったハーレクインテントウです。面白いことにニュージーランドにはテントウムシダマシ類として日本と同じ28ホシテントウがいるようで、イギリスやアイルランドの24ホシテントウではありませんでした。

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